新型コロナウイルス感染症対策(その36)-市中感染を防ぐために-

 コロナの全国的感染はなかなか止まりません。和歌山県でも毎日少数の陽性者が確認されています。和歌山県は保健医療行政と医療機関の働きが健闘してくれていますので、感染の爆発だけは今日現在では避けることが出来ていますが、京阪神との交流も日常的だし、観光客も多く来られるので、毎日のようにそういう所由来と思われる感染が持ち込まれて、その都度県庁健康局、保健所、病院の連携で、必死の対応をしていますが、大変です。
 いっそのこと関係を絶ってしまえという声もあるのですが、そうすると感染の拡大防止には大いにプラスだと思いますが、生活も経済も破壊されてしまうので、その弊害も考えないといけません。
 昨日、2020年4月~6月期のQE(四半期別のGDP速報)が発表されましたが、対前期比年率換算で▲27.8%の落ち込みで、緊急事態宣言下のあの行動自粛、往来シャットアウトの影響がいかに大きかったかということがまざまざと分かりました。
 もちろん地域別のデータは日本レベルでは出ませんが、とりわけ観光や県外からの買い物などに依存しているところが大きい当県では、割合自立している大都会よりもっと影響が大きかったのではないかと想像しています。いくら政府や自治体が支えようとしても到底無理で、倒産や失業や賃下げなどが生じてくると、生活が成り立たなくなる方々がどんどん出てくるというおそれがあります。
 幸い、上記の理由でコロナの発生が全国に比べると低く抑えられているということもあるのでしょうが、県外からの購買や観光入り込みが、6,7,8月とかなり回復傾向にありますし、県民の生活もそんなに不自由を強いることはしないで済んでいますが、行政の力にも限界がありますので、行政がコロナの猛威に負けてしまうと、再び、経済をダメにしてでも、コロナの発生を止めるための強権発動をしなければならなくなります。
 政府も、そうなるとどんな悲劇が待っているか予測が出来るからこそ、それが不人気でもなかなか思い切った強権発動が出来ないのでしょう。

 しかし、そんな中でも、感染の拡大防止のために県民の方々にも守っていただかなければならないことがあります。
 それが次の8箇条であります。
・首都圏と大阪に出かけて会食しない
・遅くまで集団で会食・宿泊しない
    ◇     ◇   
・症状がある人は通勤通学を控えてクリニック
・事業所では発熱チェック
    ◇     ◇
・各事業所で感染拡大予防ガイドラインを遵守
・病院、福祉施設サービスは特に注意
    ◇     ◇
・濃厚接触者は陰性でもさらに注意
・クリニック等は疑い症例を積極的に発見

 これだけは本当に是非守ってもらいたいと切にお願いします。

 しかし、本日は、この対策を一段と強化しなければならないと思って、お願いを追加、強化します。

 一つは、今まで大阪、首都圏での飲食を自粛してくださいとお願いしていましたが、それ以外の地域でも感染が急拡大したり、高い水準で続いているところがあります。最近は沖縄県のリゾートに出かけ、飲食をされて帰県後発症された方もおられます。そこで、第一行の文言を次のように変更します。

・特に感染が拡大している地域に出かけての会食や接待を伴った飲食をしない

 また、今一番心配しているのは、田辺市のカラオケも出来る飲食店バウンド・ビー・プラス・ループでクラスターが発生しました。これは、よく見つけたと思うのですが、田辺保健所管内で先に陽性となっていた人と、少し経ってから陽性となった人の行動履歴の調査から共通に出かけていたこの店を県の野尻技監が疑い、さっそく検査に行ったら、案の定、店の関係者2人の陽性が確認されたものです。店には不特定の方々が来店されていますので、店の名前を公表させていただき、来店者に名乗り出ていただき、その全員を検査しているところですが、かなりの確率で陽性者が発見されたのです。7/27~8/12にバウンド・ビー・プラス・ループへ行かれた人がいたら、更にどんどん名乗り出てほしいと思います。また、同じ田辺市のねむの木食堂も従業員が感染し、クラスターの発生の恐れが大きいので公表させていただきました。8/8~8/13にねむの木食堂に行かれた方は名乗り出ていただきたいと思います。すぐにPCR検査をして感染の有無を確かめます。感染しているのにそれが発見されずに、その人が別の店へ行ったり、友人と付き合ったりすると感染を拡げますし、それぞれの家族も大丈夫か調べないといけません。この件に関する一連の作業はかなり大がかりな検査、調査となります。それが済んで、もう囲い込みができたなという時まで安心できません。囲い込みの前にどんどん感染拡大が進むと、市中感染になってしまいます。
 
 従って、緊急にお願いします。
 田辺市、白浜町、上富田町の皆さんは、上記囲い込みが終了というサインを県が出すまでの間、カラオケを自粛してほしいと思います。飲食店に設置されているカラオケも同様です。また、飲食店で夜遅くまで滞在するということも控えていただきたいと思います。カラオケも飲食店も特に心の健康を保つためには役に立つし、目くじらを立てる必要はありませんが、今現在の特殊事情に鑑み、かくお願いしています。
 また、少しでも体調の悪い方はクリニックに相談いただくか、保健所に相談してほしいと思います。無理をして、仕事や学校に出かけないでください。囲い込みが上手くいき、市中感染の恐れがないなという状態になったら、速やかにこのお願いを解きます。

 また、追加して申し上げますと、陽性が確認された方は、行動履歴を包み隠さず、保健所等の職員に話して下さい。また、入院の指示があった時は従って下さい。最近は割と退院までの期間が短くなっているので早く退院できますし、プライバシーは厳重に守ります。
 しかし、時に、御協力が得られない場合があって、当局は苦慮します。万一協力をしないで、陽性者が故意に出歩き、他者に感染をさせたり、陽性者が行動履歴を隠した結果、二次感染をしていた患者の発見が遅れて、とんでもないことが起こったら、法律的にも、民事・刑事の双方で責任追及される場合もあります。是非、御協力ください。
 また、幸い陰性であった人も、和歌山県の検査は早いのでまだウイルスが増殖していない人もいますので、数日後に発症して陽性になる人もいます。規則では、陽性者と最終接触してから2週間は経過観察の期間です。保健所の指示に従って、外出などをしてください。ご注意ください。