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仁坂吉伸の思い

新型コロナウィルス感染症対策(その46)-自分の庭先だけきれいにする-

2020年12月24日

 世界でももっとそうですが、日本でも全国的にコロナの感染は収まる兆しを見せず、感染者がどんどん出るものですから、病院のコロナ感染者用病床が逼迫し、特に重症者用病床がいっぱいになってきて、医療現場から悲鳴が上がってきています。それを受けて、医療の専門家や政府の感染症の専門家から、国民の行動の制約を求める声が高まってきて、特に政府のGoToキャンペーンがけしからん、中止すべきだという声が澎湃として湧いてきています。マスコミもGoToの是非ばかり報じますから、GoTo止めろの大合唱になって、とうとう12月14日菅総理が年末年始のGoToトラベルの停止を発表されました。

 そうしたらそうしたで、とたんに観光客がキャンセルをし始め、各地方からはもう経済がもたない、の大合唱で、それがまた、マスコミが大々的に報じることになっています。

 これに対し私は、それだけかという思いを強く持っています。大事なことを忘れていないかということです。

 この問題を考える構図は、かつてのこのメッセージで使いました、次の図です。

 第一層の国民・市民が感染しますと、第二層の保健所が検査の上、入院措置などの手配をしつつ、行動履歴の聴取をして、その結果分かる濃厚接触者又はそれに準ずる感染の疑いのある人を検査して、万一陽性であったらまた隔離をして・・・・・ というオペレーションをします。また、各都道府県の保健医療行政当局が、全県的にこのオペレーションが上手くいっているかを案配するわけです。何故ならば人々は保健所の管轄区域を越えて活動するので、複数の保健所を動かす統合システムがいるからです。これによって感染者の数自体を減らすという行為をしているわけで、この働きが十分であれば、三層の病院の医療現場への負担が起こる事がありません。
 もちろん、感染は人の活動が活発になれば、より大きくなるはずですから、国民の行動の制約も大事ですが、保健所を含む保健医療行政の働きも重要なのです。
 ところが、不思議なことに医療現場がパンクしそうだというと、世の専門家もマスコミ報道も、保健医療行政はどうなっているんだという指摘もなしに、いきなり国民に自粛せよ、GoToは止めろとばかりを言っているのが現状です。

 私は、政治も行政も、現実を踏まえた上で、科学的に、論理的に行うべきだと考えていて、少なくとも和歌山県ではそれを徹底しています。
 現実はどうかと言うと、少なくとも和歌山県ではGoToによって感染が生じたという事実はありません。もっと言うと、旅行によって感染が起きたこともないように思います。感染拡大の犯人がGoToだと言うのなら、和歌山県では、白浜や勝浦や熊野古道や高野山から感染が拡がっているはずですが、そんなことは全くありません。大阪と通勤などで日常的な接触のある紀北地域では、かなりの感染者が出ていますが、そこでも観光客にうつされたという明確な事例はないし、ましてやGoToの利用者だったという事実はありません。政府の専門家は、感染の拡大を心配されて、GoToは止めよと対外的に発言されていますが、科学者なら上記のような事実をどう説明されるのでしょうか。

 一方、感染症法の運用は各県の知事の支配下にあります。同じ法律の仕掛けですが、実際にその法律の下で、各県の行政機関がどう動いているかは、かなり違ってきているのが実態だと思っています。
 この違いが各県の感染動向にどう関係しているか、それこそ科学者ならそれを解明し、この領域に於いても最適の行政運用をするように政府や自治体に進言するのが筋ではないでしょうか。

 我々自治体の仕事の目的は、それぞれの住民の安寧です。その中には感染の防止も、住民の生活と暮らしを守ることも両方が含まれています。感染の防止だけを考えて、厳格すぎる強制を行えば、住民の生活と暮らしが破壊されてしまいます。住民は言葉の本来の意味でのクライエントで、我々自治体の行政はこのクライエントを守るためにあります。保健医療行政も自治体の一部であり、知事の支配下にある組織ですから、まずはこれを最大限に動かして、クライエントに不自由をかけないようにするのが筋であります。そして不幸にも、この行政が力及ばずで、感染が爆発してしまえば、クライエントに不自由を忍んでもらうしかないのであります。私ならば、もしそうなったら、県民に本当に申し訳ないと謝ることから始めます。県の行政が上手くいくかどうかは知事の最も基本的な仕事で、最大の責任があるからです。この自分の責任の所にあまり言及せず、クライエントである住民に対してメッセージを発するだけというのは、行政のトップとしていかがなものかと私は思っています。
 和歌山県も何とか感染の爆発は防げていますが、大阪に近く、日常的に関係が深く、人も多く移動しているという地政学的な理由がある故か、結構感染者は出ています。ぎりぎりで耐えているという状況です。一方、近隣でも鳥取県や徳島県のように、山陰や四国の各県はもっと感染者を抑え込んでいます。そのような県と感染が爆発している県とではどこが違うのか、それぞれがよく調べて、感染症法の運用の箍の締め直しをしたらどうかと思います。政府もこの行政が弱い県に対しては、その是正をそれこそ指導されたらいいのではないでしょうか。保健医療行政では防ぎきれなくて、感染が爆発してしまって、医療現場が逼迫している地域や県を責めてはいけません。少なくともそれぞれの現場では皆さん必死で頑張っています。その献身を賞讃すべきであり、心から敬意を表します。大事なことは技術なのです。技術を比較し合って、欠けているところがあれば、トップである県知事の責任で是正すれば良いという事です。

