新型コロナウイルス感染症対策(その13)-日本記者クラブ講演-

 4月10日、日本記者クラブから標記の件について、講演を頼まれました。すっと前からお受けしていたのですが、緊急事態宣言を安倍総理がする事態になり、とても記者クラブに聴者を集められなくなるし、私も東京には余程のことがないと行けない状態になりましたので、スカイプを使ったインターネット中継で行うことになりました。
 以下、県のスタッフが、その講演を書き起こしてくれましたので、貼り付けます。少し長いのですが、4月10日現在での和歌山県の考えを割とうまく出せたかなと思っていますので、是非、お読み下さい。
 なお、司会とインタビューの労をとって下さったのは、NHKの伊藤さんです。また、動画でご覧になりたい人は、日本記者クラブのホームページ(これまでの記者会見-会見リポート)をご覧下さい。
《日本記者クラブ講演(4月10日)》
司会:それでは時間になりましたので、記者会見を始めたいと思います。
 企画シリーズでお伝えしています「新型コロナウイルス8回目」。今日は、和歌山県の仁坂吉伸知事に登壇いただきます。今回の記者会見ですけれども、和歌山県庁と日本記者クラブをインターネットでつないだリモート会見の形をとります。こちらの日本記者クラブも、広い会議室で事務局の人数も絞って、それぞれの距離を置いた上で準備を進めております。そして会見参加者の皆さんには、インターネットを介して、ライブ中継をしてという形で行いたいと思います。司会は、日本記者クラブ企画員のNHK解説委員伊藤が担当いたします。よろしくお願いいたします。
 これからの段取りですけれども、仁坂知事から大体30分程度、資料を交えてお話をいただいた後、私の方から総括的な質問、そして、会見参加者の皆さんから質問を受け付けたいと思います。従来と違いますのは、会見参加者の皆さん、画面ズームというシステムを用いておりますけれども、画面の下側にQ&Aという部分がございます。こちらを利用して質問を送信してください。質問には、属先と氏名をご記入の上送っていただくようにお願いいたします。その中から適宜選んで質問させていただきたいと思います。なお、名前が難しい場合などありましたら、ふりがなを振っていただけると幸いであります。それでは、仁坂知事よろしくお願いします。

