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仁坂吉伸の思い

新型コロナウイルス感染症について(その8)~クラスター発表、現在の患者数、徹底的なヒアリング、肺炎発症者の検査~

2020年03月18日

 新型コロナウィルス感染症が世界中で猛威を振るい、多くの死者も出ているし、経済も国際交流もズタズタになっています。その中では、日本もまだまだ感染症は出続けているけれど、他国に比べると爆発的増加は何とか避けられているようです。国も地方の当局も医療関係者も国民も協力的態度で(一部とんでもない人が愛知県に現れましたが)忍耐強く努力している結果だと思います。
 その中で和歌山県は流行の端緒に院内感染という大危機がありましたが、何とかその正常化・復活に成功し、その後も他県由来の単発的発症があるのですが、何とか封じ込めに成功しています。(あくまでも今のところではありますので、偉そうにはとても言えませんが。)
 その中で、思う事とひょっとしたら和歌山県の経験が参考になるかもしれないと思われる事が3つあります。

 第1は、3月16日の厚労省による全国のクラスター発表です。当然2月中旬の和歌山県の済生会有田病院も15のうちの1つとして入っています。和歌山県の例が発表された事については、事実だから異論はありません。しかし、気になるのは時制(tense)がないことです。テレビの報道でも、現在形で紹介されていたのが困った事だと思います。済生会有田病院のクラスターは、他に飛び火させず、2月18日以来終息し、3月4日にはこの病院は完全復活を遂げています。厚労省の発表がどういう意図であったかは承知しませんが、政府もマスコミも、是非、終息したものと未だ注意を要するものときちんと分けて扱ってほしいと思います。(3月17日、この発表から和歌山県分が削除されました。)
 同じことは、感染者の数の発表の仕方にも言えます。メディアに発表されるのはすべてこれまでに発生した患者さんの累計です。もちろん今でも新たな感染者はあるわけですが、一方では全快して退院された人もどんどん出てきています。今国民の関心であり、防疫対策として大事なことは発症者の現在数であって、累計数ではありません。典型的なのは和歌山県で、2月中旬病院の院内感染などで一挙に13人発症し、その後2人が別々に発症して累計は15人ですが、一方で治って退院をし、更に2週間の経過観察期間を経て社会に復帰している人もどんどん出ていますので、目下患者さんは4人です。
 テレビ報道などでは、既に治った人何人という報道も最近は始まりましたが、引き算(感染者-死亡者-退院者)をしないと現在数が分からないというのは、この問題に国民が立ち向かう時に一番大事な情報が分かりにくいという形になっています。和歌山県ではつとにそうやって発表していますが、全国的にも改善を促したいものです。
 ただし、死者だけは戻りません。これだけはやはり累計に意味があります。和歌山県でもお一人尊い命を亡くされました。痛切の極みです。人の命だけは何としても助けないといけません。

 第2は、前回にも申し上げましたように、PCR検査は手段であって、何の手段かというと、早期発見と隔離の手段です。昨日テレビを見ていると、また、例のWHOの事務局長が出てきて、「大事なことはテスト、テスト、テストだ。」と連呼をしていましたが、本当にこの人は困った人だと私は思いました。
 いくらテストをしまくっても、適切に隔離して、他に移さないようにしないと、PCR陰性と出てもただの気休めで、感染者を自由に動き回らせておくとそのうち移ってしまって、あれれ陰性だったのにと思うようなことが起こると想像されます。イタリアや韓国の感染の爆発は明らかにこれだと推察します。
 和歌山県は闇雲にPCR検査をしたから病院を再起させたのではありません。全国で苦しんでいる政府、自治体がたくさんある中で、こういうのは少し気が引けますが、他の参考にはなるだろうと思って以下申し上げます。
 病院で院内感染が起こった時、まず我々がやったことは病院自体の隔離です。そうは言っても入院患者もいる中で、できることは限られているので、新規外来患者のストップと患者発見と隔離、そして感染させるリスクの高い人からトリアージをして順番にPCR検査で陰性を証明すること(全員にまでやったのは一日も早く病院の「清浄性」を世の中の人に信用して欲しかったから)でありましたが、もう一つ、和歌山県で徹底的にやったのが、近隣に感染源かも知れない旅行者などが立ち寄っていないかというヒアリングとその店舗、ホテルなどの従業員に対する風邪症状等がないかどうかのヒアリングです。あの病院の院内感染の場合、院内にウィルスを持ち込んだ人は誰かということが分からなかったということもあり、それなら可能性のあるケースは全部調べようという意気込みでこのヒアリングを徹底的にやりました。その結果全部大丈夫だということで、一応これは感染は拡がっていないなという確信を持て、その後県庁とヒアリング先とで何かあったら連絡をして下さいというネットワークが出来ていることで、(何も起こらないわけですから)どんどんその確信が高まってきたのであります。
 この事は、もう一つ、住民、県民の方々の安心にも繋がります。また、風評被害防止にも使えます。感染源かも知れない人の考えられる全ての立ち寄り先を徹底的に調査したのですから、それで何ともないということは、感染は拡がっていないということなので安心して下さいと言いうることになります。
 その後発生した、大阪のライブハウス参加者の場合は、保健所から感染された人に、徹底的にヒアリングをさせてもらって行動履歴を明らかにし、濃厚接触者にはPCR検査を、そして立ち寄り先にはヒアリングをかけて、目が行き届いているので、その他の和歌山市の市民は全く心配はないということだと思って下さいとアナウンスをして、和歌山市民の動揺と風評被害の防止に努めたのです。
 色々と他所の事例などを調べていると、PCR検査を超えた、もう少し外側のこのような調査と監視をしてはいないなというところも多いようだという事がわかりました。
 人員に余裕がないなどそれぞれの事情があるとは思いますが、感染者への徹底的ヒアリングと、濃厚接触者以外のもっと軽そうな接触者の把握と監視が、少なくとも和歌山では有効であったと思います。(和歌山でもこの点を理解してくれていなかった事例もあったのですが。)
 もう1つ大事なことは、このようなオペレーションは、専門的に医学的な防疫を必死でやっている部局に頼って行ってはいけないということです。何と言っても主力部隊は県や市の健康医療部局ですから、ただでさえ手一杯のこの主力部隊に、周辺のヒアリングなどさせてはいけませんし、追加の作業をさせてもいけません。和歌山県の場合、そのことを私から散々職員に説諭した結果、商工観光労働部及び福祉保健政策局の部隊が、頑張ってこのことを遂行してくれました。済生会有田病院の時は、何しろ初めてのことで私も含めて五里霧中で始めたのですが、今では、県庁の商工部隊などは、何か起きたらその考えも理解した上で、パッと動いてくれるようになっています。

