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仁坂吉伸の思い

よそからの権威

2014年06月09日

我が和歌山県の偉人南方熊楠の事跡に神社合祀令反対運動があります。国家神道を強化するため、全国にたくさんある神社をまとめていこうと国が明治39年神社合祀令を発しました。和歌山県は素直な県民性か、全国の中でも特にこれに熱心で3713社あった全県の神社が明治44年には790社になってしまいました。

そうすると神社を中心にまとまっていた村々のコミュニティも寂れ、社叢の森として保存されていた貴重な植生も失われます。「お上」の命令だといって、ほいほい従わず、その善悪をよく見極めて敢然と立ち上がった南方熊楠は偉いのです。これは明治政府が行い、全国の国民が流されてしまった愚行の一つですが、今も類似のことが起こる恐れは十分にあり、その因は我々の心の中にあります。

私が知事になって県庁内で強く指導した事は、外部の権威を借りてきて、仕事を済ませるなという事です。「国の指導です。判断です。」「全日本的なコンサルタントの仕事の結果です。」「弁護士さんが言っています。」「巨大シンクタンクが書いてくれました。」「大PR会社に委せましょう。」こう言えば、楽に庁内が通ってしまうというのがかつての現実でした。そう言っていれば楽に仕事ができるのです。

私は、「国が言っていても間違っていたら放っとけ」「国の誰が言っているのだ。法律に書いてあるか。政省令告示に書いてあるのか。単なる前例か。担当が解釈しているだけか。そもそもそれは正義に反していないか。」「シンクタンクに丸投げしてはいけない」「電通や博報堂に全部頼んでしまう事を禁止する」「レッドデータブックが作りたければ、調査会社に丸投げしないで自分で作れ」「弁護士さんの言う事だって時に間違っているから、自分で元の法律に当たれ」等と散々言いまくりました。

私がそのような行動を取ったのは、経験上、上記のような「権威」の内幕をよく知っているということと、本当は自分で考えればできるという職員の優秀さが分かっていたからです。他の権威に頼るなと言われると、当初は皆大変だったと思います。しかし、その結果、全国植樹祭は手作りで、最も安上がりでかつ史上最高のものができましたし、和歌山県で職員が考えた「過疎集落再生・活性化支援事業」や「和歌山県避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準」が国全体の事業として採用されるなど、どんどんと成果が出つつあります。

神社合祀令の時もそうでしたが、実はこのような事は県民の皆さんに起こりうる危険です。「お上」の意向や、マスコミなどがそうだと報じる「世論」の動向、世間の「風、空気」などを盲信して、流される事なく、県民の全ての人が自分の頭でじっくりと事の是非を考えてみられることを期待します。

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