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仁坂吉伸の思い

中野監察査察監ありがとう

2017年11月17日

 本年10月末日をもって、10年以上の長きにわたって、和歌山県のために尽くして下さった中野光雄監察査察監が退任されました。
 長い間ありがとうございました。

 今はもう昔のことですが、私が生まれ故郷の和歌山県知事に迎えられたのは、前知事の汚職による突然の退職の結果でした。官製談合という罪を犯したのは前知事とごくわずかの県庁職員だけで、他の職員にとっては寝耳に水、一生懸命誠実に働いてくれていたにすぎませんでした。しかし、当時の雰囲気は、県庁では何か悪いことをしているのではないか、また、それを仲間うちで隠すためにかばい合っているのではないかというものでした。就任したばかりの私にとっての仕事の1つは、和歌山県庁を巻き込んだ官製談合の実態はどんなものであったかという真相を見極めて、それを公表することと、その再発を防ぐことでありましたが、そのプロセスで、このように不信感がある中でそれをどのように達成するかということが課題だったわけであります。

 普通こういう不信感を持たれたときは、弁護士など外部の人に介入してもらって、内部の人の間でのかばい合いという疑惑を防ぐというものでありますが、一方、真実かどうか分からない告発などだけで急に外部の人が調べようとしても、中々難しいし、偽りの告発で、誰か有能な職員がいわれのない汚名を着て世間にその話が広がってしまっては、それが偽りだということが証明されても、回復できないダメージを与えてしまうことになります。
 したがって、まず、内部的によく真実を確かめ、本当に処罰に値するという場合のみ、毅然として問題に対処するということが求められるわけです。
 だから、県全体の監察組織は、部内にいて綿密に事実を明らかにするようなものでないと困るわけであります。しかし、その任に当たる人が内部の人であると、県庁一家でかばい合って隠しているなという疑いを招いてしまうわけであります。

 そこで思いついたのが、私がブルネイ大使になった時経験した外務省の監察査察官という制度でした。当時外務省は汚職事件やお粗末事件が頻発し、外部からの不信感は大変なものでした。そこで内部組織である監察査察組織のトップに現職の検察庁幹部を当てて、内部の浄化をしてもらったわけです。
 これだ!と私は思いまして、たまたま大阪法務局長の任にあった旧友の故山垣清正君に紹介してもらって、大阪高検の佐々木検事長にお願いに伺って、ぴったりの人を紹介してもらいました。それが中野光雄さんです。

 中野さんは、立派な検察事務官のみが許される副検事の身分を持ち、大阪地方検察庁事務局長を務めた、その面での俊秀でありましたが、私がお願いしたのに応じて下さり、定年退職の時期より1年早く検察庁を退職して和歌山県の監察査察監に就任してくれたのです。

 監察査察監は、少数の部下を持ち、彼らに指示をして事案の調査をさせますが、不正の疑いは、それが真に不正であると証明されるまでは、胸のうちにしまっておいて、うわさが拡散することを防ぎ、真に不正が明らかになった場合は知事に報告して、適正な処分を求めます。
 また外部からの投書、告発なども、まずはひとりで目を通して、必要があれば監察査察を行うのであります。

 はじめこの試みは、職員には不評でした。新知事は自分たちを悪いことをする輩だと、信用していないのか。大体、悪いことをしたのは(前)知事じゃないか。というわけです。誠にそのとおりです。
 そこで、職員を100%信用しているのだけれど、県民の信任を得るためには、外部の人に見張ってもらっているという形をとるしかない。中野さんは、真実を見極める能力がある上、人柄が温和で、温かい人だから、絶対間違いない、職員にとってもプラスだと一生懸命説明しました。
 中野さん就任以来、あっという間に、この事は職員にも理解されるようになり、職員にもとても信頼される監察査察監として10年余大いに働いてくれました。

 監察査察監は、知事直轄ですので、私以外の他の誰が不正を働いていても、間違いなく不正は正せます。問題は知事が悪いことをした時で、知事が監察査察監の告発を握りつぶしたらどうなるのかという問題が残ります。そこで、制度として、監察査察監は知事が不正を握りつぶそうとした時は、別組織である県の監査委員にその旨報告をしなければならないという事にしました。その情報は自動的に公開されますので、知事が悪事を隠そうとしても露見してしまうという制度を作ったのです。

 かくて10年、まずほんの数ヶ月で、あの官製談合事件の真相をあますところなく公表しました。(木村良樹前知事の談合・収賄被告事件の概要並びに県職員の関与状況及び処分内容について:平成20年3月19日記者発表)中野さんの仕事の大きな第一歩です。その後、どうしても小さい不祥事は起きてしまいますが、その都度、中野さんが公正に厳しく、かつ温かく、的確に処理してくれ、全体として規律は守られたと思います。その結果、県庁の信頼感は完全に回復できたと思います。県庁が汚職の温床だなどとは県民の誰ももう思ってはおられないでしょう。
 それも中野さんの誠実で、緻密な監察査察のおかげです。
 任期付き採用制度上フルタイムで雇用できるのは5年、その後は、週3回勤務の体制で5年働いてもらいました。私としては、ずっとこの体制でやってもらってもよかったのですが、中野さんからそろそろ後進に道を譲りたいという申し出があり、推薦をしてくれた、同じ検察OBの野口幸男さんに11月1日付けで交替してもらいました。
 中野さん長い間本当にありがとうございました。

 その中野さんは本年秋の叙勲で検察功労として瑞宝小綬章の栄に浴されました。国は本当によく見ておられると思います。おめでとうございます。
 和歌山の恩人中野監察査察監にありがとう。

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