新型コロナウイルス感染症対策(その48)-関西広域連合の感染症対策本部-

 1月5日、関西広域連合の新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催しまして、政府や国会に対する「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急提言」と府県市民に対する「関西・府県市民緊急行動宣言」をまとめ、発表しました。
 コロナの勢いは止まらず、特にひどい首都圏では1都3県知事の要請を受けて、政府はこれらを対象に7日から特措法の緊急事態宣言を発出する予定です。
 我々の関西でも、感染は容易ならざる状況で、病院の逼迫も深刻で、一番大変な大阪府には関西のみならず、全国から看護師などが応援に入る状況です。和歌山でも、クリスマス頃には毎日0~2名の感染で止まっていましたが、このところ10人を超える感染者が見つかり、1月6日には19人と過去最多の感染者が出てしまいました。その分、保健医療行政や医療関係者の疲労は濃いのであります。

 しかし、関西においては、各府県の知事が陣頭指揮を執って保健医療行政にしても、必要な府県民への自粛要請にしても、必死で防戦に努めており、行政や保健所、医療関係者も懸命の努力を重ねているおかげで、感染は何とか高止まりという状態であるので、我々の判断では、直ちに緊急事態宣言の発出を要請する状況にはないと考えられるというところです。
 ただし、感染がこれ以上急増するようなら、まずは、一番深刻になると予想されるのは、大阪、兵庫、京都だから、この3府県知事が連絡を取り合って、3府県あるいはその一部で、緊急事態宣言の発出の要請をするので、政府においては、その際は迅速に対応してほしいという提言をすることにしたのです。
 また、その際、特措法や感染症法の改正をして、知事の権限を強めたり、その要請に強制力をつけたり、その要請に伴う補償を明示する等の手段を講じてほしいという提言もしました。この場合、法改正を実際にして下さるのは、立法府たる国会なので、国会に対しても提言対象と明示する事にしたのです。心は、国会が開かれても、この緊急を要する二法改正が後回しにされ、いわゆる政治と金の追及などで日が経っていくのではないかという懸念を示したものであります。その他、大事な論点がいくつもありますので、以下に全文を掲げます。

 次に、府県市民に対する緊急行動宣言です。
 今回は、特に緊急事態宣言が発出される首都圏(1都3県)への往来は控えようとはっきり明示した事と、成人式など行事の前後に同窓会などの飲食で、感染が爆発しないよう、会食を控えるなど行動に注意する事を呼びかけました。
 また、従来から言っている事ですが、発熱など症状のある場合には、出勤、通学等を控えるとともに、すぐに医師に電話し診断を受けようということを呼びかけています。何か変だと思いつつも、我慢して受診せず、職場の同僚、お客さん、家族などにどんどんうつすケースがありますので、この点は一番注意です。和歌山県をはじめ関西では、このような連絡があったら、どの県でもすぐ検査が出来る体制になっているはずなので、とにかくすぐ受診です。全国でも段々そうなっていますが、和歌山県ではかかりつけ医で直接PCR検査をできる所が増えてきて、今や300ヶ所以上でやってくれます。電話でまずご相談下さい。自分の所にその能力の無いクリニックは他所を紹介することになっており、かかりつけ医のない場合は、県庁の専用ダイヤル073-441-2170で案内をすることになっています。

 この点については、先般残念なことがありました。羽田雄一郎参議院議員、元国土交通大臣がコロナで亡くなったのであります。テレビ朝日の報道番組によると、羽田議員が体調が悪くなったので、秘書が参議院内の診療所に「本人は元気だが、身近にコロナ患者が出たのでPCR検査をしてもらいたい。」と要望したら、診療所は、症状がないと(東京都の)公的機関では検査をしてもらえないので、民間に頼むようにという指示を与えたのだそうです。そこで民間の医院に連絡したが混み合っていたので、少し待つように言われ、いよいよ検査予約の日になって急に症状が悪化して亡くなってしまわれたとのことでした。
 本当に残念です。既メッセージ「新型コロナウィルス感染症対策(その47)」で申し上げたとおり、和歌山県のこれまでのデータに拠れば、このコロナでは命に関わる肺炎系の病状が出るのは、発症から4日ないし6日となっていますが、ぴったり合っているのです。ひどいと思うのは、コロナの患者と身近に接したと言っている人に公的機関では症状が出ないとPCR検査をしてくれないと言ったということであります。このケースでは濃厚接触者の疑いが強いわけですから、症状があろうと無かろうと、検査をせよというのが厚労省の指令のはずであり、和歌山県なら、それは大変と300もあるPCR検査機関に急行してもらうべき話であります。もし、東京都においてこういう状況を放置しているのであれば、その罪は重いと思います。(ただし、これはあくまでもテレビ朝日の報道が正しかったという前提の話です。)羽田議員は、国交大臣の時も、初期の頃の民主党国交大臣と違って、田舎の懸案の高速道路の完成にも一定のシンパシーを示してくれましたし、紀伊半島大水害の復旧に関しても、親身になって助けてくれました。そんな立派な人なのに残念です。ご冥福をお祈りします。

 話がそれましたが、以上の点も含め宣言の全文を以下に掲げます。

 和歌山県では、これを受けて、1月6日に記者会見を開き、同趣旨の呼びかけを県民に対して行いました。

 その「県民の皆様へのお願い」を以下に掲げます。

 和歌山県の保健医療行政並びに医療の関係者が頑張ってくれていますが、このまま一本調子で感染が増えると大変危険です。県民の皆さん、是非よろしくお願いします。

 保健医療行政の頑張りによって、生活と経済はあんまり制限をかけないで、やりくりをしていくという和歌山モデルも今大いにチャレンジを受けています。これが壊れると、県民生活と経済に大変な制限を加えないといけなくなります。その時に生ずる副作用としての生活と経済への打撃は大変大きいものになります。私の感覚ですが、その際に被る経済的ロスは、前回支給した各種公的支援金のおそらく、10倍から数十倍になると思います。そこから、生活苦、健康障害、心の不調、財政破綻など様々な不都合が生まれます。軽々しく「(コロナ感染による)命が大事か経済が大事か」という問題ではないのであります。
 何とか、和歌山モデルが維持でき、県民の安全を守るためにも、県から発出している最低限の注意は守ってください。