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仁坂吉伸の思い

働き方改革

2017年02月27日

 安倍内閣の政策の柱の一つに働き方改革があります。その中味はたくさんあるでしょうが、その一つは、残業はできるだけやめて、他の人生も楽しもうよということがあることは確実です。
 この件で一番世の中の耳目を引いたのは電通事件でした。大学を出たばかりの女性社員が長時間労働を強いられた上、いじめと思えるような扱いを受け、自ら命を絶つまでに至ったと報じられています。

 何とも痛ましい事件です。この事件に限らず、残業ばかりの人使いの荒い企業は「ブラック企業」と言われて嫌われるようになりました。このブラックという呼び名は、初めは長時間の違法就労を指していたような気がしますが、段々とただ長時間残業が特に多い企業を指すようになっている感があります。
 そういたしますと、通商産業省をもじって通常残業省などと揶揄される役所出身の私なんぞさしずめブラック企業出身の生き残りということになると思います。世論も国の政策も長期間労働はいけないという方向に滔々と流れています。私も異論はありません。

 しかし、この間日本の産業技術や研究開発の政策責任者のお一人と言うべき方とお話をしていたら、研究者は、自分の研究に熱中してくると、勤務時間がどうのと言っていられなくなって、どうしても居残って研究を続けてしまうよね。要は進んで仕事をしているか、嫌々仕事をしているかの差だよね、とおっしゃっていました。私も口では「私はブラック企業中のブラック企業の通産省出身でして」と言って自らを揶揄していますが、実際働いている時は、お国のためという一心で、時間を忘れて仕事を仕上げようとしていましたし、少なくとも無理に、嫌々働かされていると思ったことはありませんでした。
 だからと言って、働きたい人は勝手に残業をしてやれと言うことを一般論として肯定して良いというわけではありません。私自身についても、家族の犠牲の下にそれができたわけだし、無理がたたって体を壊したら自分や家族のみならず、所属する組織にも損害を与えます。また適法に残業手当を出す企業の採算も無視はできないでしょう。したがって、効率よく仕事をし、無駄な作業は省いて、良い成果を上げ、長時間労働は避けるというのが正しいと思います。
 しかし、口で言ったり、お題目を唱えているだけだと中々それは達成できません。社員、職員一人一人と言うよりも管理職の人や経営者、トップがやはり仕事の仕方などをチェックして、工夫していかないといけないと思います。どうも人は立派な目標があり、モチベーションを感じると、それこそ後先を忘れて没頭するあるいは身を捧げてしまうようです。しかし、やり過ぎるとそれは長続きしません。

 私は35歳くらいの時、今の安倍総理のお父上の安倍晋太郎通産大臣のお伴として、第1回四極通商大臣会合とワシントン訪米に参加しました。
 特に前者は、それまで段取りその他をすべて外務省にお願いしていた通産省が、初めて自分で政策の中味(サブスタンスと言います)も、段取り(ロジスティックと言います)も、さらには報道広報対応(プレス対応と言います)も、全部自分で仕切ろうとした最初の試みだったのです。今では、こういうやり方に慣れてきましたが、当時はまったく手探り、しかも、今は、例えばプレス対応に専任の職員を何人もつけて記者の皆さんへの情報提供などを行いますが、その時は課長未満の日本からの出張者は2人、うち1人はワシントン対応に専念、という状況でしたので、私が資料の準備から、会合の時間、場所の設定から、メンバーへの連絡から、プレス対応から全部やらざるを得なかったのです。おまけに場所がフロリダのキービスケインという所で、ゴルフコースの間にコテージが点在するというリゾートであったので、私は、各コテージを走り回りながら、これらをこなすはめになりました。キービスケインで2日、ワシントンで1日、3日間完全に徹夜しました。
 その後ニューヨークで大臣一行の主力部隊と別れ、通商産業審議官のお伴でブラッセル等に回って、こちらはたくさん寝ることができ、現地の通産省グループに大いに大事にされて、出張に出て1週間後帰国して、すぐ元気いっぱい通産省のデスクに向かいました所、いきなり上司から「おい、お前大丈夫か。」と深刻な顔をして聞かれたのです。「はい。でも何の事ですか。元気ですよ。」とケロリと答えたのですが、よく聞いてみると、ニューヨークでの私の言動から「仁坂発狂説」が伝わっていたらしいのです。そういえば、ニューヨークで、通産省の先輩と大臣一行の行動について色々段取りの打ち合わせをした時、どうも呂律が回らないなあと自分でも気が付いていた事を思い出しました。
 ここで分かった事は、ある短期間なら、情熱と使命感にまかせて仕事はできるけれど、長く続けていると、疲労によっていわば継戦能力が失われる訳です。考える力が落ちたり、ひょっとしたらダウンする人が出たりします。
 和歌山県では、2011年9月の紀伊半島大水害の時にまさにこういう事が起こりました。職員は危機に立ち向かうべく、使命感に燃え志気盛ん、本当に立派に仕事をしてくれていました。
 しかし、私は、これは必ず長丁場になると思い、そうなると、継戦能力が大事なので、職員は交替で帰らせよと命じて、大丈夫かなと思いつつ、自身の継戦能力も考えて、自分も途中で人に仕事を任せて家に帰って寝たのです。こういうことが続いて1ヶ月、ようやく人命救助や応急復旧が一段落ついてきたのですが、やはり職員を交替で帰らせたとはとても言えないような数字が出てきました。職員で9月1ヶ月の最多残業時間は245時間、30日で割ると1日平均8時間でした。これは通常の日で帰るのが午前2時、土日も8時間ずつ働いたという計算になります。こんなことが長続きできるわけがありません。
 幸い深刻な心身の故障を来した職員はいなかったのですが、もう少し厳しく、管理して、厳密なローテーションを取らせばよかったと反省しています。その反省を踏まえ、危機管理ローテーションとして、三人一組の二人勤務という方式を私は強く推奨することにしています。

 仕事に情熱を持って、しかし、長く働き続けるよりは短時間で能率良く、そして、残りの時間は家族や友人と、あるいは読書やスポーツや趣味に大いに楽しみましょう。

追伸
 私ももうちょっとその仲間に入れて下さい。日程担当職員へのお願いです。

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