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仁坂吉伸の思い

新型コロナウイルス感染症対策(その47)-データの示す急所-

2021年01月04日

 コロナの感染は止まらず、日本全体では、連日史上最多の感染者数を更新しています。そうしますと医療も逼迫してきて、いくつかの県では医療崩壊かという懸念も高まっています。和歌山県では、県庁を中心とする保健医療部隊が獅子奮迅の働きで感染者が出ても早期に囲い込んでしまって、感染爆発させないようにしていますので、感染者も割合少なく、全員病院に入ってもらっていますが、病床の逼迫はありません。自分の部下が大部分ですから、言いにくいのですが、保健医療行政の健康局、各地の保健所、和歌山市の保健所、感染者を受け入れてくれている病院、早期発見に協力してくれている全てのクリニック、病院さらには、正面部隊が忙しくなったとき協力してくれている各機関の保健師、看護師、各行政機関の応援部隊、全ての人に感謝したいと思っています。これがあるから、生活と経済はそう制限することなくという和歌山県の基本スタンスは維持できるのです。
 とは言え、コロナも強力ですから、この保健医療の堅塁も少しでも突破されると危なくなります。気をつけて頑張らないといけません。

 しかし、どこを気をつけて、どこは断固頑張って、どこは少し緩めてもという技術が大事なのですが、それらはデータに基づき、科学的、論理的に考えなければなりません。和歌山県では、春以来ずっとコロナと闘ってきましたので、データも蓄積しています。その事実に基づいて、政策の技術向上に努めているのです。今までもその都度発表してきましたが、この際改めて包括的にご紹介しましょう。

(1)まず、よく言われるのは、病院も大変だから、重症者だけ面倒を見ることにして、軽症者や無症状者は病院に連れてこないでくれという意見をよく見かけます。しかし、A図を見ていただきますと、それは危ないということがよくわかります。

 和歌山県は保健医療行政がちゃんとしていますから発見が早いので、無症状の感染者もよく見つかりますが、感染拡大が怖いこともあって全員まず入院してもらっています。
 ところが図のように入院時無症状であった方も、無症状のまま退院される方は約4割、残りの6割は入院後発症しています。さらに、そのうち4割は軽症どまりですが、2割は重症化しています。おひとりは亡くなられました。
 ここから、初め無症状や軽症だと思えた人も、放置しておいたらいかに危ないかということがわかります。だから、それが可能である限りは、全員入院が望ましいのです。

 これの関連で、この間テレビを見ていたら、コロナ病棟で奮戦している立派なお医者さんが出てきて、医療現場の困難を解消するため、入院や隔離は重症者だけにすることにし、そのため感染症法上、コロナを指定感染症からはずして、インフルエンザ並みの軽い扱いとすべきだという意見を述べておられました。
 私は、お気持ちはわかるけれど、コロナの無症状者や軽症者を野放しにしたら、どんどん感染者が増え、感染者の一定割合は重症化するので、結局大病院の重症者用病床は空くことはないのではないかと思いました。
 幸い厚労省はそのお医者さんのような意見に組みすることなく、コロナの感染症指定の1年延長をお決めになりました。英断です。

(2)次に発症してから、どのくらいまでコロナ患者は人にうつすのかという問題です。言い換えると、いつまで入院をしてもらうのかという問題でもあります。
 この点については、厚労省はPCRで陰性が2回出ないと退院をさせないという方針でしたので、和歌山県もそれに従っていました。そうすると、中には明らかに治っているのに、中々PCRが陰性にならないという人が出てきました。そこで、今年の夏ぐらいに、厚労省から退院基準の緩和が発表されました。これを正確にいうと次のとおりです。

1.有症状者の場合  
発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合、退院可能とする。
2.無症状病原体保有者の場合  
検体採取日から10日間経過した場合、退院可能とする。

