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仁坂吉伸の思い

新型コロナウイルス感染症対策(その42)-第3波を迎えての考え方-

2020年11月23日

 新型コロナ感染症がどうやら第3波を迎えているということで、和歌山県でも発症が多くなっているし、全国的にはかなり多くの人が発症するようになっています。
県民の皆様も大変ご心配のことだと思いますので、これについて、和歌山県の考えを申し述べたいと思います。

 まず、全国の新規陽性者の動向ですが、4月5月ぐらいに山が1つあって、そのあと8月を中心とするような山がもう1回来て、ちょっと減っていたのが、最近また増えてきました。現在、和歌山でも、1日に、7人とか10人とか、感染者が確認される日が出てきました。11月19日には、過去最多の15人の感染が判明しました。
 和歌山県等、どちらかというと感染症対策がうまくいっている、たくさん感染者が出ていない県は皆そうですが、感染の拡大防止のためには、医療行政の努力と県民の努力の両方が必要だという方向に舵を切っています。
 前者について言えば、保健医療行政の働きが大事だし、後者でいうと県民にお願いをして、行動・営業の自粛をしてもらわなきゃいけないということです。少し、一年を振り返ってみますと、県民の努力の方に比重を置いたのが、第1波の時でありました。この時は、政府の呼びかけに応じて、和歌山県でもものすごく自粛をやっていただいたし、県外との人の往来も、ぐっと抑えていただきました。見事に成功し、うんと感染者が減りましたが、その背後では、実は保健医療行政できっちり感染防止をやっていたというところもあったと思います。
 しかし一方で、行動・営業の自粛は、経済壊滅ということでありますし、このままだと皆さん生きていけないし、健康や、教育、生活に随分問題が出てくる可能性があるというのが、その時の皆さんの考えだったと思います。したがって、夏の第2波の時には、和歌山県はあまり行動・営業の自粛を言いませんでした。そして、保健医療行政はせっせと働きました。こういう考え方を取ったところは、経済の回復が顕著である一方、感染が低く抑えられてきた、ということだと思います。

 では、和歌山県の保健医療行政って何かということですが、済生会有田病院のときに、割とうまくいったもんですから、和歌山モデルなどと言われました。PCR検査をたくさんやるのが和歌山モデルなんですよと、マスコミなんかで言われましたが、これはあまり正確ではありません。
 本当は、感染者を早期発見し、早期隔離、すなわち、ちゃんと入院をしていただいて、他の人との接触を絶っていただく。そして、その感染者が、どこからどこへいらっしゃったんですかということについて、行動履歴をちゃんとお聞きして、そして次の発見とか隔離につなげる。また、これを現実に行うのは保健所ですが、保健所がバラバラにやっているとうまくいかないので、県全体で統括システムをきちんと作って、それで必要な保健所に働いてもらうということをきちんとやってきました。これは、和歌山県だけではなくて、感染を上手く抑え込んだ、他の県でも十分ちゃんと機能しているというところだと思います。実際に陽性が分かった場合、保健所職員が参りまして、あなたはどこに行ってましたかとか、行動履歴を聞くのですが、その時に、そんなことは言いたくないとか、協力するのは嫌だとか、そういうふうに言われると、この体制が破綻してしまいます。もしコロナに感染してしまったとしても、しばらく我慢していていただければちゃんとお治ししますので、誰と会ったとか、どこに行ったとか、秘密は必ず守りますので、ためらわずに或いは隠さずにおっしゃっていただきたいと思いますし、入院をしましょうと言われた時は従っていただきたいと思います。
 こういうことを、丁寧に一つ一つやっていかないといけません。でないと、コロナ患者を1人でも見逃せばどんどんその人を起点に感染が爆発的に増えていきます。政府の専門家はクラスター対策とよく言いますが、一人の感染者でも見逃していると、どこかでクラスターになるのですから、クラスターになってから対策をとる、クラスターにならなければいいというのは間違っていると私は思います。ただ、こう感染者が増えてくると関係者の努力は並大抵ではありません。行政のトップとして心から申し訳ないと思っています。

 問題は、感染症の防止と、経済或いは生活の活況が、今、二律背反のようになっていることです。
 政府も、和歌山県も、感染症は防止したいし、それから経済もそんなに破壊しないようにしていきたいと思っているわけです。それで、そのためにどうするかというと、世の中で議論されているのは、そのためにはどれぐらいの自粛をしたらいいんだ、どのぐらいの行動の制約をしたらいいんだ、そういうことだけのように思えて、これはいかがなものかと私は思っているわけです。
 ちょっと難しいことを申し上げますが、政策目標に対して、政策手段の数が少な過ぎたらうまくいくはずがないということが経済学の基本です。政策目標は、コロナの感染防止と、経済・生活の再生です。それを行動・営業の自粛という一つの手段だけで二つとも達成するのは難しい。なぜならば、きつくやりすぎると、コロナの感染防止には効果があるけれども、経済・生活がガタガタになってしまう。ゆるすぎると感染が拡大してしまうからです。従って、和歌山県のように、保健医療行政をきちんとやるという、もう一つの政策手段を持ってこないといけないというのが理論的な帰結です。
 次に、それならそれぞれの政策目標にどの政策手段を当てるべきかというのが問題になります。これも経済理論の基本によると、ちょっと難しい言葉で、比較優位の考え方で政策の割り当てをしなきゃいけないということです。そういう考え方によりますと、コロナの感染防止のためには保健医療行政を一生懸命やり、そして経済・生活の再生のためには、行動・営業の自粛をするのをできるだけやめて、十分な行動・営業をやっていただいて、場合によりGOTOみたいな振興策を加えてもいいということです。これを逆に割り当てようと考える人が時々いて、そうすると、感染は拡大し、かつ経済もガタガタになります。

