ヘンリー・ストークスさんと『大東亜戦争は日本が勝った』(1)

 前に最近人目を引く奇抜な本の名前が多いと書きましたが、この本は、そうではありません。ストークスさんは、本当に「大東亜戦争は日本が勝った」と思っているのです。ストークスさんによれば、日本人は占領軍に洗脳され、太平洋で日米が戦って日本が負けた、日本は中国などアジアを侵略しようとして卑怯な真珠湾攻撃を行ってアメリカの正義の鉄槌を受けた、と信じ込まされているが、大東亜戦争は、アジアを侵略した西洋からのアジア人の解放戦争であって、この戦争のお陰でアジア諸国は独立を果たし、大英帝国は覇権を完全に失った。イギリスからのアジアの解放戦争と考えれば、日本の勝ちだということになると言うのです。
 
 ストークスさんは、このテーマを、その周辺の事情も含め丁寧に物語ってくれます。西洋列強がアジアや中米で何をしたか、一方、それを見た日本は、独立を守り、人種差別と戦うためにどんな苦労をしてきたか、占領軍の洗脳により、まんまと教科書には書かれなくなった史実を延々と語ります。
 また、真珠湾攻撃が、第二次大戦、特に対ナチス戦に踏み切りたかったルーズベルト政権の陰謀であったこと、フライングタイガーや、ビルマでの爆撃機配備、幻の東京大空襲など、真珠湾以上に宣戦布告もしないで戦争行為に及んだ卑怯な戦略を様々な史料をもとに解説してくれます。また、日本の「対韓支配」や「対満州支配」が、八紘一宇の精神に基づく同胞意識に、根ざしていたことは、西洋列強に比べると天と地ほど違うほどだ、などを語ります。例えば、世界のどこを探しても、現地人が通える大学を本国と同様な形で造った国などないということや、日本の現地経営が収奪とはほど遠く、何故なら、収益よりもはるかに多大の投資を現地にしていることなどが語られます。この本の訳者が巻末に語っているように、この本はストークスさんの研究の「総集編」であろうかと思います。それをよく表したストークスさん本人の言葉が、巻末にありますので引用します。

『その国(注:日本のこと)は、いまも白人列強の中にあって、唯一の有色人国家として、先進七カ国首脳会議に出席している一等国であ る。
 日本人は、そのことにもっと自信と誇りを持つべきだ。
 しかし、多くの日本人は、国家に誇りを持つことに抵抗を感じている、なぜか?
 日本は「戦争犯罪」を犯した悪い国だったと、そう思い込まされているからだ。
 本当に、日本は悪い国だったのか。
 私は、違うと思う。
 日本は、世界史に於いて、偉業を達成した。
 大東亜戦争を戦ったことだ。
 大東亜戦争は、侵略戦争などではない。日本は、戦争犯罪など犯していない。戦争犯罪がどうのこうのと言うのであれば、まず「戦犯」 とされるべきは、白人列強諸国である。この500年の歴史は、白人列強諸国が、有色民族の地を、侵略してきた記録に他ならない。
 日本は、アメリカに追い込まれ戦争を起こした。しかし、それは自衛戦争だ。アメリカに仕掛けられた戦争を、受けて立った。
 しかし、日本の戦った大東亜戦争を「太平洋戦争」と呼んでいる限り、真実を見ることはできない。日本が大東亜戦争を戦ったのは、大 アジアだった。アジアの広域で、日本は白人列強の軍隊を駆逐し、アジアの諸民族に独立する精神を目覚めさせ、アジア諸民族を植民地支 配していた白人列強とアジア諸民族が独立戦争を戦うのを、援けたのである。日本人が目覚めるべきは、大東亜戦争は世界史的な偉業であったということである。
 日本はアジアを侵略してなどいない。
 アジアを侵略したのは、白人列強諸国だった。そのアジアを、開放したのが大東亜戦争だった。』

 また、それまで全く思ってもいなかった次のような記述も鮮烈でした。

『チャーチルという男は、ナチスの侵略を防ぎましたが、彼が守れたのはブリテン島だけ。ほかは全部、失っています。チャーチルが英雄 扱いされるのは、彼がイギリス史上初の“親米派”総理大臣だったから。彼を英雄に仕立てなければ、イギリスは戦後のアメリカ覇権体制下 を生き残れなかったのです。チャーチル以前は、程度の差こそあれ、反米派もしくはアメリカを完全に格下扱いする総理大臣しかいません でした。ところがアメリカ人の母を持つチャーチルは、英米一体化を推し進め、情報機関の共有まで行ってしまいます。彼が、イギリスを アメリカに渡した売国奴と呼ばれる所以です。』
                                                     (次回に続く)