 第3は、肺炎発症の際のPCR検査です。
 和歌山県では、風邪かなと思った人が、医者にも行かず、自宅で一定日以上待機して下さいと言っても、びくびくしている人には酷だろうから、普段かかっているクリニックに行くことを止めません。クリニックは何日も治らないで、変だと思う人にはレントゲンか何かで肺炎を疑って下さい。それで肺炎の人は保健所に言っていただいたら、PCR検査をします。不幸にも陽性だったら、患者さんはもちろん隔離するしクリニックの先生等も厳重に検査をしてお世話しますという方針を県内の医師の方々に連絡してあって、毎日、少しずつ肺炎症例が挙がってきています。しかし、その数は1日10件内外で、済生会有田病院で発症がなくなってから、今日まではすべて陰性でした。
 しかし、一時2月末頃でしたか、政府のアドバイザーのような専門家が解説したりしているのを聞くと、風邪でも4日くらい37.5度以上の熱が続いている場合以外は医者にかかるな、何故ならば軽症重症を問わず多くの人が来て、病院がキャパシティーを超え、重症者が救えなくなるからという事でした。これに私は「従えません」と言ったわけです。そして、従来の方針どおり、ずっと上記のオペレーションを続けていて、感染の発見に努めています。
 何故従えないかというと、理由は2つあって、確かに、医療崩壊が起こっている時なら上記専門家のような方式に沿うしかないし、そうするということが重症者の命を助けるという点で正しいわけですが、今はまだまだ、澎湃として患者が発生している状況ではありません。クリニックが混み合って困っているという状況でもありません。
 また安倍総理が学校の休校まで決断して、押さえ込みをしようとしている最中に、押さえ込みが失敗して、手が付けられなくなった場合に必要な指導をしているというのは、どういうことだろうと思ったからです。
 それで、今のところは、和歌山県のこの肺炎をメルクマールとする発見システムは順調に機能しています。中には、風邪を引いたとたんPCR検査をしてくれという人もいるようですが、それは少し筋が違います。
 もっとも、最近の政府広報では、風邪気味の人はまずは出来るだけ自室にとどまって下さいと言っていて、医者の所へ行くなと言っていません。熱があるのに、無理をして仕事に出かけたり、イベントに出たり、アポがあるからと出かけたりすると、多くの人に迷惑を掛けてしまいます。したがって、その意味で政府広報がなされているとすると、これはまったく正しいと私は思います。

 ただし、本当に、感染が拡がってしまったらという最悪の事態には、こうするという別のオペレーションも考えておかなければなりません。和歌山県では2月15日からその旨は予告しています。その時は、病院は感染、発熱型の人を扱う外来(入口を含め)を一般と区別し、コロナであれば、軽症の人、疑わしい人を収容する病床を分けて、これを増やし、更に重症者を世話する病床を別に確保してその人の命を守ることを最大の目標とするということです。
 最近大阪府が委員会で研究を始めたという報道がありましたが、それであります。
 しかし、2月15日からずっと言っておりますのは、このように将来のことは考えてあるが、まだ今はその時ではないということであります。順番をむちゃくちゃにしたり、移行するタイミングを間違ったり、まだ押さえ込めるのに手を抜いてしまったり、という愚は避けないといけません。

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