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仁坂吉伸の思い

「などてすめろぎはひととなりたまひし」

2019年04月29日

三島由紀夫に「英霊の聲」という本があります。「などてすめろぎはひととなりたまひし」はその中でくり返し唱えられる英霊の声なのであります。
2.26事件の反乱軍、先の大戦の戦死者、そのような人々が次々と霊となって現れ、大勢で行進しながらこの言葉を吐くのであります。
昭和天皇が人間宣言をされ、「人となられた」のを恨む人の声であります。彼らは現人神の天皇を信じ、すべてをかけ、命を捨てたのに、その天皇が人となってしまわれた事をお恨みしますといったお話です。

私は三島由紀夫のファンでありました。今でも大作家だと思っています。一番すごいと思ったのは、「豊饒の海」4部作「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」です。私は好きになると、全部読むタイプなので、ふつうに出版されている著作は皆読みました。そして昭和45年11月25日陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地での自決事件で大変なショックを受けました。私が大学1年生の時のことでした。

三島由紀夫は、美を追究した人だと思います。なまっ白いひ弱な大蔵官僚だと美しくないから、体を徹底的に鍛えて美しい肉体も手に入れました。
お国柄も美しくないといけない。憲法の文言上は軍備放棄といいながら、便宜的に自衛隊に頼っている日本という国を美しくないと思ったのでしょう。だから、それを諫めて諫死をした。切腹です。天皇についても彼にとっての美しい思いを持ちたかったのだと思います。大元師として、日本臣民のために死ねと命じ、日本を美しく滅ぼしてほしかった。それが三島由紀夫の美学だと思います。でも天皇陛下は人間になられ、象徴天皇として、平和と国民統合の要になられた。それが無念だというのが、英霊の聲だと思います。

三島だけではないと思います。三島由紀夫は賢い人ですから、自分の考えが世俗をこえた、観念の世界での話だと知っていた。だから美の追求なのだと思います。しかし、戦前、戦中の日本には、天皇陛下を敬うといいつつ、自らの考えにあった天皇陛下のあり方を強引に追求した人々が腐るほどいたと私は思います。本当は、アングロサクソンに対する敬意と平和への希求、民を苦難に陥れることをとても嫌われていた昭和天皇のご意向などお構いなしに、自らの政治的意志をデコレートする者として天皇陛下を利用した、それが、戦前、戦中の世界だと思います。だから、昭和天皇が頼りにしておられた重臣をテロで排除して、自分達が理想とする天皇制国家を作ろうとした2.26事件の将校達が現れるのであります。また、敗戦の詔勅を奪い、クーデターを起こして、昭和天皇をおさらいして、戦争を継続しようとして、日本の一番長い日の将校グループが登場するわけであります。もっと自然な天皇陛下への敬愛があったなら、ああいうことは起こらなかったと私は思います。彼らにとって天皇陛下は自分達の理想を追求するための機関です。彼らが排除した美濃部達吉教授の「天皇機関説」を自ら実行しているに同じです。
三島由紀夫は今でも好きではありますが、英霊の聲の「などてすめろぎはひととなりたまひし」には賛成できません。そういう人々が出てきてはいけません。私は天皇家と天皇家の方々を心から敬愛し、尊敬しています。私にとって天皇陛下は、一生懸命国民のことを考えて下さるありがたい人です。災害があった時、犠牲者のことを我が事のように悲しまれ、被害者を心から励まして下さる立派な方であります。その思いは、何と申したらよいのか分かりませんが、ほのぼのと心から湧いてくるものであります。今までの職業生活、人生の中で、外国の君主とか元首とかを見るにつけてもそう思います。日本に生まれてよかったと思う要因にもなっています。これ以上何を望むこともなく、自らの理想利害の追求のために利用することなど許すことなく、立派な天皇陛下として自然に敬愛したいと思います。

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