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進め ミミズ
2017年06月05日
(一財)大阪科学技術センターが行っているネイチャー・インダストリー・アワードに平成26年、ミミズが選ばれました。正確に言うと、和坂貞雄所長率いる和歌山県工業技術センター山際秀誠主任研究員、オーヤパイル(株)大家健司代表取締役社長及びエコ和歌山(株)中田祐史代表取締役の共同研究である「食物連鎖を利用したパイル担体活性汚泥法(ESCAPE法)の開発」が受賞したのです。この中でミミズがキープレイヤーとして活躍いたします。大学の研究者でなく、地方自治体の公設試験研究機関の受賞は初めてで、大変光栄なことです。
昔々高度成長期を中心に日本は工場排水や一般家庭からの生活排水を垂れ流して、随分と環境問題を引き起こしていました。今は、汚水処理技術も進歩し、工場でも厳しい排水基準を守るべく、排水設備が完備していますし、下水設備による汚水処理も随分普及してきました。しかし、ここで依然として残る問題は、余剰汚泥の量がとても多いということです。汚泥は、どこかの最終処分場に持って行かなければなりませんので、その量が多いというのは大変困ることなのです。そこでこのESCAPE法が登場します。自然界に存在するミミズは汚物処理の天才で、どんどん食べて、水や土を浄化するのですが、工業技術センターは、水中にいるイトミミズに着目しました。
私のような年配の人間は、家の前に「ドブ」と称する小水路があって、そこを水が流れ、生活排水などはこのドブを通じて排出していました。そのドブには、水路の壁やそこに沈殿している泥のあちこちにイトミミズの塊がゆらゆらしていたのをよく覚えています。考えてみたら、あれだけ生活排水を流していたのに、案外ドブの中の水はきれいで、一応透明に見える水が流れていたのを覚えていますが、今から考えると、あれもイトミミズの浄化作用のお陰かもしれません。イトミミズを使って汚水を処理すると、汚泥のかさの80%がなくなってしまうという驚くべき結果が出ています。そうすると、汚泥の処理費用も低下するし、最終処分場の確保にも大変役に立ちます。
それではどんどんイトミミズを使おうということになるのですが、実際はそう簡単ではありません。イトミミズはあんなに小さいので、勢いよく流れてくる汚水の中では掴まるところがなくては、自分がどんどん流れてしまうのです。そこで登場するのが和歌山県橋本市高野口のオーヤパイルのパイル織物であります。パイル織物は和歌山の昔からの特産物で、衣料はもちろん、ぬいぐるみの毛、高級車の座席シートなど多くの部分に使われていますが、構造上隙間があって、その隙間にイトミミズが棲みついて、集団を作るのに最適なのであります。そこでこのパイル織物を使った汚水処理技術であるESCAPE法が登場します。かくて、イトミミズとパイル織物の連合軍が形成され、実験装置メーカーとなったエコ和歌山とともに企業同盟が結成されたのであります。
今やこの技術は、下水の処理場のような環境でよい成果を証明するに至っていますし、最近では同じく和歌山の花王(株)に協力してもらって化学プラントから出る排水にも役に立つことが実証されつつあります。そこで和歌山県では、たまたま改修の時期であった県の下水処理プラントの1つにこのESCAPE法を導入することに決定しまして、既に平成29年度予算で実物のプラントを作ることにしています。
夢はこの企業連合の「ミミズ技術」が広く世界に評価され、この和歌山から次々とプラントが世界に出荷され、関係企業が栄えて、雇用が増えるということです。そうなったら、ミミズの顕彰碑でも作って、そこに関係者の名でも彫り込んでみるのもいいなあと勝手に想像しています。
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