 和歌山県では、5月の緊急事態宣言の解除以来、保健医療機関で全力を挙げて感染防止に取り組む一方、経済活動や人々の行動の制約にはあまり制限を課さぬように、慎重に舵取りをして参りました。その結果、一旦思い切りガタガタになった観光業の持ち直しは、夏から秋にかけて、おそらく、日本の中でもトップクラスだと思います。それでも傷んでいる分野はたくさんあり、また、生活面で、まだまだ様々な不都合に悩んでいる人もたくさんいると思います。このような中、また4月5月のように人々の行動を制約し、往来を制限し、経済活動に自粛を課したら、感染の防止にはプラスであっても、県民生活への打撃は計り知れません。
 県庁で試算してみたところによりますと、県外との往来をシャットアウトすると、年間の県民全体の所得は5%減ってしまいます。コロナが収まるのなら所得が5%カットされるくらいは大したことはないという人がいると思いますが、各人から5%ずつ所得が減るということではありません。大打撃を受けて収入がなくなってしまう人もいっぱいいるということなのです。ちなみに、この場合、和歌山県の雇用は3万人減ってしまうという計算であります。

 ヨーロッパ各国で、もう一度感染が拡大してきたという新聞記事がよく出ます。なぜそうなるかということを考える中でわかってしまったのですが、実はヨーロッパには、感染症法という、保健所が早期発見して早期隔離するというような機能のある制度が無いのです。従って、感染したらどんどん拡大するのを止められないということになります。例えば、外出禁止を命じられても、1人が感染していますと家族にはうつります。また、感染者が身の回り品を例えばマスク無しで買いに行くとそこでうつします。その時、感染して大変だと思った人はいきなり病院に行ってしまうわけです。従って、病院の中が軽症者も重症者もごった返して大変なことになり、重傷者に手が回らなくなることもありえます。感染症法がない代わり、欧米の政府は、営業、移動、外出などについて強制力のある禁止をできるのですが、強制力のない日本の方がはるかによく感染者を抑えている状況であります。日本の自粛は強制力がありません。その代わり、感染症法による保健所の機能はちゃんと効いています。この機能を、日本中で認識しておかないといけないと思います。和歌山県のような地方の県では、感染症法に沿って感染防止を一生懸命やっているということであります。

 ただそうは言っても、それならもう、生活は自由自在で、勝手気ままにやっても良いんだなというふうに思われると、これはちょっと辛いものがあるわけです。なぜならば、やっぱりウイルスはそこにいるわけですから、人は皆うつらないように工夫しながらやっていただかないといけないわけです。従って和歌山県は次のようなお願いをしております。
 特に感染が拡大している地域にわざわざ出かけて行って、会食とか接待を伴った飲食をするというのはやめて、和歌山県のより安全なところでやっていただく。
 それから、遅くまで集団で会食をして羽目を外す。或いは、もう仲間の家に泊まってしまうというのはやめていただく。
 それからもう一つ、症状がある人は、通勤・通学を控えて、早期にクリニックに行っていただくということであります。早期発見、或いは感染の拡大防止のためには、皆さんが、例えば体調が悪いときに、我慢しないで、早くクリニックでも病院でも結構ですので、お医者さんに診ていただくということが大事です。最近感染が分かった例で、症状が出たにもかかわらず、一週間程我慢をされていたという方がいらっしゃいました。その方は、家族はじめ、多くの方々に感染を拡大させてしまうことになります。従って、決して我慢なさらずに、最寄りのかかりつけ医、或いは県庁のダイヤルなどにまず電話で相談して下されば、すぐに交通整理をして、診断やPCR検査をしてくれますから、我慢をしないで早く相談していただくということが大事です。
 また、事業所は、従業員の方が熱などの症状があるのに勤務していないかどうかよく気を付けて、例えば出勤時に発熱チェックをしていただければと思います。
 病院、高齢者・障害者の福祉施設には、身体が弱い人が多くいらっしゃってこの中で感染者がでたら大変なので感染を引き込まないよう、特に注意していただきたいと思います。
それから、各事業所。例えば、お店、ホテル・旅館とか、こういうところは、それぞれ業界で、感染予防ガイドラインというのを持っておられますから、それをちゃんと守っていただくということであります。
 また、口にウイルスを入れないようにマスクの着用、外出から帰った後は手洗い、手洗いができない場合はアルコール消毒をお願いします。
 それからソーシャルディスタンス。あまりベタベタとくっつくというのは、今はやめておいた方がいいです。
 飲食時も、一定の距離を保っていただいて、注意しながら飲食していただく。それから、時々は部屋の換気をする。
 こういうことを注意していただきたいと思います。

