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仁坂吉伸の思い

新型コロナウイルス感染症対策(その82)—論点3題-

2022年01月24日

 新型コロナ感染症のオミクロン株は本当に感染力強く、全国的に感染が急拡大、和歌山県も例外ではありません。目下これまでとは異次元の戦いを強いられています。その中で、大変ホットないくつかの話題についての見解を以下申し述べます。

1.陽性者ケアの切替

 和歌山県では、全員入院を方針として、第五波までは何とかこの方針を死守してきました。他県でこういうところは1つもありませんので、なぜそんなことを頑張るのかという議論は当然あります。

 それは第1に患者の安全ファーストだからです。コロナという病気は厄介な病気で、発症後4~6日で肺炎になることが多く、その後一部の人は急速に悪化することがあります。第五波でも陽性判明時に無症状な人が入院後もずっと無症状で退院できる人は20%、軽症の人が60%、肺炎になる人が20%もありました。そしてその中のまたおよそ20%が酸素投与を必要とする人で、中には集中治療室で救命措置を余儀なくされる人や、不幸にも亡くなられる人もいました。入院をしていただいておれば、このような事態の変化を常にウォッチして対応することが可能です。現に他県で若い人で入院できず自宅待機中に亡くなっていたという方がかなりの数に上りました。なんでこんなことがわかるのかというと実は全員入院で経過を全部追えたからです。第六波はオミクロン株が中心で、特徴はものすごく感染力が高い一方、重症化する割合は少ないようです。したがって、入院までしなくてもいいという意見もあるでしょうが、もし入院が可能ならそうしたほうが患者さんの命をより守れるわけですから、できるだけ入院していただきたいという方針は堅持したいと思います。

 第2の理由は、他人に感染させる連鎖を断つためには入院が最も効果があるからです。隔離、看護、看視が一番きちんとできますから、感染防止上有効です。自宅の場合、放ったらかしというのでは話が別ですが、きちんとウォッチしてケアをすると、実は病院に入院していただく以上に保健医療行政への手間がかかるということもあります。分散した多くの対象をきちんとケアをするオペレーションは大変ということは想像するとわかっていただけると思います。こうして感染の蛇口を絞っていかないと、感染がとめどなく広がって、いくらホテルや病院の病床を確保しても間に合わず、感染者が異常に拡大するとその一定割合はオミクロン株といえども重症化しますので、また第五波の時のような医療ひっ迫が起こる恐れもあります。

 ただ現実にはオミクロン株の勢いが強すぎて、全員入院の方針は実現できません。人口当たり全国一の病床を用意していましたが足りません。ホテルも多少用意してさらに増やしつつありますが足りません。そこで自宅療養を採用せざるを得なくなっています。しかし、自宅療養で大事なことは、病状が悪化していないか、常に看視をしておくことです。その際普通は、保健所の専門部隊とそれを応援するほかの部署の行政が行うべきですが、その人々は新規陽性者の発見と積極的疫学調査でてんやわんやになっていますので人手が足りません。そうして見落としがあっては大変です。そこで県医師会に協力をお願いして、クリニックのお医者さんに自宅療養の担当の患者さんを決めて、ハーシスシステムか電話で常に様子を聞いてもらうことにしました。往診してくれるという人は有難いのですが、感染防止のための防護も大変ですし、もしも医師が感染したらクリニックの機能が停止して他の病気の方の面倒も診られなくなってしまいます。したがって電話等で様子を聞いて、専門的知見を生かして危ないという人を発見して、その時は保健所にすぐ連絡してもらうという形にしています。保健所はその人の所へ急行して入院措置をとるわけです。このため、第五波の時と違って、コロナで入院のための病床は満杯にしないで、少々余裕を持たせて運用し、重症化した人にすぐ入ってもらえるようにしました。
ただ、比較の問題として入院していただくのが一番良いことは確かなので、全員入院の方針はおろさず、それが可能となるように新規感染者が減ってきたら、徐々に元に戻していこうと思っています。

 和歌山県ではこのように、患者の安全ファーストに必死で対応していますが、オミクロン株の重症化リスクは低いとよく言われるものの、既に肺炎になっている人が60人、そのうち酸素吸入をしている人が6人(1月23日現在)と一定の人々には命の危険がある病気ですから、あまり甘く見るといけません。特に基礎疾患のある人や高齢の方は心配で、ウイルスのちょっとした攻撃で亡くなる人も出る恐れがあります。きちんと入院措置はしていたのに、そういう方で、お亡くなりになった方が既に2人に及んでいます。痛恨の極みです。心からご冥福をお祈りします。しかし、亡くなられた方が出たということは、仮に十分なウォッチがなされずに、自宅療養を余儀なくされていたら、この数はもっと深刻なものになるのではないかということでしょう。

2 まん延防止等重点措置の適用について

 これは大変悩ましい問題です。和歌山県は普段は保健医療行政でがんばってあまり県民生活を制限しない方針でいるのですが、オミクロン株の猛威の前に、保健医療行政だけでは十分な感染防止ができないということで、大変申し訳ないことながら、県民の皆さんに「不要不急の外出の自粛」をお願いせざるを得なくなりました。これは新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項の措置で、実はこれに踏み切ったのは、各県の中でもかなり早いのです。

