祝 日高町クエ鍋、高野山奥之院 日本一

 1月27日から28日に埼玉県和光市で開かれた、「ニッポン全国鍋グランプリ2018」で日高町が誇るクエ鍋が見事グランプリ(優勝)に輝きました。一昨年は3位でしたが、ついに日本一を射止めました。日高町の皆さんの熱意と努力が実ったもので、心からお慶び申し上げます。
 クエは、和歌山県が誇る高級魚、その稀少性と素晴らしい味で、世のグルメの垂涎の的であります。クエはハタ科の成長すると巨大になる魚で、白身の上品な味は鍋にすると絶品、コラーゲンたっぷりのその味はたまりません。新鮮なものはお刺身にしても美味しく、白身なのに味はマグロのトロみたいというのが私の印象です。西日本近海の岩場に潜んでいて、これを釣るとなると大変、見事釣り上げた人は、名人と讃えられるようです。そういうわけで、いつでも入手できるわけではないので、これを供することのできる料理屋さんも限られているわけです。近年は、またしても近畿大学の立派な成果で、養殖物も利用可能となり、白浜温泉などでは年中これをお出しできるようになっていますが、天然物となると、入手は依然困難です。でも日高町では、釣り客の渡船宿を営んでいた方々が、クエ料理店をどんどん発展させ、今やクエの町日高町というのが立派なブランドになっています。
 クエの大好きな私ですが、日高町の海沿いにいくつもあるお店のクエ料理は年々歳々洗練されてきたようで、見事な調理がクエの魅力を高めています。私個人の好みですが、世に珍重されるフグよりもクエの方が100倍は美味しいと思います。(フグ料理屋さんに陳謝。)また他の県に行くとクエのことをアラという名でお出しになるお店もあるようですが、アラは本来ハタ科アラ属のまあまあの高級魚で、超高級魚のハタ科マハタ属のクエとは違うわけです。和名ですからラテン語の学名と違い、生物学的にどう呼んでもまあ良いのですが、違いを分かるのが文明ですから、和歌山ではクエとアラはちゃんと区別します。
 そうやってがんばっている日高町ですが、やはり日高町クエ鍋の全国的知名度いう点ではまだまだ改善の余地があります。そこで町の方々が考えたのが、「ニッポン全国鍋グランプリ」で日本一のタイトルを取ろうということであったと思います。そしてついに1月28日その思いは結実しました。万歳日高町クエ鍋日本一獲得。おめでとうございます。かかる上は、これに乗じてクエの町日高町をがんがん売り出して、全世界からお客様に来てもらいましょう。県の観光振興の出番でもあります。

 続いて飛び込んできたニュースが高野山の奥之院が日本で外国人が次に目指す「ディープジャパン」で一位に選ばれました。これは日本経済新聞が、実際アメリカ人とオーストラリア人にアンケートを行って、次に行きたい観光地を聞いたものを集計して、1月27日NIKKEIプラス1(土曜日朝刊)に掲載されました。2位以下にもとても有名な観光スポットがずらりと並んでいるのですが、そのような所を抑えて我が高野山の奥之院が堂々とトップとなりました。
 高野山は、世に有名なミシュラン・グリーン・ガイドでも最高位の三つ星、これまた有名なロンリープラネットが最も旬な旅行先を紹介する「Best in Travel 2018」の訪れるべき世界の地域ベスト10と「Lonely planet’s Best of Japan」の日本で訪れるべき地域ベスト12の双方で熊野とともに5位にランクされている堂々の観光地です。最近はこういう所で評価されるように外国人、特に欧米の教養人の間で人気抜群となっていて、高野山内には多くの外国人の姿が見られます。日本文化の特色の一つは、その寛容性だと思うのですが、高野山は宗教の違いにかかわらず誰でも受け入れるように、その寛容性が全山に漂うところで、その神秘性、精神性とともに特に外国の人々に評価されているのだと思います。とりわけ幾万の墓が延々と並ぶ奥之院は、生前敵同士であった昔の武将が、死後仲良く祀られている所であり、お大師様がその御入定後も今なお人々の幸せを祈って下さっている場所でもあり、多くの外国人の崇敬するスポットであると思います。
 第一位に選ばれるのも宜なるかなという思いです。これを機にさらに多くの方々が魂の平安を求めて高野山を訪れ、奥之院を歩いて欲しいと思います。南海高野線がこの間の台風による崖崩れの恐れのため運休しており、目下自動車交通にのみ頼る状態でありますが、南海電鉄と県が協力して急ピッチで復旧を図っており、4月には南海高野線が運行再開される予定です。その頃にはお山は新緑、すがすがしい緑の中で奥之院がお待ちしています。