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仁坂吉伸の思い

風疹の予防接種と地方分権

2013年07月15日

 和歌山県は5月21日の発表以来、妊娠する可能性のある女性等への風疹の予防接種の全額補助を実施しています。30市町村全部で実施しています。全県で、全額公的補助を実施しているのは、私の知る限り和歌山県だけです。東京都が和歌山県より前から市町村負担の半額を補助する制度を作っているのですが、私たちが大童で実施の準備をしていた時点で、都内で二つの市町村が未実施のままで、自己負担無しが市町村で半分、残りの半分は申請者の自己負担を必要としていました。他は千葉県、神奈川県などで、いずれも利用者の自己負担のある制度でした。(その後の各県の展開はフォローしていません。)

 本件実施に際して、我々をプッシュしてくれたのは、自由民主党と公明党の県議団の方々でした。私も風疹大流行の兆しとの報道から、妊婦さんがかかったら、子どもさんに障害が発生する可能性がありそうなので、まずいなあと思っていたのですが、5月13日予防接種の公的支援をすべきだとの意見を寄せてくれたのです。そこで早速検討しました。
 まず、私から「『子育て環境日本一を目指す』と言っている和歌山県だから、子どもに障害が発生する可能性を少なくするのは当然だ。やろう。でもどうしたら実施可能か考えてくれ。」と指示を出し、わずか1週間ぐらいで結論を出して、すぐ発表しました。

 その時、二つの和歌山ならではの工夫をしています。一つは支援の実行開始日です。まだ予算が通っていませんし、実行には、多少の準備期間も必要です。普通はこういう時は、6月議会で予算が通ってから、例えば7月10日から実施とかやるのですが、そうすると、支援をもらってから予防接種をしよう、それまで待っておこうという人が現れ、その人が万一風疹にかかったら大変だということを心配しました。そこで議会筋に根回しをして、「予算が通っていませんが、こう発表することをお許し下さい」と言い、5月21日発表日以降の領収書を置いておいたら、それで支援金がもらえるということにしました。
 もう一つは、市町村との関係です。全国でよくある例は、県は市町村で支援を実施する時は半額分を補助するといった方法です。この方法は、住民に身近な市町村に実務をやってもらえるし、半額分は市町村に出してもらうのが、適当と考えるような今回のような場合には、中々便利な制度ですが、市町村がやってくれないとその地域での助成がゼロとなりますし、県ほど市町村がスピード感を持ってやってくれない場合もあるかもしれません。その一例が紀州3人っ子政策と銘打って始めた3人目のお子さんから保育料ただという政策が和歌山市が中々実施してくれないもので、3~4年の間は、県内最大の人口を有する和歌山市のお父さんお母さん達にこの政策の利益が行かなかったということがありました。もちろん形の上では、県も市町村も地方分権の名のもと対等ですから、市町村に無理矢理言うことを聞かせることは出来ません。冒頭述べたように、東京都では二つの市町村で未実施で和歌山のように自己負担無しの全額補助が半分、残りは自己負担ありという事になったのは、このような事情からでしょう。すなわち、市町村が全額負担するなら、その半分を都が補助するが、市町村が自己負担を残すなら、都は市町村の負担分の半額しか出さないので、自己負担が残ってしまうし、そもそも市町村が実施しないと東京都の政策も空振りになるということです。そこで和歌山県では、最近は「県は市町村がどうであっても半額補助はする。実務はやってもらいたいので、その実施委託料も出す。その上で市町村も協力してもらいたいので、できれば市町村も残りの半額を出すようにしてもらえないか」とお願いをするといった方法で施策の実施を図るようにしています。
 今回の風疹の予防接種補助に関しては、幸い県内30市町村ともに、半額補助に踏み切ってもらいましたので、全県で全額補助となったのですが、仮にどこかの市町村がNOあるいはぐずぐずしていても、50%の県支援分はすべての市町村で実施はされていたはずなのです。
 和歌山県ではこのように工夫して、市町村と県は対等だという地方分権の精神を具現化するとともに、県の判断で必要と思った事は、市町村の事情で住民にサービスが届かないというような事はないようにしようとしています。

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