新型コロナウイルス感染症対策(その23)-5月7日からの緊急事態措置-

 政府は5月4日政府の対策本部を開き、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の期間延長を決定しました。期限は5月31日まで、全都道府県が対象です。

 そこで、和歌山県でも5月4日、早速和歌山県新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、和歌山県の5月7日から5月31日までの緊急事態措置を議論のうえ決定しました。
 国の決定によれば、47都道府県を特定警戒都道府県とそれ以外に分け、前者は今の措置を継続することを求め、後者は、各県の状況に応じて適切に判断することが望まれています。ただし、後者についても隣県などの社会経済的につながりのある地域の感染の蔓延状況も留意とありますので、和歌山県はもちろん特定警戒都道府県以外の県ではありますが、コロナの蔓延がすごい京阪神に囲まれ、もっと蔓延のすごい東京を観光などのお客様にしているところでありますので、自分の県の状況だけを考えていていい訳ではありません。和歌山県も累計62件の感染者を出しているので、あまり大きな顔はできませんが、保健当局の努力で感染者の抑え込みはきちんとできていて、感染者の医療加護も問題はありません。きちんと病院に隔離し、重症化を一生懸命防いで、重傷者に対しても最善の医療加護が行えています。おかげで退院者も続々と出て、現在の感染者(入院中)は19人まで下がりました。

 しかし、大阪をはじめ近隣県はそうではありません。聞くと、大阪などは、感染を疑う有症者のPCR待ちの人も、自宅療養を指示されている人も多く、ホテル療養の人も結構います。そのホテル療養も、和歌山で実は内々用意しているのは、病状回復後PCRの陽性が消えない人を、新規入院者の病床を空けるためにホテルを使おうというプランですが、大阪では感染初期で今は軽症だけれど重症化する恐れのある人もとりあえず入ってもらうという使い方だし、自宅療養者については、回復後一定程度時間が経てば、PCR検査で陰性を確認することなく、退院扱いとするという方法をとっています。これでは捕捉できない感染が次々と起こって、全体としての感染抑え込みができない恐れがあります。東京ももっとひどい状況になっているような気がします。私は何も大阪や東京がけしからんと言っているわけではありません。現在のように感染者が多く出るとマンパワーの点で十分な抑え込みができないでしょう。しかし、少なくともそういう状況にある県が和歌山県にとって大事な県であるならば、心配でしょうがないと言っているのです。和歌山県のような県は、感染が流行っている東京や大阪のような県が行っているような自粛要請よりもっときついことをやっているのです。和歌山県の措置で言うと、営業の自粛は東京、大阪並みですが、それに加えて「特に強く県外からの受け入れ自粛を依頼する施設(注1)」に列挙する多くの施設に対しては、本当に強く自粛を働きかけています。大阪などからどーんと感染者がやってこられては困るからです。しかし、経済的なダメージは東京や大阪よりその分だけずっと大きいのです。ダメージが大きいからといって、おいそれとは自粛を緩められません。大阪などのコロナがおさまらないからです。また、もちろん大阪の営業自粛業者について、和歌山で緩めたら、どっと大阪などのお客さんが押し寄せてくるでしょうからそれもできません。したがって、措置は後述の一部を除いて延長することにしましたが、大阪府が5月15日に緊急事態措置の一部緩和を検討と発表されましたので、そこで一度チェックを入れることにしました(注2)。しかし、大阪のコロナの状況は前述のように予断を許しません。仮に大阪が、病床が少し空いているからといっても、その空きは和歌山で考えられるような空きではなく、コロナがいっぱい野に放たれているような空きでは困ります。
 ただし、緊急事態措置の一部は直しました。博物館等に分類されている施設は和歌山では、空いているので幸か不幸か三密にもならないし、県外の人が来るとは考えられないものもあるので、これは営業の自粛協力要請施設から、県外の人に訪問を自粛要請してもらう施設に改めました。もっとも案に相違して県外の人が押し寄せたりしたら、躊躇なく、元の営業自粛カテゴリーに戻します。また、三密が考えられたり、観光客を招いてしまうようなものであったり、休業している子供たちが大勢来てしまうような県営施設は休業を続けることにしました。

 和歌山県民は、コロナで大変な苦境にあります。そういう県民を助けるために、和歌山県では5月1日に、和歌山県の独自支援策を発表しました。国やもともとの県の支援策に加えて、救済に威力を発揮してくれるはずであります。しかし、それでも前より良くなる人なんか一人もいないでしょう。5月4日の記者会見で、記者から総理の責任はと聞かれて、安倍総理は、5月6日までに緊急事態を終えられなかった責任は痛感しているとおっしゃっていました。しかし、最近は少し忘れられかけていることですが、その責任は2つあります。1つは、こういう法律の仕組みを使いながら国民に行動変容を迫る、自粛を迫るものですが、もう1つは、保健当局が必死に努力して感染を止めることであります。今日の事態は、少なくともこれまでは、一部の県が感染防止に失敗してしまったから起こったことではないでしょうか。その結果、ある程度その闘いに勝ったとはいえぬまでも、頑張ってきた和歌山県のような県が感染の止まらぬ大都市よりももっと経済的に打撃をうけているとしたら、本当につらいことです。今流行りの言葉で言うと、それこそ補償をしてほしいくらいです。

(注1)次のような対象施設となっている。

(注2)学校の休業は大阪の5月15日の見返しと切り離して考えるべきなので、5月31日までとする。