 こう決したのは、医学的知見が得られたからだというのです。
 和歌山県はこれは危ないのではないかと思いましたが、感染症法の有権解釈権は厚労省にありますので、これに逆らって入院を強制することは違法になります。したがって、厚労省に従って早期退院の方針に切り替えましたが、万一厚労省が間違っていたという場合には、感染が拡がって大変なことになるので、通院後も2週間の健康観察を続けてきました。しかし、その後我々が蓄積したデータによると、B図のように発症してから一番遅く人にうつした例は、10日後で、その後はないということがわかりました。

 そこで今は退院後の制約をすべてとっぱらって、すぐに仕事などに復帰していただいてOKということにしました。これは、厚労省の見解が正しかった例であります。ただし、厚労省は発症前2日間は無症状でも人にうつすおそれがあるので、行動履歴はちゃんと調べるようにという見解ですが、我々の調査では発症3日前にうつしている例もありましたので、自発的に発症3日前から行動履歴を調べ、必要な接触者には検査に行くようにしています。

(3)一方、最近よく見られるのは一旦PCR検査が陰性になった濃厚接触者が後に発症したり、陽性になったりするということです。特に発見の早い和歌山県ではよく起きた事例です。

 C図を見ると、感染者と接触して、飛沫などを浴びた(これを暴露と言います。)人は必ずしもすぐ発症せず、最大15日目に発症することもあるということがわかりました。発症していない時はウイルス量も少なく、一定の割合でウイルスは持っていてもPCRが陰性になる人もいます。
国の推奨は濃厚接触者はPCRが陰性でも2週間は自宅待機ということですが、和歌山県では、これを厳格に守ってもらって、その後少しでも何かの症状が出てきたら、何度でもPCR検査をすることにしています。濃厚接触者が一回の陰性で安心して動き回ることは危険だということです。

(4)感染をしても、以前思われたように発熱-肺炎という流れにならない人が結構いるとわかってきました。それを表したのがD図です。したがって、熱がなくても何らかの異常があればすぐかかりつけのクリニックに相談して下さい。かかりつけ医がいなかったら県庁ダイヤル073-441-2170に相談して下さい。そしてお医者さんは、まずコロナを疑って下さいというお願いをしています。

(5)E図は発症後症状が発現するタイミングです。命にかかわる時は肺炎が決め手になっていることが多いのですが、この図によると、それらの症状である、呼吸困難、食欲低下、嗅覚異常は発症後4日から6日で出てくるようであります。
 そうすると、初めは熱と倦怠感ぐらいの人も、4~6日で重症化するおそれがありますから、和歌山のように全員入院していますと、ちゃんとケアができますが、自宅待機などの扱いを受けている人はとても危ないということになります。

(6)F図は年代別の重症度の分布です。
 これを見ると、やはりお年寄りは、重症化リスクさらには亡くなるリスクも高いと言わざるをえません。

(7)新聞などを見ていますと、感染経路不明の割合が何%という報道があります。読者はああそうか、この不明者の割合が高いと市中感染のリスクも高まっているんだなぁと思われると思います。もちろん、それは間違いではありませんが、大きな問題が含まれています。和歌山県では、感染経路不明者の割合が他県、特に東京などに比べると圧倒的に少ないのですが、それは、保健医療行政が徹底的に行動履歴を追い、広く検査をしているからであります。

 G図を見ると、和歌山県もクリニックなどで感染症が発見された時は、大半のケースが感染経路不明です。その人の行動履歴を聴取し、関係者を調べ回っていると、だんだんと感染経路が分かってくるのです。当初は一見別々の感染経路からうつったかなと思われたケースが、実は調べていったら同一の経路からうつっていたという例は多く、その時は「つながりました」ということになります。およそ、テレビの警察ものの捜査のプロセスのようですね。なお、そういうことですから、図の直近の11月の感染経路不明割合は今後減ってくるのかもしれません。

