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仁坂吉伸の思い

新型コロナウイルス感染症対策(その86)-第6波の実情と心配事-

2022年04月11日

 第6波も日本では少し下火となってきて、3月21日をもってすべての地域でまん延防止等重点措置が解除され、いろんな人と話をしていると、「そろそろピークを過ぎたようで、ひと安心ですね」とおっしゃる人が多くなってきていました。そういう時私は、「いやあー安心できません。もともと和歌山県は県民活動にはあまり制限をかけず、保健医療行政でしっかり頑張って、できるだけ食い止めるからと言っていたので、そう制限はしていませんが、保健医療行政はこれだけ頑張っているのに思うように感染が落ちないのですよ。他県では、もっとそうでしょう。まだまだ心配です。ひょっとしたらリバウンドするかもしれません。」と言ったりしていたのですが、このところ、和歌山県でも、全国でもリバウンドの動きが出てきています。
 それに関する心配事はあとで述べるとして、これまでわかってきた第6波、オミクロン株の実相と気が付いたことをまず述べます。和歌山県は、ずっと保健医療行政が患者に向き合ってお世話するとともに、治験を記録してデータ化しており、時折、野尻孝子技監の名で発表していますので、それから得られた知識で書いています。(データは「新型コロナウイルス感染症の県内発生について その16~第六波の状況~」をご覧ください。)

1.3回目ワクチン接種の効果 その1 感染予防効果

図1

 図1は、高齢者施設利用感染者数とワクチン3回接種者の関係です。3回接種が伸びていくにしたがって、感染者数は減ってきました。
 青棒は3回未接種者、オレンジ棒は3回接種者です。1月中は3回接種者がほとんどいなかったので青棒ばかりですが、その後3回接種が進んでも、その人たちの間でも1月末からぽつぽつ感染する人が出てきてオレンジ棒が少し出始め、現在に至っています。3回接種しても、うつる人もいるので、ワクチン接種は効果はないという人もいるでしょうが、それは誤りです。なぜなら、3回目未接種者と接種者を足した全体の感染者はうんと減っているからです。

 正確なデータはありませんが、第6波では、感染者の大体半分はワクチンの未接種者、半分は接種をしている人(2回と3回の両方)という見当だそうですが、第6波の初めのころ大体80%の県民が2回ワクチンを打っていて、20%が未接種だったものですから、接種をしている人の方がうつりにくいということは明らかです。

 また、これも図はありませんが、新規感染者のうち3回接種者は4%ぐらいとのことでした。3回目の接種は今は50%ぐらいですが、第6波の最初はわずかでしたので、この4%という数字が、3回目の接種をした人はそうでない人に対して25倍うつりにくいというところまで言っているわけではありませんが、十分うつりにくくなっていることは明らかでしょう。しかも、うつった人は人にうつすわけですから、それが体の弱い高齢者などに拡がってお命を縮める確率も高くなってくるわけです。それなのに、ワクチン反対と言ってデモをしたり、市役所に抗議に来たりする人がいるのですが、困ったものだと私は思います。

2.オミクロン株と死亡との関係

 オミクロン株は比較的軽いといわれていたのに、ずいぶん死亡者が出ました。和歌山県では保健医療行政は崩壊してはおらず、頑張っていますので、保健所から放置されて亡くなったなどという例はありません。逆に人知を尽くしても、この病気はこうなるという恐ろしさを物語っています。
 第6波で亡くなった45人(3月14日発表までのデータ)のうち、30代が1人、残りは70代以上で、さらに内訳は、70代9人、80代18人、90代以上17人となっています。30代の方はとても体が弱かった方ですが、和歌山のようにきちんと対応していれば60代までの方は大体は助かるということです。逆に言うと、70代以上、特にかなりの高齢者はオミクロン株に感染すると危ないということです。しかも、基礎疾患のある人は本当に要注意です。
 特にオミクロン株では、発症から死亡するまでの日数が短くなっています。(図2)

図2

 従来は、重い肺炎になって治療の甲斐なく、とうとう亡くなったというのが多かったのですが、第6波では長患いが少なくなり、発症から7日以内に死亡する人が42%ですが、第1波からの全体では7日以内に死亡する人は25%でしたので、顕著に差があります。これは何もオミクロン株が劇症だからというわけではなく、特にほかの疾患もある高齢者が新型コロナに罹ったのをきっかけに亡くなってしまうということなのです。

3.3回目のワクチン接種の効果 その2 死亡との関係

 ついこの間まで、すなわち3月中旬ぐらいまでは、ワクチン接種を3回した人でも、時には新型コロナに感染することはある程度あるが、重症化した人(酸素を必要とする人ということで和歌山の定義です。)は1人、死亡した人は無しと聞いていました。それほど重症化抑止力はあるようです。しかし、この数字は今は少しずつ変わってきて、死亡した人は2人になりました。ただ、全体の感染者数はとても多いので、ワクチンを3回打っておくと、かなり重症化は防げるということは間違いないと思います。

