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仁坂吉伸の思い

ルソンの壺

2017年03月27日

 NHKの日曜日の朝番組に「ルソンの壺」というのがあります。多分NHK大阪の制作番組で関西のみ配信なのかもしれませんが、とてもいい番組だと思います。色々とアイデアを出し、工夫を凝らして、あるいは苦難を乗り越えて企業を伸ばした主として中堅、中小企業の経営者の事を取材して、企業の現場を紹介したり、その経営者がスタジオで思いの丈を語るというものです。ともすれば視聴率を稼ぐために、わざとセンセーショナルに扱ったり、対立を煽ったり、おもしろくおかしくからかったりというテレビ番組が多い中で、とても真面目に制作されていて、好感が持てます。和歌山県の企業も私の知っている限りでは、株式会社島精機製作所の島正博社長、紀州技研工業株式会社の釜中甫干社長、株式会社サンコーの角谷勝司相談役、株式会社東農園の東善彦社長、サカイキャニング株式会社の阪井哲也社長という方々が登場して、思いの丈を語ってくれました。

 中堅、中小企業の経営は本当に大変で、経営者の方々は全身全霊を傾けて日夜努力しておられると思いますが、その中で成功への転機になるようなアイデアや工夫があったという点が番組の一番大事なコンセプトになっていて、その意味で、このルソンの壺というタイトルが付いているのだと思います。いわゆる事業革新の象徴ですね。
 では、何故そうかと言うと、私の理解では、ルソンの壺というのは、豊臣秀吉の全盛期に呂宋助左衛門という堺商人が東南アジアをまたにかけて冒険的通商を行っていたが、南洋から持ち帰った大きな壺を「これがあの値打ちもののルソンの壺です。」と言って秀吉に献じたところ、秀吉がこれを絶賛して高い評価で買い取ってくれたので、評判になり、諸大名が我も我もと買い求めたという故事にちなんだものです。商品に南洋渡来のルソンの壺というブランドイメージを被せて、商売を成功させたというのがポイントで、そこがこの立派な番組のタイトルにもなった由来であろうかと思われます。
 
 しかし、私は個人的には、この立派な番組のタイトルとして「ルソンの壺」というのは如何なものかとずっと思っています。何故ならば、私の理解では、そのルソンの壺物語のそれこそツボは権力者をからかうという所にあったと思うからで、呂宋助左衛門は、無教養な成り上がり者の秀吉やこれに媚びへつらう田舎大名が、その価値も分からないくせに華美なるものに大枚の金銀をはたいている現状をからかうために、フィリピンあたりで、船に積んで便所の代わりに使っていた何ということはない大きな壺を、これぞ貴重なルソンの壺と称して、そう思い込んだ秀吉や大名から大金をせしめたという事であったと思うからであります。
 権力者に対する冒険商人の心意気を示すものという事ですが、ルソンの壺自体は、便所壺ですし、権力者を相手に一芝居を打ったという点は痛快ですが、今の言葉でいうと、これは一種の詐欺、そこまでいかなくてもインチキ商法である事に間違いはありません。

 ルソンの壺の番組に登場された経営者は、そんなだましのような手は一切使わず、技術を磨き、取引先が喜ぶ良い商品を作り消費者が幸せになるような新しい商品を開発して、極めてまっとうに正々堂々と事業革新を果たして、成功した人達であり、会社であります。したがって、このルソンの壺というタイトルは、その歴史的意味をよく考えた時、ちょっと違うのではないかと思う次第です。島精機のあの素晴らしい驚天動地の技術革新の所産であるホールガーメント・ニット編機と、フィリピンあたりから取ってきた便所の壺と一緒にしてほしくありません。

 とは言え、それにも関わらず、あのような素晴らしい番組を作って我々に勇気を与えてくれているNHK、そしてその中で紹介された堂々として努力して今日を築き上げてこられた経営者の方々には、日本人に勇気を与えてくれるものとして感謝申し上げたいと思います。

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