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仁坂吉伸の思い

世界の孤児

2013年02月25日

 2月14日付の日本経済新聞を見て、暗くなりました。「米欧、FTA交渉開始へ」と書いてあったからです。2月13日双方で交渉開始を発表したのだそうです。何故暗くなったかと言うと、日本がFTAに入らないうちに他の国々がFTA網で結ばれてしまうと、日本だけが差別待遇を受けるからです。
 日本人は、あまりにも現在のWTO(GATT)体制に慣れすぎています。それが当たり前だと思っています。WTO体制では、世界の貿易は無差別に行わないといけません。A国が気にいらぬからと言って、自国の関税や貿易上の取扱いを、他国より不利にしてはいけないのです。そのWTO体制の中で日本は貿易を通じどんどん経済発展をし、メイドインジャパンは世界を席巻しました。一般に競争力さえあれば、差別扱いを受けることはないのです。
 ところがこのありがたい体制は、戦後しばらくたってから、戦前のブロック経済の囲い込み競争が戦争を引き起こしたという反省の上に、出来た結構新しいものなのです。戦前は、米も英も仏も植民地も含めて自己の経済圏を囲い込み、よそからそこへ入ることは結構困難を伴いました。それに反発して新秩序を求めて既得権益に挑戦したのが日独伊で、これが第二次世界大戦です。
 戦後できたGATT(WTOの前身)は、無差別多角主義の原則からなるルールを作りましたが、これの例外として、関税同盟と自由貿易協定を合法なものとして認めています。前者がEUで後者がFTAです。いずれも仲間うちで関税を撤廃しても下げても良いが、他国を無差別多角主義の時の障壁よりも不利に扱ってはいけないとされているのですが、差別には変わりはありません。
 ずっと世界は自由貿易を多国間で全体として進めようという方向に動いてきました。それがケネディラウンド、東京ラウンド、ウルグアイラウンドという多国間の無差別の貿易自由化の動きです。しかし、ウルグアイラウンドあたりから、この方式でもう一回自由化をするというのは無理があるなあという思いが強くなってきました。
 そこで、勢いを増してきたのがFTA(自由貿易協定)です。加盟国間で関税を0ないし引き下げようというもので、昔は、EUが近隣の国々と細々と結んでいたのですが、近年は世界中に広がっています。ルールは唯一、あまり例外は作るな、関税で言うとほぼ90%ぐらいはゼロにせよというだけです。この仕掛けを大いに活用して、市場を囲い込むことに最も熱心だったのはEUですが、アメリカも米加墨でNAFTAを作り(1994年発効)、南米各国はメルコスールを(1995年発足)、ASEANは、FTAをさらに関税同盟にしようとしています。日本もライバルの米、欧が市場を囲い込むのを黙って見ているわけにはいかんということで、ASEANとかメキシコとかかなりの国々とFTAを結んでいますが、日本国内には農業をはじめとしてこれ以上関税を下げられてはかなわないという勢力がいるために、中々思うように交渉はできません。その間隙をぬって、瞬く間に自国を中心とするFTA網を作り上げてしまったのが、お隣の韓国です。米市場やヨーロッパ市場で、日本製品は一定の関税を払わされるのに、韓国製品は無関税で入れるということです。ただでさえ、韓国企業に競争力で負けている日本企業がもっと不利になるということです。
 最近ではFTAが、関税の撤廃のみならず、非関税障壁の撤廃、あるいは制度の統合や様々な協力を加えたEPA(経済連携協定)というものに進化しています。話題のTPPも、これを環太平洋で皆で結ぼうということです。EPAで囲い込まれた経済圏に、非加盟国企業が輸出したり、活動したりする時にえらく不利になるというのはFTAの場合と同じです。すなわちEPA/FTAブロックから取り残されると世界の孤児になるということです。
 もっとも、企業は日本ではなく相手国内、あるいはEPA/FTA域内で生産すれば不利にはならないので、海外投資をすれば生き残れるのですが、それは本国である日本ではもう作らないということになるのです。つまり、日本の雇用はガタガタになるということです。ABCDブロックからはじき飛ばされて、最後は、敗戦でこてんぱんになった、世界の孤児日本の悪夢だけは再現させてはならないと思うのです。この恐ろしさを日本国民はまだあまり分かっていないように思います。
 TPPについては、ずっと前に県病院協会で講演をした記録が県庁ホームページ http://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/kangae/h23/231216.html で見られます。

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