島正博さんの言葉

 和歌山が誇る発明の天才、(株)島精機製作所社長の島 正博さんが企業家倶楽部が毎年出している企業家大賞を今年授与されました。万歳です。
 最近島精機の社外取締役になった一柳良雄さんは、島さんの事を日本のエジソンと呼んでいますが、本当にその通りです。島さんは自分で考え出した桁数の多い数字のかけ算のやり方を、よく私に教えてくれますが、後で色々考えてみても、ちんぷんかんぷん。無縫製編機ホールガーメントで複雑な形のセーターが糸からぽとんと出来てきたり、その前身となっている軍手の全自動編機も、どう考えても原理が分かりません。

 お人柄もいつもニコニコ、誰にでも親切で、偉ぶることなく、趣味も豊かで、色々人生を楽しまれ、家族思いで、ご家族をとても大事にしているのがよく分かります。とっても仲の良かった最愛の奥様、そして、ご自身も本当に魅力的なお人柄であった和代さんを亡くされたのがお気の毒です。また、どんなに発展しても和歌山から生産拠点を移さず頑張ってくれているのは本当に有り難いことです。
 そんなにお忙しい島さんに、後援会の副会長をお願いし、少し体調のすぐれない時のある会長の神坂次郎先生の代役などをよく頼みに行きますが、本当に申し訳のないところです。

 その島さんの企業家大賞受賞を記念して、雑誌「企業家倶楽部」が2015年8月号で島精機製作所特集を組みました。出来たばかりの当該号を一柳さんにいただいたので、読ませていただきましたが、会社の分析や島さん本人へのインタビューだけでなく、島三博副社長をはじめ、会社の幹部、昔からの恩人や関係者の皆さんの談話などがいっぱい載っていて、心が和みました。
 その中で、島さんへのインタビューの中で、求める社員像について聞かれた事への島さんの言葉が胸を打ちました。本当にその通りだと私は思います。
 以下に勝手に引用させていただきます。

『 「仕事を愛しなさい」

(問)求める社員像について、教えて下さい。
(島)仕事は「やる氣」があるかどうかです。学校で勉強できなかった人でも、良い仕事が出来ます。しかし、勉強が出来ても「やる氣」がないと、できない証明が上手になるだけでいけません。一所懸命に仕事をして、好きになったら、情熱が湧いてきます。すると、「こうしたら早くなる」とかアイデアが出てきて、仕事のやり方が変わってきます。特にモノづくりは学歴は関係ありません。むしろ、学歴があるとズル賢い発想が働き、仕事が遅い傾向がある人もいるほどです。会社のエントランスにロダンの考える人と大きな手の彫刻が飾ってあるのですが、「考えているだけではいけない、すぐに手を動かしなさい」という社員へのメッセージです。(笑)
  私は社員には、「仕事を愛しなさい」とよく話しています。仕事を愛したら、必ず向上心が芽生えてきます。すると、創造性がわいてくる。ここに新しい方法が浮かんでくると、発明ができるようになってくる。発明が出来る人は仕事を愛している人で、情熱を燃やしている人です。
(問)若い人へのアドバイスをお願いします。
(島)若い人たちには情熱を持って仕事をして欲しいと願っています。ビジネスでお金を儲けようと思っても、景気の波は読めません。突然、バブルがはじけたり、リーマン・ショックのような金融危機が訪れたり、予期せぬことが起こります。
  ですから、金儲けよりも、自分が情熱を燃やし続けられることを大切にして下さい。その方が会社も永続的に発展していけるでしょう。お客様の立場になって考え、喜んでもらえる事業をしていれば、企業も成長し社員も幸せに出来ます。すると国も栄え、三方良しとなります。                          』

 今私は県庁という組織のトップですから、全県庁職員にこの言葉を贈りたいと思います。さらに、これと反対の事を私もこれまでの人生の中で多くの組織の中で経験してきています。自分に対する自戒も含めてすべての組織人にこの言葉を贈りたいと思います。