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仁坂吉伸の思い

それでも私は司法に絶望したくない

2019年04月15日

 テレビドラマの先のクール(1月~3月)では警察ものが少し減り、代わりに弁護士ものが増えました。その中の一つ「イノセンス冤罪弁護士」を見ていました。仕事で中々放送時間に見られないことが多いので、録画をして後で見るのです。検察庁の大幹部の息子に生まれ、工学部で学んでいた主人公の親友がその恋人を殺したという嫌疑を受け起訴され、裁判中に自殺したという事件をきっかけに、冤罪と戦うために弁護士になり、殺された恋人の兄の大学の工学部の先生の助けなども借りながら、数々の事件と向きあい、冤罪を晴らすべく頑張り、終には親友の嫌疑も晴らすというストーリーで、毎回中々迫力のあるストーリーのように思えて時に感動しながら見ておりました。
 指弾される方の検察や警察のずさんさがしょっ中出てくるので、現実はそういったものでもないのだろうと思いつつ、それらと戦う弁護士の主人公に声援を送っておりました。
そういう冤罪を晴らす機会があるという意味でも、司法というものが存在する日本の世の形はよく出来ていると思うわけです。

 同じく弁護士さんが登場する案件としては、我々行政庁が被告となる行政訴訟や、行政庁が原告又は被告になる民事訴訟があります。我々も決していい加減に行政をしていませんので、訴訟を起こされたりするとムッとしますし、自分なりの正義感はありますから、何でこんなたかりみたいな話で訴訟を起こすのだ、我々が負けるはずはないけれど、応訴するために県民の大事なお金を使って弁護士さん雇う必要があるので、県民にとって迷惑な話だなあと思ったりもします。
 しかし、民主主義の世界の装置としては、致し方がありません。

 また世の中の訴訟案件を報道で見たりしますと、世の中の重大関心事について勝った、負けたが報じられます。もちろん判決の主文についで理由が必ずつけられますから、その勝ち負けの判定についての裁判官の考えも報道されます。時々それはひどいなあと考える時もあります。特に最近の裁判官は、すべての事に自分で黒白の判断を加えなければならないとでも考えているような気がします。昔はそこから先は行政判断に依らざるを得ないと言った案件も、全部自分で判断しようとしているケースが多く見られます。法学部を出て、特定の技術的なことについては、訴訟を担当して初めて勉強をし始めたといった人が、高度に技術的な事象をいとも軽々と自分が判断してしまうというような判決を見ると、この裁判官は自らが神様になったと勘違いしていないかと思う時もあります。多くの場合上級審の判断でその判断が覆されるケースが多いのですが、その道の技術的研究に長い人生をかけて多くの真実を見極めてきた人からすると、本当に腹が立つだろうなあと思います。

 しかし、上記のようなことがあるからと言って、司法の制度は無駄だとか、やめてしまえとか言ってはいけないと思います。我々行政の判断や行為にも間違いがないという保証はありません。県がからむ訴訟案件の中で、この点は部分的には少なくとも手続きを間違っているなあなどという瑕疵はあるのですが、それに加えて弁護士さんの鋭い指摘によって我々自身が気も付いていなかった誤りが出てこないとも限りません。先ほどの神様的判断も、それもきっかけにして議論が起こり、さらに知見が精緻になるという場合もあるでしょう。
 したがって、弁護士の方々は精一杯主張をし、検察の方々は、精一杯真実を明らかにし、裁判官の方は精一杯情報を集めて最善と思われる判決を下されれば良いと思います。それが我々行政に対する緊張感の一つになるのですから。我々行政の方も、精一杯正しい行政をすれば良いのだと思います。

 そういう弁護士の方々が社会正義を考えられる時、時には行政にお願いされることが有り、それも和歌山県の場合、極めて建設的なことを言ってきてくれています。司法でできない事、その一つは予防だと私は思います。司法は実際に何かが起こり、争いが起こらないと解決ができません。しかし、行政はそれができます。
 弁護士の方々の御提案に私が飛びついて、わかやまmine(マイン)ができました。性犯罪の被害者に寄り添って、心身を守り、希望に応じて加害者に制裁を加える手段を準備するものです。本格的なものとしては全国で初めて県が設立運営、実施するセンターが県立医大の中にできました。
 今年の政策では更に二つの案件が実現しました。一つは犯罪被害者等支援条例です。これを作ってほしいというご要望があった時私は申しました。お題目だけを書いた条例は、やったふりみたいで好みません。作るからには犯罪被害者に本当に助けとなる条例を研究しましょう。そして、経済的負担の軽減を図るための生活資金貸付と、弁護士相談の公費負担を実際に行うことのできる制度を保証する条例をこの2月議会で議決してもらいました。もう一つは災害の時ADR(裁判外紛争解決手続き)を行う場所として県の建物など公的施設を弁護士会に貸して欲しいというお願いでした。これもよく話し合いのうち、弁護士会のご要望を最大限お聞きする仕組みを作りました。

 社会正義の番人として、弁護士さんを始め司法の方々の役割は大事です。「イノセンス冤罪弁護士」の若手弁護士が「人は過ちを犯すものです。だから事件が起き、時には冤罪が生まれ、多くの人が傷ついていく。それでも僕は司法に絶望したくありません。真実を追究しようとする意思と、過ちが起きた時はそれを認め、正すことのできる勇気があれば、冤罪は必ず晴らすことができると信じているからです。」と語ったように。仮に行政の立場から、腹が立つなあと思うような動きが司法にあったとしても、私もまた司法には絶望はしたくありません。

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