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仁坂吉伸の思い

金融経済懇談会

2022年02月07日

 日本銀行が地方へ出ばっていって、地方の方々と経済や金融政策を論じるという「金融経済懇談会」というものがあります。先日は、このため若田部副総裁が和歌山へお見えになり、行政や経済の有力者と議論をしてくださる機会がありました。もっともコロナの流行でオンライン開催になってしまいました。

 まず若田部副総裁から現下の日本、世界の経済情勢と金融政策のお話があり、とても有意義な情報を与えてくださいました。その後出席者が一言ずつ喋ってよしということになりましたので、金融政策のあり方について、思うところを少々述べさせていただきました。

 その時申し上げました内容を、分かるように私の文責で文章語にいたしまして、以下に掲げます。
 日本の金融政策の今後に何かお役に立てれば幸せです。

 今日は、若田部副総裁、高口支店長、本当にありがとうございます。
 ようこそ和歌山へと申し上げたいと思っていましたが、こんな状態になりました。この間は、高口支店長にお越しいただきまして、今日の話なんかをきっちり手配してくださいました。ありがとうございました。
 本来ならば、和歌山県の状況も説明して、副総裁や支店長に色々考えていただくというのが、この趣旨ではないかと思いますが、以下、たくさんの和歌山を代表する経済界の人たちにお話頂きますので、和歌山の状況については、以下の皆さんの話をアグリゲートしていただき、ご理解いただければと思います。ということで、私からは3点、ちょっと礼儀に反するかもしれませんが、違うことを申し上げたいと思います。

 1点目は、コロナとの闘いであります。このコロナの闘いの一つ目の政策目標は、人々の暮らしを、あるいは経済を守るということ。もう一つは、感染の拡大を予防するということ。政策目標が二つあるならば、政策手段が二つ以上じゃなければ絶対うまくいかないというのは、ティンバーゲン大先生がおっしゃったことであり、比較優位の政策割り当てをしないと上手くいかないぞと言っていたのが、マンデル大先生の話ですから、和歌山県は色々考えた結果、忠実にこの政策をやってきました。過去形です。
 その結果、保健医療行政がめちゃくちゃ頑張って、感染防止に努めつつ、あんまり経済は制限しないようにすると。人流、人流と言って、毎日同じことを言っているような専門家は専門家たり得ないと、私が生意気なことを言っていた訳であります。
 ところが、オミクロンが余りにも強く、これはもうそんなことを言っていられない。したがって、感染防止のために、全ての政策手段を全部動員せざるを得ない。要するに戦時経済と一緒で、大変みっともないことになっているのが現状で、県民の皆さんには申し訳ないという状況になっております。
 あんまり効かないかもしれない、まん防の要請も少しは効く訳ですから、これも導入するということで申請させてもらいました。

 2点目は、和歌山県の産業構造は、私が子供の頃から、ほとんど現在まで変わっていません。日本経済が大いに変わったのに対して、和歌山県は例えば製造業の比率も結構高かったが、製造業の中の構造は、鉄鋼、石油と化学で70%、ちょっと今下がったかもしれませんが、それでずっとやってきて、残りの30%が繊維みたいな伝統産業から、島精機のような会社に少しシフトしたということであります。
 それを抜本的に変えていかなければうまくいかない。そのためには、インフラの投資や広い意味での暮らしやすさがないと、新しい企業は来てくれないし、今ある企業も投資をしてくれないということで、そういうことも含めて新規産業の育成と誘致に必死になって頑張ってきました。
 ただ、道半ばの状況の中で、とうとう恐れていたことが起こって、ENEOSが総撤退というふうに発表しております。これは和歌山県の、製造品出荷額の20%弱、有田市に至っては90%強ですから、ものすごいことだと思っておりまして、製油所停止の代わりに、何かやって頂きたいというようなことを、今ちょっと乱暴に申し上げているところであります。

