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仁坂吉伸の思い

すっきりしない「スッキリ」の報道

2019年09月30日

 今年の台風15号は、各地にまた爪痕を残しましたが、特に千葉県に停電の被害をもたらし、それがえらく長引いています。
 風台風で、大雨台風の時のように斜面の大崩落や、河川の決壊などで人的被害や物的な大破壊があったわけではないので、初めは、全国紙やテレビでも、台風の被害報告も大したことはなかったのですが、千葉県は、各地で電線が寸断されていて、その復旧がはかばかしくないもので、段々とそれに焦点を当てた報道が多くなり、被災地の方々の生活の不便さを描き電力会社や行政の無策を批判するトーンになってきました。
 
 実は昨年9月和歌山県も台風21号の直撃を受け大損害を被りましたが、洪水や崖崩れは、いつもの大台風ほどではなく、代わりに風で電柱や電線が破損したことによる停電がいつまでも続き苦しみました。
 和歌山県は、つい最近も、もっと悲惨な紀伊半島大水害に、ちょうど東日本大震災の年、その半年後に見舞われました。その時は、やはり県内でも大停電も起こっていましたが、関西電力や応援の全国の電力会社の働きが素晴らしくて、私が予想していた以上に早期に復旧することが出来ました。毎日、電力、通信、鉄道、もちろん自衛隊や国交省など関係機関を網羅した県災害対策本部を開いて、私は時には激しい言葉も交えながら全体の復旧復興の司令部の長を努めていたのですが、その中では電力の復旧は私の期待以上の速さでした。
 台風21号の時も、すぐ同じような災害対策本部を開き、復旧全体の進捗と見通しをチェックしましたが、電力は3日ぐらいで復旧できると思うということで、これは上記経緯から大丈夫だろうと信頼をしていました。それがいっこうに進みません。電力の復旧は電力会社に全責任があり、頑張ってもらうしかないのです。こういう時に自治体がよくやることは、早くやれと叱ったり、説明に来いと言ったり、抗議したりしがちです。でもそれは、責任を持って現場で頑張っている人達の邪魔をしている面もありますので、私はいつもぐっと我慢して様子を見ることにしています。
 ところが復旧はいっこうに進まず、聞いてみると、紀伊半島大水害の時の3倍の破損箇所があり、近畿全体に被害があったので、1/3の陣容でしか対応できなかったので遅くなったとのことでした。経産省も早くやれと関西電力をせっついたのでしょうが、その時関西電力の東京支社からは「道が通れないので直しに行けません。」と言われたらしく、経産省から県に「道が通れるように、自衛隊に頼みましょうか」という打診が来ました。「何を言っとるんだ。道は、県庁の啓開部隊が発災後一日で全部通れるようにしてあるぞ。」と言いつつ、何故このような嘘を言うのだと色々調べてみて分かったことがありました。確かに道は全部通れるのですが、和歌山県は山だらけの所で山の中の集落に通じる道沿いの斜面の際に電柱が立っているのですが、斜面からの倒木でその電柱、電線がこんがらがってズタズタになっているのを、どうも「道が通れない。」といい加減な報告をしてしまったのが、本社の認識になったからというのが真相のようでした。

 そこで咄嗟に考えたのですが、電力会社の復旧チームは電柱を立て、電線を張るのはプロだけど、斜面の倒木を切ったり、除けたり、崖崩れを防いだりすることはそう得意ではないのではないか。それならば、そちらのプロである県庁土木部隊が協力して木を切ったり、除けたりして協力してあげようかということです。もう災害後一週間の時間が経っていましたが、急に電力会社とその協力の相談に入ったのです。その後は両者の協力により格段に復旧スピードが増し、あっという間とは言えませんが、まもなく全県に電力の灯がともったのです。
 もとより、電力復旧は法制的にも電力会社の仕事ですが、多くの県民が被害に遭って困っている時、誰の仕事だなんて言っていてはいかんというのが私の考えですので、紀伊半島大水害の時も瓦礫の処理などで、この考え方で早期復旧を果たしてきました。今回は電力復旧で、それを採用したということです。

 しかし、電力会社の働きに対する前述の信頼が油断になったのか、この電力復旧への県の土木部隊投入が約一週間思いつかなかったのは、正直しまったと思っているわけです。しかも、あの時は私が咄嗟に思いついたので少しはましな早い復旧が出来たけれど、全ての人が思いつくとは限らないし、後世、それは電力会社の仕事であって自分の仕事ではないという頭の固い人が県政を担ったら、もっと復旧が遅れるかもしれないという恐れがあります。従って、今回思いつきで緊急発動したあの措置を、いつも自動的に発動できるように制度化しておかなければならないと思い、じっくりでよいから、県と関西電力で協力協定を作って残しておこうと職員に指令を出したわけです。その協定が、色々な面から時間をかけてチェックしてでき上がり、NTTとも同様な約束をしておこうとして、両社長の都合のつく4月4日に調印ということになったのです。