 これだけ県民の皆さんに努力していただいても、かつ、保健医療行政が必死でがんばっていても、近隣の府県でも感染の勢いは強いですからどうしても感染は0にはできません。しかし、済生会有田病院で陽性者が出た時と比べると、県庁、或いは各病院は、体制を随分整えて、今は能力も随分拡大しているわけです。例えば、コロナに感染し入院をしていただくとなると、当時は、32床の感染症病床で勝負をしていたわけですが、今は、170床ぐらい使えるようになっています。さらに、本当にたくさんの感染者が出たら、400床まで増やすように話をつけてあります。
 また、しばらく入院してもう治まりかけの方については、ホテルに出ていただいて、それで新しい感染者の方に入院していただくということになっているわけです。
 それから発見システムも随分進化してきました。特にどこが変わってきたかというと、クリニック。和歌山県では、国が否定的であった時もクリニックに活躍していただいてコロナを発見していましたが、今やクリニックでも、検体をとって抗原検査やPCR検査ができるようになってきました。また、もちろん県や和歌山市の検査センターの能力も拡大し、さらには大病院も自らPCR検査の能力を持つに至っています。これらを総動員すると1日3800件以上の検査をできるようになっているわけであります。
 それから、退院基準も実は変えました。これは、早く病院から出ていただきたいがために変えたというわけでは決してなくて、いろんなことがわかってきたので変えました。症状のある人は、しばらくはうつす可能性が高いけれども、治ってきて10日間ぐらい経てば、或いは症状軽快から72時間経過したら、どうもウイルスを人にうつす力がなくなるということがわかりました。それから無症状の方は、初めは無症状でもうつしますが、陽性になってから10日間経ったら、もううつすことはないということがわかりました。従って、まずは感染当初は容態が急変することがあるので危ないですから入院していただきますが、退院は、このように割と早く出ていただいているというわけであります。
 ただ、申し上げておきますが、和歌山県は発見が早いので、無症状の方も随分たくさん入院していただいておりまして、そのうちの4割は、無症状のまま退院するけれども、6割はその後発症するわけです。そのうち、4割は軽症ですが、2割は重症化し、残念ながら1人の方がお亡くなりになるということもありました。従って、無症状だからといって、決して甘くみてはいけない病気です。
 そして退院後、安全のため我々は2週間の自宅待機をお願いしていました。しかし、感染者が他者に感染させたと思われるタイミングを一生懸命調べると、感染したと思われる日から、うつしたと思われるのはせいぜい10日目ということなので、退院後、健康観察はするけれども、すぐに、社会復帰をしていただいていいということにいたしました。
ただ、濃厚接触者は陰性の方も自宅待機をしていただいておりますが、最初、陰性でも後で陽性になるという人が結構います。我々の調査の中では、うつったと思われる日から最長で15日目に、陽性になったという人も出ました。従って、濃厚接触者は、PCR検査で陰性の方も2週間は経過観察で気をつけていただこうというふうに思っています。このように不必要な拘束は致しませんし、入院期間はどんどん短くなっていますので、感染した場合は、当局に協力し行動履歴を教えていただき、入院指導に従っていただくようにお願いします。

 コロナは大変に手強く、全国的にも感染者が急拡大し、和歌山県でも感染が増えて、保健医療当局と医療関係者は大変な思いをしながら、感染防止に全力を挙げております。そのことを前提に、少なくとも当面は県民の皆様は上記注意事項を守りながら、生活や経済活動にいそしんでいただけたらよいかと思います。その際、ことさらに、他県の人を敵視するというようなことは、不必要だと思いますし、それから、極端に恐れて巣ごもりをするというようなことが原因で、例えば健康を害するとか、或いは、人間関係がおかしくなるとか、別の意味でのリスクも発生するということも考えておかなければなりません。ただし、先に「当面は」と申しましたが、将来コロナが流行りすぎて、当県の保健医療行政が、もう全然歯がたたないというふうになる可能性はあります。その時は、県民の皆様にお詫びを申し上げつつ、一定の強い自粛をお願いしなければならない時が来るかもしれません。ただ、そうなったときの経済と生活への悪影響はものすごいものになります。したがって、皆努力して、以上述べたような和歌山方式をできるだけ続けていきたいと思います。

 最後に申し上げますが、コロナは誰でもうつりやすい病気ですし、うつったからと言って、うつった人を責めたり、その人のプライバシーを暴いたりすることはよくありません。特にネットを使って、ほとんどの場合、自らは匿名でそういうことをするのは、最も恥ずべき事だと思います。我々は、特に和歌山県民は、思いやりの心を持って感染者を遇してあげようではありませんか。
 それからもう一つ、感染の防止と経済再生の両方を達成するために、ある意味犠牲になって和歌山県で必死になって働いてくれている、保健医療行政担当者、医療機関及び関係者に心の中で「すまないなあ。」と手を合わせようではありませんか。

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