知事:どうぞよろしくお願いいたします。こういう日本記者クラブという、伝統のある立派なところでお話をさせていただいて、大変光栄でございます。本来は、東京に出かけて行ってということでしたけれども、こういうご時世ですから、こういう中継方式になったということで、ご了承いただきたいと思います。
 まず、私が呼ばれた理由というのは、この新型コロナウイルス感染症の早期に済生会有田病院のクラスターが発生して、院内感染だ、大変だという話があって、それをうまく再生させた。それで呼んであげよう、とこういうことではないかと思うわけです。従って、その時の話をまずさせていただきます。
 あの時は、2月13日でございましたけども、どうも院内感染が起こっていると、お医者さんが何人か、それから院内でも発熱をして苦しんでいる人が随分いるということで、これはえらいことだと思いました。それで、これはやっぱり、院内感染を、これ以上拡大させてはいけないというのが一番大事なことですので、まず、かかっているとおぼしい人にPCRでどんどん検査をして、それで、陽性の方は別の病院に搬出をして、そこで隔離をするということをしました。ただ、これ、病院ですので、入院患者さんをよそに移すわけにはいきません。従って、まだ発症してない、あるいは怪しい、そういう入院患者さんをそこへ入院していただいたまま、このオペレーションをしなくてはいけないという苦しい一時期になりました。そこで、PCRで陰性の方を増やしていくわけですけども、人にうつす可能性がある人から、トリアージをいたしまして、例えば、お医者さんあるいは看護師さんは、それぞれの患者さんのところにいらっしゃいますから、うつす可能性があります。従って、そういう人が最初、それから発症者の隣にいた人とかを最初にトリアージをしてどんどんやっていきまして、しばらくすると、多分これは、これ以上は増えないなというふうに、実は思ったんですけれども、もう1つの目的は、これから新型コロナウイルス感染症が跳梁跋扈する時に、この大きな病院が戦力にならないというのはとても困るので、1日も早く再開させたいと思ったわけです。
 そうすると、いやもう大丈夫ですよって言ってもなかなか皆さん信用しませんから、これはちょっと異例だったんですけども、全関係者にPCR検査ということを勝手に言いまして、厚労省のご協力、大阪府のご協力も求めて、早期にやってしまった。あとは経過観察ですから、2週間経って、大丈夫なので、3月4日に再生することが出来た。これが1つのストーリーです。
 その時に、実は、どんな形でこの病院の中に入ったのか、というのは分からないわけですから、周りで、当時は中国人由来に決まっているので、中国人の方が立ち寄ったところがどこかないかとか、色々徹底的にヒアリングをしました。それで、ちょっとでも症状がおかしい人はちゃんと診るとか、そういうことをやってきましたが、これもほとんど大丈夫だったので、従って、段々安心して来た、ということでした。
それから、もう1つ懸念したのは、済生会有田病院という病院でこのような院内感染が起こっているということは、県内に随分、実は広がっているんじゃないかという疑いを持ったわけです。それで、大体の人は肺炎を起こしますから、変な肺炎が県下にないかということを積極的に調べまして、肺炎の人に関しては片っ端からPCR検査をしました。その結果、全部陰性だったものですから、これもどうもそんなに流行っていないな、ということになって、ちょっと安心したということです。
 それで、記者会見を全部自分がやりました。これは割と評判も良かったのですが、理由は2つございまして、1つは、これは嫌なことです。嫌なことと言うのは、部下に任せてトップが逃げるというわけにはいきません。
 もう1つは、やっぱりどこまで言っていいかということについては、なかなか咄嗟の判断が要ります。上に相談していないからということで、ごまかしたり隠したりすると、いろんな疑心暗鬼を産みますから、自分がその場で判断をして、それで感染予防に必要なことをどんどん言っちゃったというのが、あの時の姿でありました。その結果、どうもマスコミでは偉いねって言われました。
 もう1つは、PCRをたくさんやったので、PCRをたくさんやった偉い人ということで、何か言われてしまいましたが、これは自分で言うのも変だけど、違うような気がするのです。PCRの数で議論するんじゃなくて、PCRはあくまで隔離の手段ですから、それを忘れて、隔離をしないでPCR検査だけすると、韓国みたいになるような気がしておりました。
 その後も和歌山県ではパラパラと感染者が出ます。その度ごとに、実は一定の哲学でもって我々は対応をしています。これが本当の和歌山方式だと思っているのですが、簡単に言いますと、早期発見と、それから早期隔離と、徹底した行動履歴のトレースです。まず、感染者が発見されます。そうすると、その人を隔離しなきゃいけないのですが、その人から、あなたはどういう行動してきましたか、ということを徹底的にヒアリングをするんです。そのヒアリングをした相手先に、今度は急いで迅速なヒアリングをすることで、何か起こってないかを探知して、あんまり起こらなかったんですけど、そういうことで潰していくことを、ずっと繰り返し繰り返しやって参りました。クラスターを病院で起こしてしまったのですが、クラスターを出さない、早期発見して一個一個潰していく。クラスターが出ても、次のクラスターに行かせないのです。これが一番大事なことだと思います。ただ、偉そうに言えないのは、ついこの間、学校でクラスターが出てしまいまして、これは大変不名誉なのですが、次のクラスターに飛ばないように、全力を挙げて潰しているという状況です。
 それで、ちょっと面白可笑しく言いますと、この徹底した行動履歴調査なんですが、中国とか韓国はIT機器を使って、デジタルでトレースしていますよね。和歌山県は残念ながら、日本もそうですが、そういうことが出来ないので、ヒアリングを徹底してやって、アナログでトレースをしていると、こんな感じかなといつも笑い話で言っています。
 それから早期発見という観点からすると、実は、1つだけ政府のご意向に逆らっているところがございます。これは、政府の方がどこまできっちり言っているのかよく分からないのですが、専門家の方がよく言うんですけど、初めに熱が出たりしても4日ぐらいは自宅に居てくださいと。それから、感染症指定病院に行ってください。こんなふうによく言われることになるんですが、和歌山はその方式をとっておりません。どうしているかと言うと、風邪を引いたら、人情としては、お医者さんに行きたくなるから、別に一般的なお医者さんが、早くも医療崩壊を起こしているわけじゃないので、従ってそこへ行って診てもらう。大体99.9%コロナではありません。しかし、どうもおかしいと。なかなか予想外のことが起こっているとクリニックの方でも誰でも考えたら、レントゲンを撮っていただいたり、あるいはCTを撮っていただいて、肺炎を疑っていただく。肺炎であるということになったら、今度は保健所に連絡して、以降は保健所の領域。感染症指定病院で、ちゃんとPCR検査をして確認をするとか、そういうことをやるわけです。陽性の前ですね。でも、この時点でも、実は、95%以上が新型コロナではありません。普通の肺炎であることが圧倒的に多いということです。
 もし、政府の専門家の仰るようにしたらどうなるかと言うと、例えば3月2日から安倍総理が学校休校してまで封じ込めをされて、その封じ込めようとされた時に、実はうちに居てくださいっていうのは、明らかに、専門家の方々も言っておられるように、医療崩壊が起こってしまって、無茶苦茶になってしまった状態の対処方針だと思うのです。それを強調して言うのは、おかしいなと。それから、重症者を放置することになる恐れがあります。それから、もし仮に4日経って、それで、やっぱりおかしいということで、医療機関に行けということになると、そこはクリニックでなくて感染症指定病院にみんな殺到することになります。そうするとミニ医療崩壊が起こってしまうんじゃないかと私たちは思っております。
