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仁坂吉伸の思い

阿波踊り狂想曲

2018年08月27日

 夏の風物詩に阿波踊りがあります。和歌山県の対岸の徳島県徳島市のお祭りですが、規模も大きく、勇壮だし、参加者の方々の入れ込み方も半端ではなく、これを見に多くの観光客も訪れ、大したものだと感心していました。

 ところが、今年は、少し風向きがおかしく、徳島市と徳島市観光協会の争いとしてずっと報道されてきました。発端は、観光協会の運営が少し雑であったのか、あんなに流行っている阿波踊りが何と巨額の累積赤字をためているとのことで、ここ毎年補助金を出している徳島市が噛みついて、観光協会の運営の仕方や祭りの実施体制が問題となり、一時は今年の阿波踊りそのものの実施も危機にあるというような報道に接することもありました。

 実施体制を見直して、今年も阿波踊りそのものはちゃんと行われたのですが、またまたハイライトの総踊りの実施をめぐって、徳島市長さんと阿波おどり振興協会のメンバーや踊り子さん達が対立しているという報道がありました。
 報道によりますと、市長さん達は、総踊り会場のみが賑わうというのはいけないので、これを中止にして、各会場のある各町内が平等に潤うようにしようと言っているようですが、反対の方々は、総踊りを中止にするような事は許さないと、どこかの町に集まって一部の人々で「総踊り」を実行してしまったとのことでした。

 何事も平穏に推移しているとマスコミも夏の風物詩ぐらいで軽く報ずる程度ですが、このように揉め事が起こると、途端に、たくさんの報道陣が集まってきて、テレビのワイドショーなんかでも詳しく報じてくれます。報じている人も見ている人もこれはおもしろい、おもしろいと見てしまうわけですが、一生懸命阿波踊りに打ち込んで、お祭りに貢献している徳島の人々にとっては愉快ではないのではないかと同情を禁じえません。

 しかし、根本的な所で、徳島は、というよりは徳島市の阿波踊りは素晴らしいのであります。和歌山が学ばなければならない大きな点があるのであります。
 それは、阿波踊りという自分達のお祭りを、よそに住んでいる人に対しても興味の対象とし、それを観るために、この時期徳島に多くの観光客を呼び込むことに成功していることであります。

 お祭りは素晴らしいものであります。参加する人が皆一体感を共有することもできますし、阿波踊りのように華やかなものを毎年続けているということは、参加する人もうれしいし、観る人も楽しいし、徳島の方々が郷土について誇りを持つ材料となるでしょう。

 しかし、あれだけ派手なものを行おうとすると、そのコストも大変巨額なものにのぼると思います。そうすると、その費用を誰が出すのかということになるわけです。古来お祭りは、地元のものですから、地元の「名士」が負担力に応じて、その費用を拠出してきました。和歌山の多くのお祭りもそうで、その維持は、地元の「名士」の寄付によって成り立ってきたと思います。しかし、段々と世の中が世知辛くなり、「名士」の数も減ってくると、お祭りの台所が苦しくなります。そこで出てくるのが市役所や県という公共団体の補助金であります。お祭りの「寄付文化」から「公共機関依存文化」へのシフトが行われるわけであります。しかし、地方公共団体の負担力はもっと危機的であります。段々と、潤沢に補助金が出せなくなって、お祭りが先細りになり、とうとう中止に追い込まれたものがたくさんあります。あるいは、公共機関への依存はあんまりしないで、参加者(踊り手や出演者)への依存に頼っているものもあります。これは大いに健全ですが、大がかりにとか贅沢に、華やかにという事には限界があります。

 和歌山県にも各地にその伝統文化に依拠した素晴らしいお祭りはあり、各地の実行委員会の方々のそれこそ寝食を忘れる努力により、立派に維持されています。和歌山市を例にとると、伝統を誇る春の和歌祭に加えて、華やかな花火の打ち上がる港まつり、今年50回目を迎えた紀州おどりぶんだら節と、15回目のおどるんや紀州よさこい祭りがありますが、それぞれ金策から様々な手続き、連絡、会場の整理などをされている実行委員会の皆さんには本当に頭が下がります。県庁でも、出演をするのはもちろん、ボランティアや会の運営の応援に多くの選手が参加しています。私もその一人です。

 ただ、こうやって頑張っている和歌山県のお祭りと阿波踊りとで、一つだけ決定的な違いがあります。それは、踊り手になって参加している人と観客として参加している人との比率が圧倒的に違うということです。和歌山県のお祭りは、踊り手や出演者として参加している人は随分たくさん居るけれど、観客はそう多くありません。阿波踊りは踊る阿呆も一杯居るけれど、見る阿呆も一杯いるということです。地元の人なら、同じ阿呆なら踊らにゃ損損ということで皆踊り手に参加するのですが、他所からも一杯見に来て、これらの人が泊まったり、食べたり、お土産を買ったりして地元にお金を落としてくれるのです。そしてこうやって潤った商店街や観光業者が応分にその一部をはき出して、それが寄付としてお祭りを支えている・・・、と私は読んでいます。そうすれば貧乏な地方公共団体に頼らなくても、一銭の儲けにもならないけれど単に地域への愛情と義務感で寄付してくれている有力者の親切心に過度に頼らなくてもよいのです。京都のいくつかのお祭りなどもこうやって経済的に理のかなった資金循環の元に維持されていると私は思っています。

 従って、私は和歌山のお祭りの世話役として本当に立派な活動をしておられる人々に、お客さんからお金を取るメカニズムを作ろう、それを可能にするようにお客さんを一杯集めようと説いています。そのために、県自体も呼び水的助成の制度を作りました。お祭りの有志の方々が賛同してくれて、有料の桟敷などが少しずつできてきました。ぶんだらと紀州よさこいの会場となる市役所前の通りも、そのような観衆を集められるような歩道や広場の作り替えを市役所が力を入れて計画してくれるようになりました。

 なかなか大変な世の中ですが、素晴らしい和歌山県の文化と伝統、そして住民の一体感を支えるお祭りの永続を図らなければなりません。安易に取りやすい所から寄付を集めて、何とか持たせるというだけでなく、ビジネスとしての持続可能性も図らなければなりません。阿波踊りのちょっとした内輪もめに興味を持っている暇はないのであります。

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