もう一つの開通 -県道田辺龍神線の仮設道路の利用開始-

 昨年7月28日、田辺市街から龍神に向かう右会津川沿いの幹線道路、県道田辺龍神線で斜面崩壊が起こりました。
 県道の西側の山腹斜面が崩れまして、その土砂が県道まで落ちてきました。落ちた量はそれほどでもなく,人的被害もありませんでしたが、この崩壊斜面は大規模な崩壊の兆候があったので、農水省にお願いをして、水を抜くなど調査をしてもらっているところで、その結果がまだしかとはわかっていなかったものですから、落ちた土砂を撤去すれば終わりというわけにはいかない所でありました。ひょっとすると更に大規模な崩落が起こるかも知れないということで、斜面の見極めが付くまで車の通行を許して、もしもの事があってはいけないという状況にあったのです。そこで、当分は通行止めということになります。しかし、ここは幹線道路で、崩落箇所の上流下流にも人は結構住んでいて、上流には紀州備長炭公園もあるし、日々の行き来も、観光交流もかなり盛んなところで、とても困るのです。もちろん迂回路もありますが、とんでもなく長い距離になるし、細い道なので通れない車両もあります。これは本当に困ったなのです。
 そこでこれは思いきって決断しました。斜面の危険性の判断が付き、それに従って対策が打たれるまでの間、県道は通行止めとし、斜面の反対側、すなわち右会津川の対岸に観光バスなども通れる幅員のある仮設道路を作って、当分の間はそちらを通ってもらおう。工事は大至急行うことにして、出来るだけ早く交通の確保を図ろうということにしました。仮設道路とはいえ、結構大がかりな工事なものですから、大変なのですが、県庁の担当者、工事関係者が奮闘してくれて、3月27日から開通可能というところまでこぎ着けてくれました。これでこの地域の生活と経済活動は、守られたと思います。地元の方々も大いに喜んでくれていましたので、開通の日には、また皆さんとお祝いをしてと思っていましたが、コロナのため、イベントは自粛とさせていただきました。交通が復活し、生活が便利になり、今はコロナで中々大変ですが、いずれコロナ終息とともに観光客が大いに往来するという日が来ることを期待したいと思います。