 実は、この新型コロナ、マスコミもそうですが、みんな累計で発表されておられます。世界でもそうだし、日本の各県別の情報もそうです。だけど私はそれもおかしいと思っています。治った人がいたら、我々が対象としなきゃいけない、あるいは病院の医療崩壊を起こさないようなことを考えなきゃいけないのは、現在の患者数だろうと思うわけです。現に、和歌山県は、ある時に感染者が多分日本で一番になった日があったと思います。済生会有田病院のおかげですね。そのあと、そこを封じ込めてあまり出なかったもので、どんどん患者さんが減ってきて、3人というくらいまで行ったわけです。それで、我々はこの3人を相手にしながらやっていけばいいわけですが、これが累計でいきますと、もっと多いわけです。ところが、段々4月になってから、随分たくさんの方が感染をするようになりました。従って現在は、この時点で、19人の方々をお相手しなきゃいけないというようになって、今日も出ないかなと大変心配しているということです。
 現状を申し上げますと、ちょっと前に増えてきた時は、特に大阪の夜の街、あるいは繁華街に行って、もらって来られた方が和歌山で続発しました。それで、私の方も、特に大阪へ遊びに行くのは止めてくださいと言ったし、歓送迎会は危ないので止めてくださいと言ったりしておりました。しかし、その中で、今度は遊びに行ったのではなくて、電車で通勤をしている人が、少数ですけども感染をしているということが分かってきました。
 それから、ちょうど4月1日は人事異動時期ですから、緊急事態宣言の対象地域になっているところからも、例えば東京や大阪から、ずいぶん転勤をしてこられます。それから、東京なんかが大変だって、親御さんが学生さんを呼び戻したり、そういう疎開、帰省、避難、そういう方々もいらっしゃると思います。総理も、宣言区域の首長さんも、要するに行かないでくださいと言っておられるけれども、来た人に非難めかしいことを言うのは、人情にもとるわけですから、我々は、その方は2週間じっとしててくださいと言っています。併せて、その人こそ健康管理が必要なので、観察の目が行き届くように登録をしてくださいと。結構多くの方が登録をしてくれています。
 現在、少し発生の頻度が上がっている状態ですから、現在は全力で封じ込めをしているんですが、次の事を考えておかないといけません。次の事と言うと、多分、病院の再編が必要になってくる。感染症指定病床が30床と、結核を入れると40床くらいになるんですけど、これで十分間に合っているのですが、この調子で増えてくると、普通の病床を空けていただく必要があるので、それは今、努力中です。でも、ちょっと増えてくると、今度は、もう治っているけれども、まだ陽性が消えないという人がずいぶんいるんです。済生会有田病院のあたりの患者さんの1人は、実に45日間、陽性が消えませんでした。陽性の消えない人は外でうつすわけですから出せない。だけど、症状も全く無い。もう症状が無くなって1ヶ月以上じっとしている。こういう人もいたわけです。そうすると、新しい人を入れるためには、前にいた人をどこかに出さなきゃいけない。その人の自宅へ戻したらうつりますから、ホテルを借り上げたりすることも、これから必要なので、それは、密かに我々は準備をしております。ただ、今あんまりそんなことばかり外に言っても仕方ないので、防圧を一生懸命やっています。
 この時に大事なことは、病床のベッドではないと思います。医師・看護師、誰が手当するか、人間の問題だと思うんです。いきなり軽症の人を、そういうホテルの中に入れますと、一体、誰が面倒を見るのかということで、面倒を見るのも大変ですが、実は軽症者といえども、急速に重症化する人がいるんです。だけど、重症化した人、あるいは軽症のまま終わった人、治ってしまった人というのは、ほとんどぶり返しません。従って、普通のホテルに泊まっている一般客と同じように、ウイルスの拡散だけはやめていただくということで、お世話出来るんではないか。そうすると、お医者さんはあまり要らない、ということで和歌山県は考えています。
 次にですね、緊急事態宣言のことをちょっと申し上げたいと思います。
 よく安倍総理の宣言が遅いとかですね、自分のところでもやって下さいというような話があるようですが、実は、私はあんまり意味はないかなというふうに思っています。何故ならば、この緊急事態宣言に伴う措置自体が、平和なあるいは甘い国家の法制だというふうに思います。強制力はほとんどありません。その反対、平和でない、あるいは甘くない、そういう権力行政を執る、あるいは私権の制限をする、これは国民の皆さんも、マスコミの皆さんもとてもお嫌いになる、そういう国だっていうふうに思います。報道で外国の例なんか出てますけども、国民の皆さんはひょっとしたらあれと同じように考えてるかもしれないけど、全く違うっていうことだし、実際は宣言が出ても、措置は県知事の措置でございますね。既に皆さんですね、私も含めてですけれども、必要と思われることは、皆さん必死で一生懸命やっておられるわけです。それを上回る宣言が出てもですね、それを上回るものでも、評価されるものでもないんじゃないかなというふうに私は思っています。
 この騒ぎの中で、よく地方側がですね、国に基準を示せということをよく仰るんですけども、結局は最後は自分で責任を持たないといけないので、あんまり地方分権とか権限を地方に移せとかよく言っている流れの中ですから、どうかなあというふうに私は思っております。国自体は、レベルの高い専門家の知識を結集できるわけですから、結集されたものをどんどん発信してもらえばいいんで、基準とか指示とかそういうのは別にそんなに求めていなくて、我々はそれをうまく使いながら、ひょっとしたら全部はそのまま出来ないかもしれないけど、自分で判断して、和歌山のために頑張ればいいんじゃないかな、そんなふうに私は思っております。
 それから、国の措置。よくマスコミに私も呼ばれたことがございまして、国はいけないですよねって言って、すぐそういう質問をされるんですが、いや私はあんまり国の措置は総じていいんじゃないかなというふうに思っております。
 しかし、専門家と称する方が、よく見解を出されるわけですから、拝見をしておりますと、知識の1から100まで全部順番に喋っておられるようなところがあります。現実の世界で大事なことは、今がどういう局面かということを考えることだとということでありまして、これを誤ると、混乱が生じるというふうに思うわけです。一流の専門家は、今、こういう局面ですよ。だから、これしなさいっていうふうに、ちゃんとアドバイスできるかもしれないけれども、究極はやっぱり政治家とか行政のトップが、今どういう局面かというのをちゃんと考えて、それで、その一連の専門的な知識の中で、今やらなきゃいけないことっていうのを、取捨選択していくということが大事なんじゃないかなっていうことを思います。
 先ほどの例で言えば、医療崩壊っていうのは、これは最終局面ですが、それを恐れて、バーストしたら仕方がないという措置を、まだバーストもしてないような、初期の抑え込みの時期にリコメンドするっていうのは、どうかなというふうに思います。却って、そのおかげで、医療崩壊を招いてしまうということもあるんじゃないか。そんなふうに感じるところもあります。
 今、和歌山も日本全体もそうですが、経済も学校も、はっきり言うと無茶苦茶であります。今は耐えつつですね、感染との戦いに全力を挙げなきゃいけない、そういう時だと思います。その中で、和歌山はまだ防圧の段階だというふうに思います。その防圧が出来なくなってくれば、次は、次のレベルに行かなきゃいけない。それが出来なければ、また次のレベルに行かなきゃいけない。それは、県民の皆さんによく説明をして、それでレベルを変えていくということになると思います。
 今のレベルで言うと、今のレベルは患者をなくす、少なくするレベルだと思います。
次のレベルは病院崩壊をしないようにするというレベルだと思うし、最後は死者をなくす、死者だけはなくすというレベルだというふうに思います。そして、次のことを考えれば、我々は復興のことも考えておかなきゃいけないっていうことだと思うんです。これも、我々、行政を預かる者、政治を預かる者の責任だというふうに思います。それで、その全てについて、用意はしておかなければいけない。
 しかし、タイミングを誤って、色々言い散らかしたら、県民の皆さん、国民の皆さん、皆惑うし、あるいは一生懸命対策をしてる人も、士気も衰えるということになるので、和歌山県は密かに次の用意もしながら、実は、防圧に全力を挙げるというのが現状のところでございます。以上です。