 次の問題は同法のまん延防止等重点措置の対象区域にしてもらうかどうかです。決定は国ですが、現在国は知事の要請で動くという方針のようです。これになると、同法の基本的対処方針により、知事は、区域を限って、飲食店に時短要請をしなければなりません。この時は同法第31条の6第3項の命令も追って出せるので、制裁もでき、強力な制限ができます。また酒類の提供も制限できることになります。そのかわり、時短要請をすると、協力金を国の支援で出すことになります。

 この措置をどうするかですが、県庁では飲食店やカラオケ店、宿泊施設等の動向を常にウォッチしています。現状ではオミクロン株の爆発以来、盛り場は火が消えたようになっていて、店を開けている店も、ごく少数のお客さんが静かに利用しているようです。こういう状況は感染リスクは低く、感染防止のためにやるべき時短に意味があるのかという議論があります。協力金をもらいたいので、まん延防止の重点措置区域になりたいという意見もあるでしょうが、目的を達成するための大義名分がない政策はどうしても困難です。対象となる区域の飲食店だけに協力金をということになると、他の区域や他の業種も困っているのに不公平だという議論が出るでしょうし、国の助成があるとはいえ、県費負担もあることを考えると、県民全体のお金をそこだけに使っていいのかということにもなります。そういう背景の下、今まん延防止等重点措置の要請は県によって意見が分かれています。私は大都会のように時短でもしないと盛り場に多くの人が集まってしまうような区域を有する県はやったらよいと思いますが、和歌山は今のところ実態が伴いません。
 
 しかし、過去一度和歌山県でも時短要請を出したことがあります。その時は和歌山市に限って時短をしましたが、その時の目的は、感染防止の予防的措置のためということでした。その時は、大阪で感染が爆発して、いち早く時短になったので、夜お酒を飲みたい人が電車で繋がっている和歌山市の盛り場に夜遅くどっと流れてくるのではないかという恐れがありました。現に、我々の調査でも少しそういう動きがありましたので、思い切って実施したわけです。その時は大阪から流れてくる恐れが少ないということで対象外とした他市町の飲食店の方々から和歌山市だけ協力金をあげるのは不公平だと散々批判を受けましたが、内閣官房との関係でも和歌山市以外の市町に「予防的措置」を拡大する理由を説明できないということであったのです。

 今回はどうかと言うと、大阪などは1月25日に政府対策本部で指定され、今週中には時短になると思いますが、それまでは和歌山と一緒でした。時短などしていなかったのです。したがっていつもより客が多く流れてくる理由がないのです。しかしこれからは大阪が時短をしますので、前回の時と同じ状況になります。仮に大阪の時短逃れのために夜遅くどっと人が和歌山の飲食店に流れてくるというような状況が見えてきたら、素早くまん延防止の要請もしなければならないと思っています。また、救済は時短に伴う協力金だけではありません。この1~3月も困っているお店や企業に対して、困っている程度に応じて、救済措置を講ずべく、2月議会に予算を提出する予定です。

3.人流抑制から人数制限

 政府の分科会の尾身会長がこう言われたとテレビニュースで知って飛び上がりました。
 和歌山県でこれまで感染防止は保健医療行政でできるだけ対応するので、なんでもやたらと人々の暮らしや経済を制限することはしないと言っていた時に、尾身さんはじめ政府の専門家は常に人流抑制のみを唱えていたのになんという変わり方でしょう。
 和歌山県としては、人数制限はそれほどやかましく言ってきませんでしたが(4人とか5人とかの違いはそう意味はない)、飲食店の感染防止ガイドラインの遵守とそのための認証は人一倍熱心にやってきたので、ある意味では人流抑制と叫ぶのはやめた、要はやり方の問題だと尾身さんが言われたのは、ようやくという感慨深いものがありました。
 しかし、感染力の強いオミクロン株の特性を考えてと言っておられるのですが、どうも変だなと思うところもあります。人流の抑制ばかり言っているのは間違い、または不十分というのは、むしろオミクロン株のいない第五波までにより当てはまることで、ものすごい感染力のオミクロン株の下では、すぐにうつってしまうのだから、むしろ人流抑制の意義が少なくとも以前よりは強まっていると考えたほうが良いのではないでしょうか。
 もちろん、そうであったとしても、人流抑制一点張りではいけないのであって、保健医療行政と積極的疫学調査で蛇口を絞めて、感染者をできるだけ少なくするということと併用しなければならないと思います。
 実は感染防止について保健医療行政に重点を置いてきた和歌山県でもオミクロン株のあまりの感染力の強さの前に、一般的「不要不急の外出の自粛」という人流抑制策の強化に踏み切らざるを得なくなったのですが、どう考えてもオミクロン株という現実を前に考えると、方向は尾身会長の見解とは逆で、和歌山県の方向のほうが正しいと思えるのは私だけでしょうか。

 このような右往左往はありますが、オミクロン株といえども少しでも感染者数を減らすように保健医療行政は必死で積極的疫学調査を頑張り、多少は県民の皆さんに「不要不急の外出の自粛」という人流抑制にも協力してもらい、入院、ホテル療養、クリニック等のケア付きの自宅療養を組み合わせて、感染者の命を守り、その間ワクチン接種をできるだけ前倒しするという政策手段の総動員でこの窮状を乗り切らざるを得ないと思っています。

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