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仁坂吉伸の思い

紀の国の森を作ろう

2014年03月03日

 元横浜国立大学の林学の先生であった宮脇昭さんの講演録を読みました。次のような事が述べられていました。
 東日本大震災の時、海岸林として植えた松は、津波の前にほとんど用をなさなかったが、様々な種類の木からなる常緑広葉樹林は、津波をかぶっても、その勢いを随分減衰させたのみならず、枯れずに残って、十分に役に立っている。何故ならば、本州の北端以北を除いて日本のほとんどの低地は、もともと自然植生は常緑広葉樹林で、これが一番風土に合っているので育てるのに手間がかからない。人間の営みで白砂青松が良いというような考え方で海岸に松林が出来たが、松などは本来、尾根筋の土壌がやせて乾燥している所にしか生えていなかった木で、これを維持するためには、手入れをいつもしないといけない。その点、常緑広葉樹林を混植しておけば、風土に合うのだから勝手に育って、災害の時にも地域を守ってくれる。そもそも植えるのは、もともとそこにあった樹種を植えるのがいいのであって、芝生にしたり、外来種などを植えまくる昨今の風潮は嘆かわしい。
 といった調子でしたが、私は賛成です。細かい所を言うと、私は何も宮脇方式と言われるポット混栽植樹方式でなくてもよいのはないかと思っていますが、それは細部の話です。私は自然と博物学の(浅)学徒でもありますので、宮脇さんが言っておられることは、生物学的に正しいと思います。その上で、これに関連して、日頃思っている事を申し述べます。

1.一つ目は津波対策とか堤防の構造などに、もっと樹木を防災に役立たせよという事を重視したらどうだろうかということです。
 宮脇さんも指摘されているように、この緑のシールドは津波のみならず火災にも効くようですし、国土交通省も堤防の構造として内側にマウントを盛って宮脇さんの言うように常緑広葉樹林帯を設けるということを認めるようになったのです。是非検討したいものです。

2.次に、町中も緑いっぱいにしたいものです。
 宮脇さんも昔からある鎮守の森の意義を高く評価していますが、町中に緑があふれているような町はしっとりとして、中々良いものだと思います。東京と大阪の差は、そして、もっと言えば、大阪と多くの国の首都との差は、緑の森の量だと思いますが、大阪のような人でにぎやかな大都会は別として、人口が爆発的に増加する事がそう望めない今、緑の潤いで、町に生気を与えるという事が有効なのではないでしょうか。

3.その際、よほど支障がない限り、木は伸びるに任せ、やたらと剪定をしないこと、そして、地元の木を植える事が大事です。
 私が知事になった時、けやき通りは、けっこう木が茂っていて、中々立派な町並みだなあと思っていましたが、就任後、早々に、その私の思いを踏みにじるようにきれいに剪定されてしまいました。もちろん私がそうしろと命令したわけではありませんで、そのような意志決定が前々からなされていたのでしょう。(ひょっとしたら、むくどりの問題があったためかもしれません。)一般に日本の文化は、手入れの文化でもありますから、庭木をきれいに手入れする、公園の草をきれいに刈るといった事が美徳とされているように思います。だから街路樹も伸びれば切らないとお行儀が悪いということなのかもしれません。しかし、それは、比較的狭い、しかも管理された庭などによく当てはまる考え方で、都市の緑をもっと多くする方がいいと考えられるような場合は当てはまりません。宮脇さんも言っていましたように、どこでも芝生を張って、だだっ広い空間を作る事が良いと考えるのは、特に多雨の日本などでは間違いだと私も思います。また植える木は断然地元の木にしたいものです。久し振りに和歌山市にずっと住むようになって気付いてがっかりしたのは、和歌山市内の街路樹がトウカエデとタイワンフウだらけになっていることでした。また公園というとやたらとハナミズキを植えたがり、驚くべき事に和歌山市にハナミズキ通りまであって、未だにハナミズキをせっせと植えているとお聞きした事でした。何故トウカエデなのでしょうか。ウバメガシでもクスノキでもタブノキでも何でもあるではありませんか。落葉樹がいいのなら、トウカエデの代わりにクマノミズキではどうしていかんのでしょうか。せめてイロハモミジではだめなのでしょうか。大体ハナミズキは米国のバージニア州とかノースカロライナ州花ではありませんか。何故日本の和歌山が理由もなくこういう花を有り難がらないといけないのでしょうか。よほどその手の木が好きというのなら、和歌山の山にはよく似たヤマボウシがありますが。

 今、県では担当の人にお願いをして、できるだけ街路樹を切らないようにして緑を増やしてほしい、これから植える木があるなら全部県に自生している木にしてほしいと頼んであります。ただし、公共調達で、街路樹を切ったり植えたりする事で生業を立てている人に過度の打撃を与えてはいけませんので、切る時は道路への出っ張りを上手く調整するような切り方をするとか、将来植えてもらう木は県自生木とする方針であるとできるだけ業界の方々に早く伝えて苗木の植付けの時から備えておいてもらうようにという指示も出してあります。

 来年は紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会です。全国から来られる方々が、和歌山へ来られる時、何と緑の多い、しっとりとしてつややかな県だなあと思ってもらえるように、緑を残し、また増やしましょう。また来たるべき南海トラフの大地震に備えて、森を作りましょう。

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