司会:仁坂さん、ありがとうございました。まず私の方から、幾つか質問させて頂きたいと思うんですけれども、まず直近の動きということで、政府の緊急事態宣言に基づいて、七つの都府県が緊急事態の対象地域ということになってるわけです。和歌山を考えてみますと、関西では大阪府、そして兵庫県ということで、特に和歌山の場合は、大阪との関係も密ですけれども、この状態の中でですね、和歌山県としての取組、何かこれまでと違うこと、新たに取り入れている点、そんな点があるんでしょうか。

知事:これはですね、先ほどもちょっと言いかけましたけれども、ちょっと局面が変わってるなと、患者さんも増えてきて。それは遊びに行った人を止めてもらいたいと言ってるだけじゃ、ちょっともう持たない。通勤客についても、少し患者さんが出始めていると。
 しかもですね、大阪や関西圏全部は、我々にとっては大変なお客様であるとともに、関係の深い所ですよね。観光客のかなりの部分はそちらからお見えになるわけですし、その人たちの何て言いますか、心を傷つけるようなことをしてはいけないというふうに思うんです。それから通勤客を一概に否定するわけにはいかんし、これは無理ですよね。だから、折り合いをつけてやっていかないといけないんですが、じっと緊急事態措置と、それから総理の宣言の中を見てると、出来るだけ県外に行かないで下さいって言って、もう自県の、自分の県の方あるいは一般的にもう呼びかけてますよね。それならば、それをハームするようなことはやってはいけないっていう正当性ができるんじゃないかと思いました。
 そこで、往来について、今までの遊びに行かないでくださいだけじゃなくてですね、基本的には、出来ることなら自粛をして下さいっていうふうに変えました。特に、やっぱり遊びに行ったり、都市部に行ったりするのは止めましょうねっていうことを言ってるんですけど、それから先ほど言いましたように、永住型で長期滞在型で移って来られる人については、ちょっと観察をさせてもらいますよということを言いましたが、通勤客はそこまでいきません。だけど、出来るだけテレワークあるいは工夫、そういうことで、往来による感染のリスクを減らしていこうということについても、和歌山県の対策として、申し上げた次第でございます。
 観光について言うとですね、来られる人に帰って下さいというわけにはちょっといかないと思うんですけど、少なくとも、県内の観光業者の方には辛いれども、感染対象地域、この緊急措置の対象地域の方々からはですね、予約は取らないようにしようというふうに指導することにいたしました。

司会:特にこの時期、年度替わりということで、例えばですね、和歌山に引っ越して来られる方、あるいは和歌山から出て行かれる方、それが対象地域になる可能性があるという特殊な時期ですよね。あるいは、学校が休校になってる時に帰省で来るという方もいらっしゃるかもしれない。こういう方たちに対してはどういうメッセージを。

知事:先ほどもちょっと言いましたけども、安倍総理の宣言を見てると、行くなって言ってるように見えるんですよ。はっきりそう仰ってました。ただ、一人一人の方に来るなとか、帰れとかですね、到底そんなことは言えませんよね。和歌山県の気質としてはそんなこと言えません。
 ですから、来られた方については自宅待機を基本として、様子を見て下さい、その時に、ちょっと熱が出てきたんですがと言ったらですね、普通に和歌山でずっといる人よりも、丁寧に対応しますからということで、登録をしといてもらうということをしたんですね。他県に行かれた方についてはですね、行かれた先で、当局の指示に従ってやってもらうしかないとは思いますけどね。