 和歌山県は、日本における感染の最も初期、済生会有田病院の感染を抑え込んだということで随分全国的に賞讃されました。しかし、この一年コロナとの闘いで苦戦を続けながら、経験を重ね、知見を貯めて、あの時期と比べると保健医療行政もどんどん進化しています。
 他県の動向や方法も参考にし、国の知見も正しいと思うところはどんどん取り入れています。それがなかったら、この第3波の感染の勢いは中々止められなかったと思います。そうなれば、保健医療行政でコロナの感染を出来るだけ抑えながら、県民の生活や経済はあまり制約しないという今の和歌山方式の政策運営はとれていなかったでしょう。世界の中で日本を含む東アジアだけが、感染症法という伝家の宝刀を持っています。それがない西欧などが、感染が拡大してきたら、いきなり国民の活動制限に走らざるを得ないというのとは全く違うはずなのです。したがって、こういう事を分かっているはずの日本の感染症法の専門家や医療関係者が、医療現場が逼迫したら、いきなり国民の移動制限という事を主張されるのは、大変不思議なことだと私は思うのであります。

 よく「自分の庭先だけきれいにする」というような事が言われます。自らの責任分野だけは問う事なく、他が問題だと本当は自分の家の前にあった枯葉を他所に散らすが如き行動を非難する言葉であります。
 それではいけないのであります。問題を他所に飛ばして自分の前だけきれいにしても、問題は解決しません。全体の問題を解決するには、自分の家の前の問題をそっちのけにして、他所を問題視するのではなく、自分の家の前の問題を本当に解決しなければなりません。ただ、人は弱いものだし、自分を守りたくなりますから、どうしても責任をとらされそうになると、自分は知らない、あっちが悪い、そっちを何とかしろと問題を他所に投げたくなります。
 例えば逼迫している医療現場からは、入院させる患者は少なくしてくれ、重症者だけにしてくれ、感染症法を改正して入院は重症者だけにすべきだという声が聞こえてきます。よく分かります。しかし無症状者や軽症者を野放しにすると感染者がどんどん増えて、その中では一定比率の重症者は出ますから、重症者の絶対数が増えて問題の解決になりません。
 感染が拡大して多忙を極めている保健所などからは、もうこれ以上仕事は出来ないので、感染を追うのは止めても良いことにしてくれという声が聞こえます。よく分かります。でもそうすると感染が更に拡大して問題の解決には成りません。
 感染症法の地域における運用の責任者である知事からは、住民の行動の自粛の指示ばかりが仕事であるかのような発言が一部聞こえてきます。しかし、感染症法上の行政の頑張りがなくては、一番大事にしなければならないクライエントである住民に不自由を忍んでもらうだけになって、しかも問題解決になりません。あっちが悪い、そっちの責任だでは、いつまで経っても問題の解決にはなりません。そうして一時は責任を主として他所に振り向けたとしても、いつかは住民によって批判される時が来るでしょう。

 我々県知事は、自らの支配下にある感染症に直接立ち向かう保健医療行政が最高の業績を上げうるために、最大限の知恵を絞るべきであります。そして、それが不幸にして、コロナの圧力に屈したら、まずは、クライエントである県民に謝罪すべきだろうと思います。少なくとも私はそうしようと思います。そしてその上でクライエントに不自由をお願いすべきであります。

 それぞれが自分の庭先だけをきれいにするために枯葉を他所に放り散らしたら、感染の防止も、生活や経済の再生も、日本のすべてに責任を負わなければならない総理は気の毒だと思います。
 私も、和歌山県の事なら感染の拡大防止も、生活と経済を守る事も両方から逃げるわけにはいかない立場ですから、身につまされます。

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