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仁坂吉伸の思い

運動部における絶対服従の風土

2018年09月10日

 私は文弱の徒で、高校生以上の人生で運動部、体育会というようなものに属したことはありません。ただし、そんな私も、スポーツは大好きで、テレビなどでスポーツ観戦はかなり熱心にしていますし、テレビ等からの耳学問ですが今でも結構評論みたいなことはいたします。する方も、ちょっとかじってみるのは嫌いではなく、野球もテニスもスキーもサッカーも、遊びでとか、クラスマッチとかでは大いに楽しんで参りました。

 そういうスポーツ大好きな私ですが、大嫌いなのは運動部における絶対服従の風土であります。今はそれほど一般的ではないと信じていますが、部長や監督の言うこと、上級生の言うことには絶対服従、それに異を唱えたり、理屈を言ったりしては絶対に駄目、一旦できあがった鉄の統制組織は絶対に守るというような風土が、運動部にはあるような気がするのですが、そういうのは、私は大嫌いであります。

 集団でスポーツをすることも多いので、皆がばらばらに動いては、良い結果をもたらすこともできないので、一種の統制ということも必要でしょうし、特に高校生や大学生のスポーツでは、年齢による技量の差が大きいでしょうから、先輩に教えてもらうということはとても大事なことであります。だから、指導者や先輩は熱心に、時には厳しく、後輩を指導することも必要だし、それが部の人間的結束に繋がることはむしろ一般的で、良いことだとは思います。

 しかし、走れと言われて、ただ走っているだけでは、本当には強くなれない、と私は思います。人間は考える葦だし、工夫する動物だから、後輩がそれはこうした方が良いのではないでしょうかとか進言するのは大事なことだと思いますし、理不尽な命令や指導には異を唱えた方が、結局はそのチームが強くなることになると思います。それを、ここは運動部だからそんな理屈を言う奴は成敗してやるとか、罰を与えるとか、そういう形で絶対服従を強制していく風土があるとすれば、私はすぐ改めた方が良いと思います。

 スポーツにはスポーツマンシップという大事な事があって、強くなり、試合に勝つということと並んで、正義の心をも涵養することも大事な目的であると思います。ところが絶対服従の風土が余りにも強すぎると、それが達成できなくなってしまいます。

 その例の一つが日本大学のアメリカンフットボール部の「相手をつぶしてこい」という指令であると思います。そんなことが学校スポーツという教育のレベルで行われているとすれば、何のための教育かということになってしまいます。その後、余り報道されないので、不問に付されたのかと思いますが、大阪で起こった高校生のハンドボール部の部員の肘打ち事件や、その前日に語られていた当該生徒の相手生徒への事件を予見しかねないような暴力的なSNS発言もとてもいけないことだと思いました。肘打ちをくらわした方の学校の先生が、生徒を庇って、肘打ちは偶然で、前日のSNSはふざけていただけで、試合の際の行動とは関係がないと言っていましたが、私は個人的には、大変おかしい発言だと思って聞いていました。相手に絡まれて振り解こうとしたとしても、やり方はあるでしょうし、相手を加害してよいという事は絶対にありません。また、前日のSNS発言が試合の際の行動と関係があろうとなかろうと神聖なスポーツを材料に、悪ふざけであろうとなかろうと暴力を予告するような事を発言する事自体が、厳しく注意されるべき行動だと私は思います。

 そういう中で、和歌山県でも星林高校ラグビー部で顧問の教諭による部員への暴行事件が起きてしまいました。練習の打ち上げとはいえ、先生が生徒の前で飲酒した事、生徒に暴行をはたらいた事もいけない事ですが、私は、その暴行の理由がさらにいけないと思います。この先生は、生徒たちに練習後のグラウンドの整備が遅いと注意したところ、生徒が「部員が少ないから仕方がない」と理屈を言ったために、激昂して暴力に及んだとの事です。
 理屈を言って何が悪いのでしょうか。むしろ言うのが当たり前で、それについて、教師も思うところを述べて、議論をしたらよいのです。そして、その中で生徒に甘えやずるさが万一あるとすれば、それを諄々と注意をすればよいのだと私は思います。

 幸い和歌山県教育委員会が間髪を入れず毅然とした態度を示してくれて、この教師は懲戒免職の処分が下され、一緒に酒を飲んでいた教師や学校の管理者にも相応の処分が下されました。私は処分は当然だと思いますが、聞くところによれば、この教師は、本当は人望もあり、有望な前途もあった人だそうであります。教師としての人生は絶たれたわけですが、運動部の絶対服従の呪縛から離れて、また立派な人生を送ってほしいと思っています。
 この例のように、ちょっと理屈を言ったら、いきなり暴力が飛んでくる。それでは、戦前の軍隊と同じであります。上官の言う事は絶対、問答無用、根性を入れ直してやる、鉄拳制裁……そんな風土が、結局は軍隊を本当は弱体化し、国家を弱くしたのだと私は思います。中公新書に吉田裕さんが書いた「日本軍兵士」という本には、このような悲劇が一杯挙げられていました。

 私たちは、スポーツでも、これらとは全く逆の立派なモデルを持っています。しかも、私たちの和歌山県にゆかりの人で。
 大学ラグビー選手権で帝京大学を9年連続日本一に導いた和歌山県新宮高校出身、岩出雅之監督であります。前にも書いたので省略しますが(平成30年6月「すばらしいリーダー 帝京大学ラグビー部 岩出雅之監督」)、この中には、上に書いたような運動部の絶対服従の風土とは180度違う世界が繰り広げられています。
 県庁もそうであります。上役の指示、命令には絶対だなどと考えてはいけません。全職員が自分で考えて、上役にどんどん進言、提案すべきであります。その方が文殊の知恵ですから良いものが期待できるに決まっています。十分議論して最後には上役が決め、責任を取れば良いのです。

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