司会:もう1点、学校の取り扱いなんですけども、一回は再開を目指されたっていうことですけれども、改めて延期をすると、休校の期間を。県立高校ですかね。こういうことになりますと、判断が変わると、トラブルが起きるのか、混乱が起きるのか。あるいはそれをどういうふうに受けとめるか、混乱だと思うのか、それとも必要だというふうに受けとめられるのか、この差があると思うんですけど、これはどういう根拠とどういう対応をされたんでしょうか。

知事:ちょっと前から、和歌山県はあんまり流行っていないという前提でですね、これはもう和歌山は再開をしてもいいんじゃないかというふうに基本的には考えて、再開をするとすると、こういうやり方で行こうということについて、準備をしてきました。ただ、実は、実際に起こったんですけども、状況がころころ変わる可能性があるから、8日ないしは7日の開始より前にですね、直前に、本当にやるかどうかを言わせてもらいますというような言い方をしてたんです。
 それで、それを二つ申し上げますとですね、まずどんなふうにして再開するか、今でもそうなんですけど、休校を行った時に、一部の生徒はどうも糸の切れた凧のように3密のところに入っちゃったというのが結構あるんですよ。それはもっと危ないので、従って、休校の時は、学校の先生が、必ず1回、担任の生徒さんに、今何してるのと、大丈夫とか、勉強はとか、そういうことを連絡する、これを原則にすることにしました。
 それからですね、再開をして授業をやってる時は、毎日、健康観察票というのを作りまして、それで、親御さんには、熱を測ってもらったり、そういうのをちゃんとつけてもらって、意見をいただき、それで、先生側からも意見を書き、親の意見も書き、毎日それを往復させて、ということによって、学校自体をですね、さっきの早期発見ってありましたね、異常の早期発見の装置にしてしまおうというふうに思ったわけです。もちろん3密にならないようにとか色々工夫しながらやるんですけれども、そんなようなことを考えて、学校を再開しようとしましたが、ちょっと増えてきたということで、これは止めました。
 ただ、ずっと止めるということについてもですね、状況を見て考えていかないといけないので、1週間単位で判断をしていこうというふうに思っています。1週間でころころ変わるのはどうかっていう議論が当然あると思います。だけどですね、そもそも学校へ行くのが当たり前なんですから、夏休みはいつからですよなんていう話とは、これは違うわけで、従って今は行ってはいけない、やっぱり行ってください、それはその都度判断していくもんだと私は思っておりますので、1週間に1回の判断でいいんじゃないかと思っております。

司会:私からは、まとめの質問になるのですが、最初お話をいただいた中で、やはり注目されているのは、済生会有田病院。これをどういう風に対応しましたかという点だと思うんですが、知事が仰る、いわゆる和歌山方式というものですけれども、これはやっぱり適用出来る時期とですね、それから地域、数ですね、これにもよるんだろうと思います。これはどういう時には通用するものであって、そして、どういう地域だったら出来るのか、和歌山という特性もあるんだろうと思いますけれども、そこら辺は知事としてはどういうふうにご覧になってますか。

知事:まずですね、地域としては、どこでも出来ると思います。和歌山方式って色々な定義があって、私が言いましたのは、早期発見、隔離、それから徹底したトレースというのだとすれば、それはどこでもやるべきことだと思うんです。和歌山も実は、2番目の学校クラスターが、ほんの数日前に出てきてしまいましたので、これについては今、そういうふうにしてやっています。
 ただPCRの話はですね、これはあの時期だから、まだちょっと一つしかないので、早く病院をみんなが信用するような形で立ち直らせたいと思ったので、わざとPCRをたくさんやったっていうところもあるんですね。だから、そういうことも含めて考えると、今こんなふうに流行ってくるとですね、和歌山はまだ何とかなりますけど、もっと流行っている所では、これは同じようなことは出来ないなと。和歌山も、人の信用を勝ち取るためにPCRを使うっていうのも、もうちょっと出来なくなりました。だから、今は早期発見、隔離、そして徹底したトレース、これでやっていくしかない。それで適宜PCRを使うということだと思っています。

司会:はい、分かりました。私からの質問はここまでとさせていただきます。この会見をインターネットを通じてご覧になってくださる皆さんの中から、幾つか質問が来ていますので、それを質問させていただきたいと思います。
 今のPCR検査の件について質問が来ています。和歌山県はPCR検査を受けた人のうち、陽性者が占める割合は1.7%、東京都は27%ですと、これをどう見ますか。つまり、東京都は検査数が少なすぎるのではないかという質問なんですけれども、このPCR検査とその陽性率の関係、これは知事はどういうふうにご覧になりますか。

知事:東京都がなぜそういう形態になっているのかということについてはよく分かりません。ですからコメントのしようがないということだと思います。
 和歌山県は何でそうなのっていうとですね、さっき言いましたように、済生会有田病院、470検体を一斉に、というか数日間かけてやってしまったんですね。それは、多分、もう予想として、これは陰性に決まってるという人までやったんです。ですから時々ですね、そういうことをやりますので、それは存在証明のためと言うか、要するに陰性証明のためにやるというようなことを、時々、レシピとしてやりましたから、大変陽性率が少ないということがあるんじゃないかなっていうふうに思っております。
 普段はですね、さっき言いました肺炎発見法がありますね。一般のクリニックが怪しいと思って肺炎を見つけた。それから、最近はその肺炎に加えて、味覚障害、あるいは深刻な下痢、そういうものも加えてるんですけど、そういう異常を発見した時のPCRという点では、1日にせいぜい10件か20件なんです。ほとんど陰性なんですけど、数としては、そんなに多くありません。従ってものすごくパーセンテージが低いのはですね、ちょっと政策的に使っちゃったっていうところが大きいからじゃないかなっていうふうに思っております。