4.過去新型コロナに罹った人はもう罹らないか

 和歌山県では3月19日発表までのデータで再感染者は81名もいるので、1回罹ったから安心というわけではありません。さらにこの人たちを調べると、ワクチン未接種者が45人、1回が4人、2回が25人、3回は1人でした。先述のようにワクチンを2回打っていた人は80%、打っていなかった人は20%程度なので、ここでももう新型コロナに罹ったから安心というわけでもなく、ワクチンを打たなかった人はまた感染する可能性が高いと言えると思います。

5.心配なこと

 それは前回のメッセージに書いた、厚生労働省のアドバイザリーボードのいわゆる「阿南先生報告書」に端を発する保健医療行政又は積極的疫学調査の緩和(又は手抜き)の問題です。
 その時の「阿南先生報告書」の内容があまり科学的でなかったことは、前回のメッセージの通りなのですが、さすがは専門家の皆さん、改定された「阿南先生報告書」は随分改まっており、非科学的なところはすっかり影を潜めています。そもそもこの報告書で言いたかったことは事業所が自らの社員などが発症した時、多忙な保健所に代わって、事業所が濃厚接触者の特定をし、自宅待機その他の必要な措置をとることを政府が要請しているのですが(令和3年6月4日厚生労働省通知)、事業所も大変だろうと、「積極的疫学調査はオミクロン株には意味がない」という理論づけをして、この要請を取り消すことだったのです。
 保健所が多忙な時は、事業所に助けてもらうことは悪くないし、事業所も自らのBCP、事業継続を考えると、事業所の中でこれ以上感染を増やさないように、従業員に自宅待機などを命ずるということはむしろ役に立つことです。しかし、これをあまり厳密にすると、事業所の手間も大変だし、濃厚接触者に特定すると、あまりにも長く出勤停止を言い渡さないといけないということで、事業所側からも不満が出てきたのでしょう。私は前も言いましたように、科学的に正しい知見に基づくものならば、濃厚接触者の範囲をより狭くしてもいいと思うし、オミクロン株の特性に合わせて待機時間の短縮をすることは合理的だと思っているのですが、事業所がもう何もしないでいいというのは社会にとって危ないと思います。というのは、保健所はもうパンクして、陽性者を追いかけるのを放棄しているという前提ですから、事業所も陽性者を追わなくなってしまうと、感染はとめどなく拡がるということになるからです。

 それで前回に申し述べましたように、全国知事会長以下警鐘を鳴らして政府に意見したのですが、仕上がりは何か奇妙なものになりました。
 まず、事業所に濃厚接触者を特定しなくてもよいという通知はありません。したがって、前の通知(令和3年6月4日)が生きていると考えられます。新しい通知(令和4年3月16日)では「事務所等で感染者が発生した場合、保健所等による一律の積極的疫学調査及び濃厚接触者の特定・行動制限は必ずしも行う必要がないものとする」とあるだけで、これだと保健所はそこまで求められない(仕事はしないでよい)とあるだけです。内閣官房から出される特措法の基本的対処方針も「事業所等において、保健所等による濃厚接触者の特定を行わない場合は、出勤において一律に制限を行わず」となっていて同様です。しかし、テレビを見ていてびっくりしたのですが、岸田総理が「事業所は濃厚接触者の特定をしないこととする」とおっしゃったのです。(令和4年3月16日)この談話の後、前記の様々な通知が文書で流されていますので、ひょっとしたら総理の談話はスキップされたのかもしれません。しかし、総理がああお話になるという時は、事前に厚労省又は専門家からブリーフィングがあるはずです。しかも、そのブリーフィングは、以前の科学的でない「阿南先生報告書」のラインで行われた可能性があります。昔官僚をしていた私の職業倫理からすると、上司に間違ったことを上げて、上司がそのラインで行動するということは断じてあってはいけないことです。人は皆間違いを犯します。でも間違いがわかったら、すぐ訂正をして上司を結果として謝らせるということはあってはならないことです。前の「阿南先生報告書」でミスリードしているのなら、改定後の「阿南先生報告書」で訂正して、以前のミスリードを治癒しておくべきでしょう。でないと総理がお気の毒です。

 何故こういう事を言うかというと、オミクロン株の特にBA.2に復活の兆しがあるからです。その時、保健医療行政も100%は無理なのはわかっていますが、できるだけ積極的疫学調査で頑張って、感染の爆発を防ぐために頑張るべきでしょう。その気力と体制が、和歌山県はじめ、地方圏の頑張っている県は別として、多くの人口を抱える県の当局にあるか、これが心配です。

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