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仁坂吉伸の思い

和歌山IR 次のステップへ

2021年06月28日

 和歌山県は6月2日、IRの優先権者候補としてクレアベスト(クレアベストニームベンチャーズ(株)とClairvest Group Inc.のコンソーシアム)を選定しました。
 全国にいくつかあるIR希望地の中で、進捗状況はトップを切っています。「優先権者候補」と持って回った言い方をしていますのは、この後法律の手続きで県公安委員会と立地市の和歌山市と協議のうえで差し支えなければ「候補」が取れるということになります。法律の定めるところによれば、これから県はこの優先権者と協力して区域整備計画を作り、和歌山市と県公安委員会の同意を得、県議会の議決を得て、来年の4月28日までに、国土交通大臣に提出しなければなりません。国交省(観光庁)では、この計画がすでに定められているかなり厳格な基準に合致し、それが地域の発展や我が国の観光の振興に資する場合に認可をすることになっています。その際、多くても認可できるのは全国で3か所以内、仮に他に競争相手がいなくても、計画自体が今一つであれば認可されないおそれがあるという険しい道がまだまだ続きます。
 ただ、和歌山県は、しっかりとした優先権者を選ぶため、事業者が提出した提案を、およそ日本一のメンバーと自負している審査委員会で厳格にぎりぎりと審査をしてもらい、合格点をいただいています。したがって、今のクレアベスト案でも合格するのではないかと考えているのですが、優先権者を選んだ後から有力事業者がこのコンソーシアムに加わることも初めから予定していますので、これによってさらに良い区域整備計画ができればよいと思っています。また制度上、優先権者は区域整備計画をよりよくするために、県に協力しなければならないということになっています。
 法律による手続きは、これだけではありません。法律によれば、IRのうちカジノに関しては、観光庁とは別に独立したカジノ管理委員会の規制を受けることになります。日本で初めてのカジノですから、規制はこれ以上ないというほど厳重です。法律の条文も、カジノ管理の項になってから急に詳しく厳格になります。まずIR事業を行う事業者がカジノ免許を受けないといけません。カジノのないIRはないので、実はこの免許取得がIR実現におけるもう一つの大きな山となります。免許を与える基準は法律に明記されていますが、通常の厳しめの法律では、申請内容が良いものであるのみならず、申請者の欠格事由が書かれていて、かつ申請実現のための経理的基礎、技術的能力が問われることになっているのですが、この法律では、これらの他に「申請者が十分な社会的信用があること」という基準が加わっています。さらに免許を与えた後もカジノ建設と運営の各局面で様々な規制が加えられ、その度ごとにこの「十分な社会的信用」が問われることになります。立法者は、よほどカジノ=悪者説を気にして、ギリギリ規制して、言われているようなカジノ業者による悪事や利用者のカジノ依存を防ぎたかったものと思われます。
 しかも、政府の見解では、後で混乱が起こらないように、県が優先権者を選ぶ前に十分な調査をして、問題がないかよく気を付けるようにということになっていまして、これを受けて、審査委員会による中身の審査とともに、県はわざわざ世界的な監査法人を雇って、申請者のいわゆる背面調査をしているのです。もちろんクレアベストは問題ありませんが、今後コンソーシアムに加わってくる事業者があれば、その事業者にも徹底的な背面調査を行うことになります。さて、かくて和歌山IRは事業者選定を終えて次のステップに進むことになったのです。

 今のところ、全国の中でも、和歌山県がIRの進捗で先頭を走っています。先に述べたように、最終的には他の地域に勝つということよりも、和歌山県自身が観光庁やカジノ管理委員会に認めてもらえるような立派なIRの区域整備計画を作れるかどうかが問われるということになります。

 新しいことをしようとするときは、先が見通せないので何でも不安があります。現状をちょっとでも変えると良くないことが起こるのではないかと考える人がどこにでもいるのですが、日本人は賭け事に対しては、特にマイナスのイメージを持っていますので、IRに対する懸念も結構強いものがあります。先日そうした人から投書が届き、カジノなんかやめて、ヨーロッパのような穏やかな雰囲気の中での観光を目指したらどうかというのですが、実はそのヨーロッパでは、ほとんどの国にカジノがあり、これが観光に厚みを持たせているのです。もちろん、この投書者が感じているであろう、カジノで身を持ち崩した人があふれている光景などどこを探してもありません。要は、どういうルールを作り、どういう規制をするかであります。もっと言うと、世界の主要国でカジノを認めていない国は、そういう点で宗教上の禁忌のあるイスラム教国を除くと、日本と中国とブラジルくらいのもので、カジノを認めている国々で必ず弊害がいっぱい出ているかというとそんなことはありません。
 日本は先述のように世界最高のカジノ規制をするという宣言のもとに、厳格な規制、すなわち利用者保護のルールを定めました。これだけでも十分だと思いますが、和歌山県では独自のルールで、さらに利用者保護を徹底することにしています。これで、どうしたら身を持ち崩す地元の人が出るのだ、依存症で苦しむ日本人が出てくるのだ、と私は思うのですが、中身の説明を聞いてわかってから言ってほしいと思うものです。

 もっとも、反対の人は、そんなことはどうでもよい、とにかく賭け事のようなものを和歌山に持ってくるな、すなわち、カジノという定義から許せないという人もいると思います。もし、和歌山に他の働き場所が十分すぎるほどあって、地域が栄えていたら、すなわち、これまでの首都圏みたいであったら、そういう気持ちも、それほどナンセンスではないかもしれません。しかし、長い間地域の経済にかつてほどの勢いがなく、人口もどんどん減っている方の上位にある和歌山が、大事な成長因子を逃していいはずはありません。
 世の中はどんどんサービス産業化をしています。IRほど大きな投資案件は今の世にはそうありません。もともとあれほど経済の力が強かったシンガポールが、その辺を見越して舵を大きく切った先見の明は、その時点では私も見抜けませんでした。しかし、日本と和歌山の現状を見たとき、明日の世代のために、地域に成長因子を足していかなくてもよいなどと誰が言えるでしょう。和歌山が地方の中ではまずまずだった数十年前、私も覚えていますが、和歌山の多くの人は、「もうこれでいいんだ、無理をして高速道路や、企業誘致なんかしなくてよい、十分豊かに暮らしていける」と思っていたはずです。しかし今はよくても同じように未来があるわけでは絶対にありません。産業にしても、国際競争力の変化や技術革新によって、今と同じぐらい未来も栄えているとは限りませんから、地域としては新しいものを足していかなければなりません。これを忘れた政治と行政は地域を衰退させます。ましてや、和歌山は、少しは色々と揃ってきたとはいえ、今もそれほど万全ではありません。将来人口が減り、残った年配者が、「どうして和歌山が元気がなくなったのかなあ」「若者がどうして出ていくばかりなのかなあ」と嘆く姿を想像できるなら、万全の注意を払いながらも新しい世界に身を投じることに祝福を与えるべきです。 

 和歌山IRはそうして次のステップにさしかかりました。

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