熊本地震に思うこと

4月に起こった「熊本地震」で亡くなられた方々に心からご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、今なお避難所での生活を余儀なくされている方々には一日も早く元の生活に戻れるように願っています。実は、そのためのサポートを発災後すぐに和歌山県も行っています。テレビニュースなどでもご覧になった方もいると思いますが、県職員や医療機関等からたくさん熊本県益城町に出向き、避難所の運営や災害廃棄物の処理等にあたっているのです。
和歌山県は五年前に「紀伊半島大水害」を経験しました。同じ年に東日本大震災がありましたので、それらの教訓をいかし、災害への備えを急いでいます。道路や河川などハードの整備に加え、防災放送やメール、ラジオなどの情報伝達も充実させていますし、大規模土砂災害による被害根絶に向けて、那智勝浦町に国の土砂災害対策の技術センターが入所する土砂災害啓発センターを先日オープンしたところです。
県では、地域別に風水害、津波それぞれについて、緊急避難先の安全レベルを設定し、公表しています。災害が起これば、まず近くの安全なところに避難するということが大切ですから、皆さんは普段から万一の際どこに避難すればよいのかを話し合っておいていただき、いざという時家族を探しに行ってかえって命を落とすことのないようにしてほしいと思います。
和歌山県における津波対策の考え方は、「命だけは絶対に助けよう」です。
先日の熊本地震では、家屋の倒壊で亡くなった方が多かったと報道されていました。熊本の地震は、地震の大きさはたいしたことはないのですが、直下型だったために住宅がバタバタと倒れて人がつぶされて命をなくしました。南海トラフは紀伊半島に極めて近いので、南海トラフの巨大地震が発生したら、紀伊半島中が直下型地震みたいになると思わなければなりません。だから、津波も恐いけど、その前に地震によってつぶされないようにしないといけません。
県では、県民の命を守るため、これまでも住宅の耐震化に取り組んできており、全国的にもトップクラスの補助制度を用意しています。例えば、昭和56年5月以前に建築された木造住宅(原則 延べ面積200㎡未満)は無料で耐震診断を受けることができますし、限度額はありますが耐震設計費や改修費への補助金もあります。また、制度の改良を重ねてきて、自己負担額を低く抑えたい人のためには、住宅全体の改修が無理な方も命だけは守っていただけるよう、耐震ベッドや耐震シェルターについても設置費用を補助対象にしています。
しかし、せっかく制度があるのにあまり使われていないのです。東海地震による被害が想定されている静岡県では、住宅の耐震化率が平成25年時点で82%であるのに対し、本県は74%。家具固定率も静岡県の69.1%に対し、本県は43.8%と大きな差があるのです。このようにいま一番の悩みは、県民の皆さんの「おうち」の耐震化の問題です。熊本地震で被害が大きかったのは、家が古かったり耐震化が十分にできていなかったという建物でした。
私が県民の皆さんに改めて言いたいこと、それは、「みんな急ごう! おうちの耐震化」です。