司会:次の質問なんですけれども、感染症対策には、専門的な知識が必要で、医師であっても必ずしも適切でない考え方をする人もいるように思います。それにもかかわらず、色々独自判断で対応されてるようですが、その自信、どこから出てるんですか。どなたかの知恵をお借りしておられるのでしょうか。
こういう質問なんですが、判断のアドバイス、これどういう形なんでしょう。

知事:まずですね、国の専門家の御見識、あるいは報道機関の専門の方の御見識、最近興味ありますから、ものすごくちゃんとフォローしています。それで、立派なことを言っておられるなというようなことも多いです。
 和歌山県ではですね、どこでもそうですが、医務系の技官が少数ですがいます。それで、責任者になっている非常に信頼性のある人がいますから、そういう人と一緒にですね、そういう知識は知識として、今どういうタイミングで何をしなきゃいけないのかっていうのは、ものすごく真剣な議論をしてですね、それで納得ずくでやっている。
 そういうことで、私が何も独走して、無茶苦茶なことやってるわけではありません。

司会:その関連なんですけれども、県庁の中ですと比較的統制がとれるというふうに思うんですけれども、例えば、病院、有田病院の場合もそうですけども、必ずしも県が直接所管しているわけではないですね。あるいは検査の流れを考えたとき、市町村の保健所、そして、あるいは、そこと検査機関との橋渡しとかですね、様々な調整も必要になってくるわけですけれども、県の中で関係する部分とそれ以外との調整、ここも難しい点があると思うんですが、仁坂さんは、知事はどういうふうな対応をとられてきて、どういうことを心がけたんですか。

知事:一番心がけたのは論理です。要するに、今こうでしょ、こうだからやらないといけないんでしょ、ということが一番大事なことだと思うんですよ。それに対して、あんまり意味のないことは、前例であるとか、国からの誰かの指示とか、権限とか、そんなことは、二の次ですよね。一番大事なのは、県民の命と健康だから、そのために論理を尽くして、議論すればいいんで、それは絶対分かってくれますよ。そういうことだと思います。

司会:では次の質問です。3月5日、大阪のライブハウスでコロナに感染した和歌山市内の女性について、仁坂知事は、女性の行動履歴だけではなく、勤務先の会社名まで発表されました。公衆衛生と個人の情報保護との間で葛藤などがあれば教えてください。また、それでも、個人情報公開に踏み切った理由、真意についても聞かせてください。

知事:これは、大変難しい問題でした。まずですね、一番大事なことは何かと言うと、感染を拡大させないこと、これが大事なんで、プライバシーはその次になると私は思っています。こういうご時世では。つまり個人情報も、そういう感染症を拡大させないためにはですね、言わないとしょうがない時は言うということですね。
 だけど逆に言うとですね、あの人どこに住んでるのとかですね、何という名前というのはですね、そういうことについては全く意味のないことですから、そんなもん、初めから言いませんと、記者会見ではやっています。
 あのライブハウスの関係ではですね、コールセンターにお勤めだったんです。コールセンターっていうのは、一つの大部屋に多くの人が入っていて、それで装置は共有している場合が多いんですね。従って、これは全部うつってるんじゃないかという恐ろしい予感もあったし、それから、和歌山市に勤めてるということを喋らざるをえない。それで、どういう通勤経路で、どっから行ってるということも喋らざるをえない。そうすると、和歌山市と言うと、もの凄く広いわけです。和歌山市中に疑心暗鬼の渦を巻き起こしてはいけないということで、和歌山市長さんから特にお願いがあってですね、もう名前を特定して発表させてもらってください。でないと和歌山市中が大混乱しますと言われたんです。
 そこで、社長さんにお願いをして、ぜひ名前を発表させてください。その代わり、全員を検査して、陰性を証明して見せて、全員陰性だったら、本当は検査から2週間自宅待機ですよね。だけど、そういうことでないということが証明されたんだから、自家用車で通う限りにおいて、もし発症しても、他の人にボンと行かないような形で、営業再開していただいて結構です、というふうに申し上げたわけです。そういう一連のですね、装置の中で、名前も発表させてもらったということですね。

司会:情報の提供っていうことで言いますと、これはやはり、非常に個人情報、どうするかって個別の判断が必要になってくるなということをですね。

知事:もう全部、個別です。

司会:かなりの情報を集めてですね、行動履歴の分かっている場合は出来るかもしれませんけど、これから先、なかなか全国の数字を見ますと、どうも行動が追えない。感染経路が追えないような人たちも出てくる。こうなりますと、この発表のあり方も難しくなってくると思うんですけど、そこら辺、まだ、知事はどんなお考えでしょうか。

