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仁坂吉伸の思い

パラリンピックとロボットフェスティバル

2018年04月02日

 3月に平昌でパラリンピックが開かれ、オリンピックの時のような感動が再び世界を包みました。競技の模様がテレビで報じられ、見ていると、ものすごい迫力で、日本選手の活躍も目立つので、感動とともに、ずっと追いかけていました。オリンピックの時も栄冠を手にした選手には、それぞれ大変な苦労と努力があったわけで、それを知るにつけ感動がひとしおですが、パラリンピックの場合は、出場選手は、事故や病気で傷害を負ったのにめげず、志をたてての栄冠ですから、もっと心を打たれるものがあります。

 蝶のお友達であり、東京ガスの社長、会長を勤められた日本パラリンピック委員会の鳥原光憲会長がおっしゃっていましたが、「パラリンピックの競技を、同じ競技だが、障害者がハンディキャップを負って行う、健常者が行う競技よりも少々レベルの低いものと見てほしくない、パラ競技はまったくの別の競技だ。」という事がテレビで見ていてもよく分かります。これからも、また平昌パラリンピックが終わってからも、ずっと競技者の苦闘とすばらしい人生は続くと思います。

 一方、障害を持っている人が、健常者に混じって堂々とその技を競い、栄冠を手にした事例もあります。

 和歌山県では、御坊市で毎年12月きのくにロボットフェスティバルを行っています。ロボットのお祭りですが、その中で小、中、高校生がそれぞれ、ロボットを製作し、それを操作して技を競うという選手権もあります。そのうち、小学生の部と中学生の部は、全国大会として、今や全国の多くの県からも予選を勝ち抜いてきた選手が集う大会となっています。ちょうど私が和歌山県知事になりました時から始まっているのですが、その前から御坊商工会議所の皆さんや和歌山工業高等専門学校の先生方、中高の理科の先生方が熱心にこれを企画して下さっていて、私の初仕事は、このプロジェクトに文部科学省や経済産業省の後援や助成をお願いに行く仕事でした。以来、御坊商工会議所の吉田会頭をはじめ、献身的に御尽力いただいている方々のおかげで、本フェスティバルは、昨年で11回目を数えるに至っています。熱心に一貫して吉田さん達の支えになって下さっているのが、自由民主党の二階俊博幹事長で、ホンダやトヨタといった全国のロボットメーカーが、選手権の合間に、それぞれのすばらしいロボットを披露してくれてもいます。
 私は毎回あいさつに当たって、本大会をロボットの甲子園にしようと申し上げていますが、出場選手も出場県も次第に増えてまいりましたし、最近は選ばれて出場する学友を応援する子供達や保護者の方々が会場の御坊市体育館を埋めるまでになりました。

 その全国のロボット使いの強豪が集まる全日本ロボット選手権中学生の部で、昨年見事に1位と3位に輝いたのが和歌山県立みはま支援学校の生徒たちです。
 みはま支援学校は、昭和54年設立された和歌山県唯一の病弱教育を行う特別支援学校で、病類は、脳性まひ、難病疾患、精神疾患など多岐にわたります。近年は、心身症による不登校、発達障害等に起因する社会不安症などの障害を有する児童生徒も増えていますが、この学校で、子供達が一生懸命学んでいます。
 みはま支援学校では、このきのくにロボットフェスティバル・全日本ロボット選手権が近くの御坊市で開かれるということもあり、子供達の教育のために、ロボットの製作と操作を取り上げることにし、子供達の励みにと、毎年この大会にエントリーしているのです。当初は、田辺工業高校の教諭の指導を受けながら、ロボット製作に乗り出したのですが、年々スキルが上がり、学内に技術と材料が蓄積され、近年は生徒同士で意見を出し合いながら、頑張っているとのことです。
 先輩から後輩へ、このように良き伝統を引き継ぎながら、自らを見つめ自分を知り、対戦相手など他者を意識し、仲間に思いを伝え、協力し、支え合いをしながら子供達が成長しています。
 入学時は、不安で人を避けたり、人前で話せなかった生徒達が、多くの観客の前で、堂々とロボットを操作し、勝利した時のガッツポーズは印象的でありました。

 和歌山県は障害を克服して頑張っている人や、それを支援して頑張っている人を表彰する紀の国チャレンジド賞という制度があります。もう15回を重ねていますが、この名称は「障害のある人は、神様から試練を与えられている=チャレンジされている人々だ。それを克服する人にこそ栄冠が与えられるべきだ」という考えからきているのだそうです。米国から導入された考え方だそうですが、根っからの日本人である私などは、障害のある人に『あなたは神様にチャレンジされているのだ』というのは、大変な言い方だなあと、少し怯むところがありました。しかし、パラリンピックで活躍した選手や全日本ロボット選手権中学生の部で1位と3位の栄冠を手にした生徒さん達は、真の意味でチャレンジド賞に値する人達だと思いました。

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