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仁坂吉伸の思い

羹に懲りて

2017年06月26日

 羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くという諺があります。熱いできたての煮物などをいきなり食べて「舌を焼く」という経験をした方は多いと思いますが、それに懲りて冷たい酢の物などをフーフーしてから食べるという人のことをからかったものであります。いやな、つらい思い出があると、次に少しでも似たものに出会うと用心しすぎて、消極的になったり、逃げてしまったりするということを批判した言葉だと思います。私は今の社会でこういう考えが横行していることを嘆く人の一人であります。私に言わせれば、用心しても、よく気をつけて最後はやるというのならばまだいいが、用心しすぎて、最後までやらないので、もとの不都合がまったく改善されずにただ放置されるということが多いように思います。つまり羮に懲りて何も食べなくなって死んでしまうといった様相です。
 この一例が先の国会で大問題となったテロ等準備罪についての議論だと私は思います。6月22日の和歌山県議会で共産党県議団の奥村規子議員からそれについて質問がありましたので、私の考えを申し述べました。

 以下忠実に再現して掲げますのでお読みになって下さい。

【奥村議員質問】
 共謀罪法について、知事にお尋ねします。
 安倍首相は2020年まで憲法9条を改憲すると表明をしました。国民に不安が広がっています。これまでの特定秘密保護法、安保法制、そして共謀罪法成立という流れを見て、戦争する国になっていくようで怖いという街の声をよく聞きます。私も大変危機感を感じるところです。
 5月29日に和歌山弁護士会からも共謀罪法成立に反対する会長声明が、政府や各政党に送付されました。この法律は、思想や内心を処罰する違憲立法であると思いますが、知事はどうお考えでしょうか。お答えいただきたく、お願いいたします。

【知事答弁】
 そもそもテロリズムは、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れ等を強要し、社会に恐怖等を与えることを目的として人を殺傷するような行為でありまして、断じて許されるものではないと思います。私は、そうした思想を抱くこと自体、許されるべきものではないと思うのであります。
 奥村議員は、そんな思想を抱き、犯行を心中で計画している輩を、是認して良いと、あるいは、是認とまではいかなくても、等閑視して良いとおっしゃるのでしょうか。私は、心優しい奥村議員は、そんなことはないと信じております。
 しかし、そういう正義の気持ちをそのまま可罰罪にするということは、やはり憲法との関係で、踏みとどまったと私は推測しております。
 憲法で保障された思想・信条の自由を尊重する立場から、今回のテロ等準備罪処罰法は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に絞り、かつ、対象犯罪を限定的に列挙するとともに、計画行為に実行準備行為が加わって初めて処罰されることになっておりまして、違憲の議論が出てくる可能性がある手前で、法秩序を作ったものだと私は思います。
 これでも奥村議員は、違憲だと言うならば、その憲法解釈がどうなっているのかお聞かせ願いたいというふうに思います。
 世界中で、現在、テロなどの凶悪犯罪が行われる中で、テロ等準備罪処罰法を制定することにより、テロ犯罪による被害の発生を未然に防止するための規範を作るということは、私は市民として、一国民としてありがたいことだと思っています。
 仮にそういう犯罪を実行しようとしている人々を、法の規定が無いからといって、分かっているのに、警察が手をこまねいていたら、それこそ恐怖でありますし、逆に、テロを起こしそうだという輩が分かっているので、法の規定がないんだけど、正義の気持ちから勇気をもって警察権力が動いてしまったとすれば、それこそやはり、一部喝采はあるかもしれないけれど、法治国家としては問題だということなので、法規範を作っておくということは大事なことだというふうに思います。
 一方、法の規範を超えた運用が行われるということを戦前の警察の横暴になぞらえて懸念する声があるということも、私は承知しております。
 しかし、これは仮に警察がそのようなことをしても、今それを懸念して、問題にしておられる奥村議員のような方が何も言わないで、マスコミも全然騒がないで、司法も判断を放棄して、最後は国民が選挙という最大の手段で何もしないという前提で、考えている議論ではないかと私は思うわけであります。
 現実には、今の民主主義の日本においては、そんなことが行われるはずがない、あるいは、許されるはずがないというふうに私は思います。
 一般に起こりうる不都合をいろいろ想像して、議論しておくことは大変大事でありまして、そのための対策をとっておくということも同様であります。
 しかし、昨今よく起こることは、その生じるかもしれない不都合を恐れるあまり、その原因となる本当の不都合を等閑視する風潮ではないか、そんな風に私は思います。
 「羮に懲りて膾を吹く」という言葉があります。しかし、現在よく起こるのは、羹に懲りて一切ものを食べなくなって死んでしまうというようなことがあっては、やっぱりいかんのではないかと。社会でもそうであろうと思います。今回の議論では、そういう心配があるのに、皆がそういうことを言わないなあとそういういうふうに私は感じております。
 いずれにしても、近年、世界各地において大規模なテロが続発するなど、国際情勢が不安定な状況にあり、3年後の2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えていることを踏まえれば、我が国において、テロを含む組織犯罪を防止し、国民の生命・安全を守る体制を整備しても、それが欠けているところがあったら、欠けていないように補っていくということは、極めて重要なことであると私は思います。

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