 最後に、3点目でありますが、副総裁のお話を聞いていて、金融政策を含む国の経済政策について申し上げたいことがあります。
 まず、現在の基本的な金融政策については、私は大賛成であります。ただ、何故2%が達成できないかという点については、少し何か伝統的すぎる発想じゃないかというような感じがします。今の政策を擁護しなければいけないという観点があるのでしょうか。経済の現状と展望についての資料の見出しが、「前向きな循環が継続している」と書いておられますが、これなんかはいかがなものかというふうに思います。
 現在、何が問題かというと、マクロ的に考えると労働分配率が、余りにも資本の方に寄ってしまっている。それも内部留保として、企業の中に蓄積されていて、副総裁はそれを、待機資金という形で、どちらかというと、高評価されましたけども、私はどちらかというと、金融政策の足を引っ張っている元凶だ、というふうに思っているわけであります。
 例えば、マクロ的に考えても、もっと企業が投資をして、新しい生産性拡大に繋がるようなモノを日本で作っていかないといけない。そうすれば、金融政策もきっと実ってくるはずであると思うわけです。
 もう一つは、さらにセグメントで経済を見ていく必要があるんじゃないかという点です。やはり、マクロで日本しか見ていないというところがあるような気がします。
 具体的に言うと、地方の経済は、輸出採算で、大いに潤ったような大企業に、部品を供給したり下請けをしたり、そういうところがあります。その大企業は、はじめは内部留保に努めていたが、少ししたら、従業員の給料を上げて、その従業員は、大都市に多いので、大都市の消費なんかは、少し刺激されたというところがあると思います。しかし、そういう大企業の購買態度はどうなっているかというと、自分たちの会社が昔存続が危なくなった時のまま、買いたたきを現在も続けることが多くて、我々のミクロの調査によっても、なかなか価格転嫁が認められない。場合によってはとんでもない、下請け代金等遅延防止法なんかで引っかかるような、不正や違法と言ってもいいような、そういう商取引に該当しているというようなことも一部あります。ほとんどは、まともな商取引だと思いますが、地方の企業は高く売れない。売れないが一方では、輸入原価は上がっていくわけであります。金融政策は正しいのですが、地方企業の価格転嫁が認められないと、地方企業の採算はものすごく悪くなる。ものすごく悪くなると、従業員の賃金なんか上げられるはずがない。上げられるはずがないと、その賃金を上げてもらえない方々がたくさんいる地方の経済は、消費が伸びるはずがない。この連鎖で、ずっと、金融政策の足を引っ張っているんじゃないかと私は思います。
 その中で、先ほどもお話がございましたように、現在の金融政策はなかなか効果がなく、間違っているのだから根っこからひっくり返せというような議論がありますが、これは明らかな間違いだと思います。
 ただ、その時に、同時にその金融政策当局としては、本来ならば、自分の守備位置でないような分野にも、今の例えばセグメント的な分析からできる話とか、あるいは、財政政策の問題であったり、あるいは産業界のビヘイビアの問題であったりするようなことについても、大いに口出しをされたらいいんじゃないか。そのうちの一つが、副総裁がおっしゃった、「高圧経済論」であると思いますが、その分析の中でも、セグメント的に私が申し上げたような形で足を引っ張っている要素があるというようなことは見られないような感じがします。もっと、金融政策プロパー以外のものも動員して、金融政策が上手く効くような経済を作っていかないといけないと思います。
 その時に、安倍政権が唱えた三本の矢というのがあります。金融政策を一本目として、二本目の財政政策について言えば、量は十分に出している。ただ、その量の中身が、バラマキになってタンス貯金に回って埋まってしまって、副総裁が評価したような、まだ資金の引き出しがいくらでもあるぞというようなところにとどまっていては、効果がない。従って、産業界が、投資がガンガンできるようなところに経済・財政政策の中心を置くべきじゃないかというのが、金融当局からも言えることじゃないかと私は思います。
 あとは、構造改革で、これは規制緩和をしろ、岩盤規制はけしからんという話がありますが、一部そうだと思います。しかし、それは主役ではないと思っております。主役はさっき言ったような長い間のビヘイビアの積み重ねで、大企業がしがまえこんでいて、従業員にも、ちょっとしか給料を出していないし、そして、取引相手にほとんどお金を出していない、その取引相手が疲弊していて、その従業員が疲弊していることで、経済の好循環が全く切れているというのが、大きいところではないかと思うわけです。
 三本の矢じゃなくて、私は、三方よし経済にすべきだと思います。
 三つを語呂合わせすると、企業も良し、従業員も良し、そして、取引相手にも喜んでもらえて、皆が栄えるようにするのが、多分、日本を救う道じゃないか。それを日銀は意識して、これからお話いただいたらいいんじゃないかと思います。

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