知事:そうだと思いますね。要するに、感染予防ないし防止と関係なければ、プライバシーは絶対に守るべきなんですよね。ですから、私たちが今までやってたのは、行動履歴をちゃんと追えて、それで他にうつさないためには、これ言わざるをえないという時にだけ言ってきたわけで、それがもうそんなことも出来ないような状態になったら、そんなこと言ってられないと思います。
 ただですね、私は、感染経路が明らかにならないと、「はい、終わり」と言ってるのがちょっとどうかなと思ってるところもあったんです。もうこんなに増えてくると同じかもしれませんが、20とか30のところで、感染源が明らかにならないのが増えてきましたとかですね、そう言ってるんだけど、感染源は明らかにならなくても、感染者の前後の行動履歴は追えるわけですよね。だから、そこんところを徹底的に防圧に行けば、防げるものは防げる可能性が出てくる。だから、そういう意味では、もう今ちょっとどうかなと思うけど、まだまだ和歌山は、それが続けられる状況だと思っています。

司会:もう一つ、この情報の提供のあり方に関連してですけれども、一方では不確かな情報が広がったりですね、様々なことになりますと、例えば、感染者、あるいはその接触者、さらには医療関係者を含めてまでですね、言われのない差別とか中傷も起きてるということが報告されていますけれども、ここら辺との関係でですね、そういったことがあってはならないと思いますけども、これにどう対応していくのか、仁坂さんはどういうふうに一番。

知事:本当にあってはならないことなんですよ。知らなくても、感染症、感染の拡大、予防と関係ないことまで、言いたがるのが全く間違ってますね。そんなものは一切私も言いませんし、それから実は、この初期にたくさんの相談ダイヤルを作りました。これは、自分がかかってるんじゃないのっていうことを、尋ねに来るダイヤルのつもりだったんですけど、かかった人はどこに住んでるんですか、そんなことばっかり聞きにくる。
それはダメって言ってですね、激しく叱責をしたりしてやってきました。だから、そこは、感染症防止のためにだけ必要な情報は出すけれども、残りのものは出さないというのが原則なんです。

司会:これからのことをちょっと伺っていきたいと思うんですけれども、一つはですね先ほども指摘されましたけれども、これから、ある意味で言うとベッドの問題ではなくて、人あるいは、正にそういうようなことも仰られてましたけれども、長期戦になるかもしれないという構えの中で、有田病院の件もありましたし、その後も続いているということになりますと、かなり長期的になってきますと、特に医療関係者、あるいは保健所の関係者、最前線の現場の疲弊が続いてくると思うんですけど、これにどういう措置が出来るのか。この備え、県として出来ること、或いは国の支援が必要なこと、これはどういうふうにお考えになりますか。

知事:まずですね、県としてやらなきゃいけないこと。これはですね、セクショナリズムを廃さないといけない。縦割り行政。大体はですね、例えば、余所は知りませんけど、保健所の人が担当。それからその上の健康局の人が担当。今でも和歌山もそうですよ。そうなってるんですけど、ありとあらゆる仕事をそこへグッとかけたら、あっという間にパンクするに決まってるでしょ。従って、今申し上げましたような、そのメインストリームの仕事に従事してる人には、ちゃんと専門的な仕事を余裕を持ってやってもらわないといけないので、応援も出そうと。
 それからですね、例えばさっき言いました、行動履歴のヒアリング、トレースありますね。これは医学的知識がなくても出来るんですよ。従って、それはメインストリームの人の他に県庁の中で応援団を作って、その人達に独立してやらすとか、そんなようなことを心がけてやっています。
 これは県の状況なんですけど、国に対しては、ずっと前からお願いしてて、認めてくれているんですけど、例えば病院を再編する時に、不利益にならないよう病院に補償していくとか、あるいは、ホテルを借り上げる時に、不利益にならないようにちゃんと提供していただけるようにするとか、そういうのを付けといていただかないと絶対に無茶苦茶になりますよっていう話を、もう随分やってきました。それちゃんと付けていただいたんで、私は大変評価してます。

司会:もう一つ、今度は、経済の影響についてですね、ちょっと考えたいと思うんですけれども、こういった今、全国的に蔓延が、急速に感染が広がっている状況の中で、まず、県内の状況を伺いたいんですけれども、雇用、経済、こういった面でですね、どういう影響が出てるんでしょうか。特にどの分野で深刻になってるんでしょうか。

知事:まず和歌山県はですね、観光立県なんですよ。観光だけで生きているってわけじゃないんですけど。実は、製造業の比率がすごい高いんですけど、やっぱりこれからの伸びしろを考えると観光だし、特に外国からの誘客なんですよね。それをしかも、うまくいってたんですよ。もう、それがペッチャンコですから、なかなかこれは打撃が大きいんです。特に観光誘客に関する宿泊あるいはバス、交通、それから物品販売、そういうところはもうガタガタになってますね。これを何とか、コロナがいつか終了するだろうから、その時まで生き伸ばして、それで次にまたもう1回発展しなきゃいけないっていうのが我々の仕事ですね。
 そこはもう本当に悲惨な状況なんですが、製造業の世界にも段々、段々効いてきましてね。やっぱり例えば、新聞なんかで、大企業の生産削減みたいなのが出てきますよね。そうすると、和歌山で、それの裾野産業みたいなものが多いですから、そういうところにも影響が段々出てきてますね。
 そういう意味では、これ容易ならざることだな、というふうに思ってます。ただこれはもう、私は、国がものすごく一生懸命やってくれて、いろんな制度が出来たので、もうガンガン使わせてもらって、何とか延命を図りたいというふうに思ってますね。

司会:何とか延命という発言ですけれども、政府の今回の緊急経済対策、当面の資金繰り、あるいはですね、当面の生活保障という面で考えた時にどうでしょう。なかなか出口も見えないんですけれども、これで十分なのか。状況に応じて、さらに追加の対策を求めるという声を上げるようなタイミングが出てくるんでしょうか。その点はいかがでしょうか。