 H図はその一例で、赤丸の見ず知らずの2人の方が行動履歴の調査の結果、同一のダイニングバーに同一日に別々に行っていたということが分かり、それを県の野尻技監が見つけて、このダイニングバーに検査に入らせたところ、たった2人しかいない従業員が2人とも感染していたことが判明し、ここが感染源に相違ないということが分かりました。そこで店名を公表させてもらって、市内の利用者に呼びかけ、片っ端からPCR検査をした所、続々と感染者が出てきたのです。それで少し市民の行動を制限する措置をして、それ以上の感染を防げました。
よくメディアで放送されているように、保健医療当局が感染経路不明何人、はい終わり。でその後のトレースをしないと、感染は際限なく拡がるでしょう。報道に甘んじないようにしないといけません。H図はその「つながりました」の好例です。

 感染経路と言えば、和歌山県は、感染症発生の第1段階から、ずっと国立感染症研究所と協力して、ウィルスのゲノム解析をしています。それがI図です。今は数が増えすぎて、段々と個々のケースを言いにくくなっていますが、2か月ぐらい経つと、「やっぱりあの感染は最初の発症者が某県に遊びに行ってもらってきたものだな。」などということが如実にわかるようになります。感染源不明などと言って、感染源を追わない現状を正当化してはいけないということです。

(8)J図は第1波、第2波、第3波と段々と感染力が強くなっているように思えるということをデータで裏付けた表であります。やはり油断をしないでこれまで以上に気を付けたほうが良いと思います。

(9)和歌山県は、コロナの後遺症もトレースしています。分かったことはかなり意外で、命に別状もなく重症化もしなかった若年層にも後遺症は残るということが分かりました。
よく若い人は、自分は命に別状がなくてもお年寄りにうつすと大変なことになるから気をつけようと言われてきましたが、ご本人も後々苦しむ場合があるということです。そんな人はいないと思うけれど、自分は大したことにはならないから、政府や各県の知事のいうことなんか知るもんかと言って野放図な行動をしていると、後々大変なことになるかもしれません。

(10)最後に和歌山県では、コロナ対策主力部隊として奮戦してくれている保健医療行政当局に余計な仕事をさせて、忙しくならないように最大限の配慮をしています。そういうことは、この部隊の上に立つ我々知事のような者の責任です。あの最初の2月の済生会有田病院の院内感染の時から、和歌山県はこのことに最大限の配慮をしてきました。
 ずっと、苦情処理の対応を別にダイヤルを用意して保健所にはさせていません。政府の仕組んだ接触アプリ、ココアによる注意信号が入ってきた時、どうしようと人々が保健所に電話をかけまくったら、とたんに保健所がパンクです。だからこれも専用の別ダイヤルです。感染症法上のエッセンシャルな対応以外の調査やケアは保健所とは別部隊が対応するようにしています。
 そして、ある保健所の管内で大規模なクラスターが発生して、手が足りなくなったような時には、県内の他保健所から応援が急行しますが、管内の市町村にいる他業務担当の保健師さんや、看護協会の協力のもと、管内の看護師さんが助けてくれています。
 そうやって、保健医療当局を持ちこたえさせているのです。図Lは、この最後のケースの応援システムを図示したものです。

 いつかこのコロナとの闘いは終わります。しかし、終わるまで、県民の生活と経済と安寧を守るため、公僕たる保健医療行政に携わる公務員は頑張り続けなければなりません。年末年始の休みもなく働き続けてくれています。そこでお願いです。かつて沖縄戦の際に、大田司令官が大本営に打電したあの言葉「沖縄県民斯く戦えり。県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを。」のように、後世すべての県民は、この行政に携わって奮闘した職員のことをどうか記憶に留めてもらいたい。それが私の願いであります。

 12月25日コロナに関する菅総理の記者会見がありました。その際、尾身分科会座長は、「コロナ対策には急所があるんです。」と言って人々の守るべき生活態度を示されました。しかし私は、急所は、しかももっと大事な急所は別にあると確信しています。それは知事の配下にあるすべての公の資源を投入して、感染症法を用いてきちんとした保健医療行政を展開することです。しかも、現実のデータに基づいて科学的、論理的考察から技術を高めてこれを行うことです。その確信は上記に示したような現実のデータを科学的かつ論理的に考察することから出てきます。

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