新型コロナウイルス感染症対策(その18)-一層の対策強化-

 4月23日、和歌山県は緊急事態措置の内容をレベルアップして、これを発表しました。

 感染症の進行状況を見ると、全国的にも感染がとどまる気配がありませんが、特に東京、大阪など大都市の感染は大変なことになっています。和歌山県は感染症の防止と発症者の医療加護は、関係者の努力で何とか回していますが、何せ大阪と大変密接な関係のある所ですから、今後は到底楽観を許しません。

 目下の目標は次の3つです。
 ①不要不急の外出の抑制
 ②感染リスクの高い所への来訪の抑制
 ③県外との往来の抑制

このうち①と②は4月17日までに策定実行している対策と和歌山方式の感染症防止努力によって、感染症の防遏はまずまずの状況だと思っていますが、政府が4月16日に和歌山県を含む全47都道府県に緊急事態宣言の対象を拡げたのは、ひとえに感染の進んだ大都市からまだ持ちこたえている地方への感染の拡大を、GWの人々の移動期を迎えて、何とか抑え込みたいという意図のもとであったことからも明らかなように、4月17日時点での対策の最重点は③の県外との往来の抑制でした。

 4月16日の政府の決定を受けて、他県では緊急事態措置の内容を検討という所が多かったのですが、和歌山県では間髪を入れず4月17日特に③をうんと抑制することを主眼とする対策を打つこととしました。
 そこでは特に特定の業種施設についての県外からの訪問者の受入れを自粛することを県も県内外に呼びかけ、そのような事業者には具体的に訪問客に対して自粛要請努力をしてもらうという内容が中心でした。
 特に県民の方々が問題視したのはパチンコで、元々県外の人々も一定数お客さんであった上に、大阪などで営業の自粛が進むと、そこの客も和歌山へ押し寄せるではないかという懸念があったわけです。現に呼びかけにもかかわらず、県外客は十分には減りませんでした。そこで、パチンコを含む県外からの客が来そうなかなり多くの業種、施設に県の全組織をあげて強力に行政指導をかけて、県外の客を受け入れないようにお願いしました。しかし、どうももうこれ以上は業界の力では無理で、後は営業を根っこから止めてもらわないと仕方が無いという事態になりました。そこで間髪を入れず、4月23日に営業自体の自粛の法的要請をすることとしたのです。国との協議を経て、4月25日から5月6日まで、パチンコを含む各種の施設、遊興施設について新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく営業の自粛要請をしました。
 要請をしたからには、従ってもらわないといけないので、従ってくれない企業には、より厳しい法的措置を速やかにとるぞという旨と、そういう企業には国や県でこれから行われる救済策を等しく行使して良いのかという議論も県民から出るであろうということも警告をしておきました。その対象施設は下記別紙「休業要請の対象となる施設一覧」の通りです。業種は東京や大阪とほぼ同じ、若干和歌山の実態に応じ小修正をしてあります。

しかし、和歌山県への県外からの訪問客を抑制するには、これでは十分ではありません。既に4月17日の決定に従って、たくさんの県外の人が来そうな施設には、和歌山県からもその受入れ抑制の行政指導を行い、段々と動き始めてくれていますが、これを「特定業界での徹底」として今後もっと強力に展開することにしました。
この業種はほぼ法的措置として営業自粛要請をすることが禁止されている業種、施設なのですが、法律にないからといって他県のように何もしないということでは県民の安全は守れません。この措置は、おそらく他県にはごくわずかしかない、和歌山県独自の実情に応じた措置であります。業界が十分この実行ができないという時はより強力な措置を県として取るということも同時に予告してあります。ただし、この部分については、法的権限はありませんが。

 さらに県外の往来の自粛において重要なことはゴールデンウィーク(GW)の帰省の自粛です。これについては、県外から県内へも、県内から県外へも、強く自粛を呼びかけました。万一何らかの事情で県間移動をされた方は、2週間の自宅待機をお願いし、県の連絡ダイヤルにその旨の登録をお願いすることにしました。特に東京や大阪などの大都会は、感染リスクも高く、既に感染している人が帰省で和歌山へ来てしまうリスクも高いからであります。
 また、近所の方など関係の方もそれを当事者に促してほしいし、それが聞き入れられない、出来ないという人は連絡ダイヤルに通告いただければ、県庁で代わって措置をすることにしました。

 これらを含む4月23日の決定の全容は下記の資料1のとおり①から⑧までの8項目にわたります。そのうち以上に述べた今回の特に重点と考える部分が、②営業自体の自粛の法的要請、③県外からの訪問者の受入自粛の徹底、⑤GWの帰省の自粛です。他も重要ではないというわけではない大事な点でありますので、県民の皆様是非心がけて下さい。

 以上の措置に関するメディアの報道は、「和歌山県も営業の自粛要請」の一点張りです。それしか報じてくれないものですから、それを決定していなかった4月23日前には県民の多くの方から、「和歌山県だけだ。何もしないのは。」とお叱りを受けました。事実は、逆で、4月16日の政府の決定を受けて真っ先に、4月17日早々必要と思われる措置を決めて発表したのは和歌山県でした。他県は検討中が多かったと思います。そして、それでは不十分と考えたので間髪を入れず4月23日にその強化を決定したのです。しかも、これが聞き入れられなければ、更に強い措置を取るつもりであることを予告も致しました。

 更に内容的にも県外からの流入を止めるために、法律的権限のない領域まで踏み込んでいます。これもかなり特異な特徴だと思います。

 もちろん今回の措置で、ただでさえ業績が悪い各業界を更に苦しい目に遭わすことになります。営業自粛要請対象業種であろうと無かろうと、困っている企業、人を助けるのは和歌山県の仕事です。国の措置も利用しながら、県独自の工夫も加えながら、救済に全力をあげたいと思います。
 ただし、国の措置は今日明日は間に合いません。その時までは既に使える県の措置を使いながら、何とか生き延びることを工夫して下さい。県も全力を上げてお手伝いをします。
考えてみると、県外からの訪問客を取るなというのは、つい数ヶ月前まで言っていたこと、やっていたこととは180°逆のことです。というより、私が就任以来ずっと心血を注いできた産業の振興、観光の振興を自分で根っ子から崩しているが如き行為で、私としては身を切られる思いあります。業界の方々もお気持ちは同じだと思います。しかしコロナの感染拡大を防止するため、県民の身体の安全を守るため、是非今だけは御理解、御協力をお願いしたいと思います。

緊急事態措置の強化

1 不要不急の外出自粛の継続
2 営業自体の自粛の法的要請等
3 県外からの訪問者の受入自粛の徹底
4 その他の県外との往来の自粛
5 大型連休期間中(GW)の帰省の自粛
6 集団生活を行っている施設へのお願い
7 学校の休業
8 事業者等への救済の徹底

和歌山県休業要請対象リスト →PDF
(1営業自体の自粛の法的要請をする施設)
(2特に強く県外からの受入自粛を依頼する施設)