 和歌山県には、こういった仕掛けが他にもいっぱいありますが、大体は災害を受けて、事件の渦中で必死に思いついて実行したものを、その後、制度化して、以降自動的に発動できるようにしたものです。(下記参照) 

1.星1つから3つまでリスク評価をした避難場所(避難所と同一とは限らない)を地震津波用と水害用に分けて発表
2.防災訓練をショー的なものから実戦型に転換
3.Donetを利用した南海トラフにおける地震の実測に基づく津波の到達予測システムの構 築
4.エリアメール・緊急速報メールを使った防災情報の伝達
5.FMラジオを使った防災情報の伝達とそのための設備整備
6.和歌山県独自の気象予測システムの導入及び避難勧告等の判断伝達モデル基準の策定と市町村への伝達
7.避難場所とそのルートを簡単に検索でき、家族の避難情報等も分かる県独自の防災ナビアプリ配信
8.災害時緊急機動支援隊の常設化(10人×4班×18市町)
9.産業廃棄物企業を動員した災害廃棄物処理支援をあらかじめ準備
10.民間企業の力を借りた災害廃棄物としての流木の迅速処理
11.住家被害認定支援要員の養成と派遣体制の構築
12.住宅の耐震助成
13.ホテル、福祉施設など大規模建築物の耐震助成
14.発災直後から救援物資の受入れをコントロールし、必要に応じた配布体制
15.義援金の早期配付
16.空き家、旅館ホテルを借り上げて応急仮設住宅として提供
17.下流の洪水被害の低減を図るため、関西電力と協力して、大雨前にダムの空容量の拡大のためのダムの管理運用の見直し
18.民間企業を活用した県管理河川における砂利の一般採取促進

19.避難困難地域完全解消のための対策
20.復興計画の事前策定への着手
  
 ただ、そういう仕掛け、制度は、何も知的財産権を主張すべきものでもなく、他県も大いに採用してもらったらいいと思って、けっこう声高に紹介しているつもりですが、驚くほど、真似をしに来る県はありません。(逆に和歌山県は、他県のいい制度は結構真似をしているのですが。)あるいは和歌山県や和歌山県知事が真面目なだけで、地味だからあまり報道してもらえないからかもしれません。

 千葉県はまさに今、1年前の和歌山県の苦しみを負っています。他の面も含めて、何か助けられることはないかと調べたり、考えたり、千葉県に打診していますが、中々ないようです。唯一関西電力の復旧部隊が全国の他の電力と同じように千葉県で活躍中です。ただし関電の話では、ようやく要請が来たのは4日経ってからだとのことでした。

 そして、大変だ!大変だのテレビ報道の大合唱の中、9月19日(8:00~10:25)の日本テレビ系全国放送で「スッキリ」の報道がありました。そこでは千葉県の復旧の遅れとともに、その対比として和歌山県と関西電力の協力協定のことが報道されました。大変な目に遭って苦しんでいる千葉県民や県庁や市町村の方々に対して、和歌山県を見習えというような報じられ方は、友に対して傷口に塩を塗り込んでいるような気がして、こういう局面で取り上げられるのもあんまり嬉しくないのですが、次のことをキャスターとリポーターの方が言ったのにはとてもカチンときました。

 それは、「和歌山県も昨年の9月に台風に遭ってから実際に協定ができたのは4月なんですね、随分かかっていますね」という発言があったことです。正確に言うと次のとおりです。

ハリセンボン近藤:どのくらいの期間で、協定って結べるものなんですか?
大竹リポーター:かなりかかったそうなんです。去年の9月ですから、結ばれたのが今年の4月なんでね。この教訓を生かして、そういう協定を結ぼうとしたんだけど、それだけまた時間がかかった。
水トアナウンサー:そこまでは電力会社だけでやって、半年かかって協定を結んで、そこからやっと他の人が手を出せる。

 およそ、真面目に経緯を調べもせず、台風があったのは9月、協定は4月だから遅いという想像だけでしゃべっているのでしょうが、和歌山県がこの協定にある内容のアクションを起こしたのは発災直後です。

 まず、行動してから、それを定常化するために協定を結んだのであって、協定を結んでからようやく発動が可能となったのではないのです。
 県民の幸せのためなら、特にそれが非常の際は、誰の仕事だ、誰の責任だなどと一切言わないで全力を挙げるという和歌山県庁が、9月に発災してから次の年の4月にようやく発動が可能になるというような制度を作ってのうのうとしていたとでも思われかねないこのテレビ報道に大変な不快を感じました。ちゃんと取材をしてから言ってくれ。

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