知事:そもそも、感染の長引きによるんじゃないですか。それはもう、長引けば長引くほど、大変なことになっていきますので、こんなもんじゃ足りないという時期がひょっとしたら、感染が長く続いた時に、いつか出てくると思います。それは当然、我々もお願いをしなきゃいかんし、お金がなくなっちゃうとね。それから、政府の方も、むしろ我々よりもっと早く考えるでしょうね。

司会:もう一つはですね、感染が全国的に収まってきたときに、次に打つ対策ですね。これ特に和歌山の場合、先ほども指摘ありましたけど、観光であるとか何とか、戻す時の期待も大きいだろうと思うんですけども、その収束が見えた段階、そこでの必要な対策っていうのはどういうものがあって、何に特に期待をされていますか。
知事:もう、ありとあらゆることはしなきゃいけないんですけど、まず元の秩序に戻していかないといけませんよね。従って、何とか延命をと言ったって、倒産してるところが出てくる可能性もあるし、そういうのも戻さなきゃいけないということもありますが、もう一つはやっぱり次は、プロモーションしなきゃいけませんね。その時に、どうやってやって行こうかっていう段取りは、今考えています。一つだけ申し上げますと、観光について、「蘇りの地和歌山」ですよ。これはですね、熊野古道、あるいは高野熊野も、実は、最も重要な宗教的なテーマが、蘇りの地なんです。和歌山から蘇えろうと。これがキャッチフレーズです。まだまだ先ですけどね。

司会:うん。難しいです。ところがですね、本当にこう、そういう対策を早めに出せばいいんですけど、それが人の動きを活発にさせてしまうと、今の効果を削いでしまう。

知事:完全に治ってからです。もう感染が収まってから、さあ行くぞっていった時の話をちょっと言っただけです。

司会:ここまでお話を伺ってきましたけれども、総括的なその辺になるんですけれども、今回の事態を見て思った時にですね、改めて、こういう危機に直面した時の都道府県知事、特にトップの役割の大きさと責任の大きさということが分かってきたと思うんですけど。こういった事態に直面した時のトップのあり方、今回の大きな局面になると思うんですけども、仁坂さん、振り返ってみてですね、何が必要で、何が出来て、もしかしてこうすればよかったっていう点が、今あるとしたらどんな点でしょうか。

知事:その都度その都度考えて、ベストのやり方をやってきたつもりなんで、そんなに、今のところ反省があるわけではないんですね。だけど、どういうふうにしていつも考えてるかって言うと、やっぱり県民の利益っていうのを、どうやったら極大化出来るかということですよね。そのためには、さっきもちょっと言いましたけども、一番大事なことは論理なんですよ。どうやったらそうなるかっていうのは、ちゃんと議論して詰めれば分かってくるんですよね。皆でそれを議論すればいい。一番いけないのは、ええ恰好しいですね。自分の政治的な地位をアピールする。これだけはやっぱり慎んだ方がいいと思います。

司会:もう一つ、そして今後ですね、国の役割、こうした事態での国の役割、もう一つ、関西全体と言っていいのかどうか分かりませんけれども、広域的な自治体間の協力、この2点についてさらに伺いたいと思います。

知事:はい。国の役割はですね、やっぱり方向性を示すことですよね。この災害もみんなそうなんですけども、やっぱり頑張ろうという意向を示して、それで、国民を鼓舞する、ということは大事だと思うし、それから、ちょっとまだ夜の街で遊んでるというのが多かったらですね、それを注意するとかですね、そういうことも含めて、そういう精神的なバックボーンに、ちゃんとなるっていうことが大事だと思います。
 それから制度を用意する。使うのは現場なんですよ。都道府県だけじゃなくて、都道府県であったり、企業であったりするわけですけど、用意をするのはやっぱり国が中心ですよね。だから、そういう使える制度を用意するというのが、国の大きな仕事だと思っています。私はちゃんとやってるんじゃないかと思いますけどね。

司会:それに関連した質問で恐縮ですが、もう一つ。今どういう段階かというのはとても大事ですと。そうした観点から言うと、先ほど言及された安倍総理大臣の全国一斉休校要請などのタイミングは疑問でした。ここまでの国の対応をどう見てますか。あるいは世界も含めて、この件で特に参考にしたり、反面教師にされたりしている政治リーダーはいますかという質問ですが、これいかがでしょう。

知事:それは、後者の方はよく分かりませんね。外国のメディアかなんかから見ると、ものすごい日本はコンスピラシーの塊だと言ってですね、私に質問をしてきて、そんなのは日本人も得意じゃないからねと言ったら、原稿が全部ボツになったというようなケースもありましたし。それから例の休校の話。あれはですね、正直言って、和歌山の感染状況からすると、しなくてもよかったかもしれません。しかし、全国的にはもっと和歌山よりも悲惨なところもあったし、それから、みんなで、ここは防圧のために努力をしようということをですね、さっき言いました、その姿勢を示すとか、方向性を示すとか、そういうものだと考えればですね、そんなに非難をされることじゃないんじゃないかなという気がするんです。ただ、それをあまり聞かなかった人もいたかもしれませんね。そんな感じです。

司会:はい。これまでにさせていただきたいと思います。仁坂知事、本当にありがとうございました。