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仁坂吉伸の思い

新型コロナウイルス感染症対策(その87)-第6波への和歌山県の対応とワクチンの効力-

2022年04月25日

1.オミクロン株の猛威は消えていません。まん延防止等重点措置の終了(令和4年3月6日)から、和歌山県では対策の基本は再び和歌山方式に戻していますが、一言で言いますと感染拡大防止には保健医療行政が立ち向かうから、県民の皆さんは特定の注意事項を守っていただく以外は特に行動の制約はかけません、ということです。3月6日の後もだんだんと感染者が減ってきて、3月22日には新規感染者の発表が78名と久しぶりに二桁に下がり、これからはと期待を持ったのですが、すぐリバウンドして、現在も200人台と300人台を行ったり来たりしています。大阪という大都会に近く密接な交流があるとはいえ、これだけ頑張って保健医療行政に取り組んでいるのに本当に手強い相手です。人事異動、卒業、入学、お花見など人の交流が盛んになったからかもしれません。
 しかし、和歌山県では、長々とコロナ対策が続き職員は本当に気の毒ですが、様々な工夫をしながら、保健医療行政と医療の崩壊を防ぎ、高齢者、基礎疾患のある方が新型コロナで命を奪われないように守っています。

 まず県民に対しては、先述のように、あまり行動の制約はしないのですが、次の3点だけはいつもお願いをしています。
  1 マスク、手洗いなど基本的な感染予防手段の励行
  2 大勢での密な飲食などは抑制的に
  3 少しでも症状がある人は通勤通学を控え、すぐにクリニック等で新型コロナの診断を

 また、最近マスコミで主として人口の多い大都市圏の県で、第6波に対応して、保健行政や医療を守る工夫が報じられていますが、和歌山県では、もはや全員入院は実行不可能だから、それに代わって今報じられる措置をかなり以前から既に実行しているなというものがほとんどです。どういうことをしているかは地元では積極的に情報開示をしているのですが、人口が少ない県の出来事はどうしても全国メディアの報道には採用されないので、全国に発信できず、残念な気持ちもあります。

(図1)

(1)いつも言っていることですが、図1は和歌山県で行っている保健所への応援体制です。新型コロナの感染防止のためには積極的疫学調査を行う保健所機能が多忙でパンクしないようにすることが大事です。このため和歌山県では保健所、とりわけその中でも知識と技術をもってこれにあたる医師、保健師、看護師、検査技師のようなコアの部隊が手いっぱいになって機能不全にならないように、コアではない業務はどんどん外部の人を動員したり、手伝ってもらったりしています。

(2)また、新型コロナが陽性と分かった人も、今は感染者数が多すぎて、以前のように全員入院は不可能です。そうすると自宅療養や一部ホテル療養をしていただくことになるのですが、容体の変化があった時、入院した時同様に迅速に対応する必要があります。したがって保健所による十分な症状チェックがいるのです。また、新型コロナ専門病院に入院しなくても必要な薬を投与する必要も生じます。そこで和歌山県は新型コロナ専門病院以外にも各地の医師会と協力関係を結び、自宅療養者に対して、担当医を決定し、診療の依頼もしています。したがって、保健所が直接患者の症状をフォローする場合に加えて、この担当医が患者の症状をフォローしてくれることになり、容体が増悪した場合は連絡を受けた保健所が直ちに入院措置をするということにしています。
 また、一時ものすごい数の感染者が出て、保健所が新規感染者の積極的疫学調査に入るだけで手いっぱいという時がありました。こういう時は医師会にお願いして、クリニックの医師が直接患者を往診しなくても、電話などで容体確認をしてもらうという制度を作りました。新型コロナは感染するので、医師の方も往診して患者に直接あたるというのは少々自信がないという時期もあったものですから、そういう時でも少しでも保健所を助けてもらおうという趣旨でそういう制度も作りました。

(図2)

(3)また、オミクロン株は本当に感染しやすいので一般の病院や高齢者施設などでクラスターが発生することがありました。従来なら、感染者だけを新型コロナ専門病院に入院させて残りの人にうつらないようにするということをしてきましたが、感染者が多い時は全員入院は無理で、容体が心配される人だけにすぐ入院していただくという方式しか取れません。残りの人々は施設の中にいてもらいながら、うまく隔離するということが必要になります。しかし、新型コロナ専門病院と違って、一般の病院や高齢者施設側にそのための十分な知識がない時もあります。そういう時はクラスターが発生した施設に対して、県から感染管理認定看護師、医師等を派遣して隔離の方法などを指導してもらうことにしました。

 また、一般の病院や高齢者施設で療養する新型コロナ患者に対しても、悪化を防ぐには感染初期の段階で中和抗体療法など早期治療を施したほうが良いという場合があります。従来は、このような専門的治療は新型コロナ専門病院に入院してからそこで行うということでしたが、和歌山県ではかかりつけ医等による施設への往診、経口抗ウイルス薬、中和抗体療法を含む早期治療の実施も道を開いてどんどんできるようにしています。それを示したのが図3です。

(図3)

 以上主なものを上記に記しましたが、まだまだどっさりあります。重複をいとわず列挙したものを次表に示します。

(別表)保健医療行政強化のための施策 ※画像クリックで拡大表示できます。

 新型コロナウイルスから命を救うためには、工夫できるところは何でも工夫するということです。同時に、こういう工夫は新型コロナウイルス以外の病気から県民を守ることにもつながると思っています。すべての病院を新型コロナ優先でどんどんコロナ対策に動員してしまうというのは、ほかの病気のリスクを考えるとやり過ぎです。

2.こうしてオミクロン株との戦いで苦戦をしながら和歌山県は何とかしのいでいますが、今後事態の改善のためには、ワクチンの3回目の接種と今年になってから始まった年少者への接種の行きわたりしかないと思います。

 オミクロン株とワクチン接種の関係も全国で調べられていますが、和歌山県でもきちんとデータを取っていますので色々なことが段々とわかってきました。
 まず、オミクロン株の場合でもワクチン接種は重症化予防には大きな効果があることは広く知られています。しかし、感染予防効果はどうでしょう。

(図4)

図4は感染者のワクチン接種回数を表したものです。オミクロン株はブレークスルー感染が結構ありますが、この図で顕著なのは、未接種の人が半分もあるということです。和歌山県でも、ワクチンの未接種の人は約20%ですので、その20%が感染者の半分を占めているということは、やはりワクチンは打っておいたほうが良いということです。

(図5)

 図5は、ワクチン接種回数別罹患率で、未接種の人は5.1%、1~2回接種している人で3.6~3.8%あるのに対して、第3回目を接種している人の罹患率はわずか0.2%であります。ワクチンの効果はだんだんと減退すると言われていて、1~2回目を早く打った人はブレークスルー感染を受けやすいと言われていますが、3回目の中和抗体増加効果は県で少しだけ調べた結果すごいものがありますので、こういう結果になっているものと思われます。(ただ時間の経過とともに、3回目の中和抗体増加効果は3回目接種といっても少しずつは減っていくかもしれません、と付記しておきます。)したがって、自分がうつらないためにも、人にうつさないためにも、ワクチンの接種をどんどん受けていただきたいと思います。しかし、当初の混乱から脱して、市町村の接種体制も充実しているはずなのに、特に若い人が積極的に受けに来てくれているかというと少し弱い感じがします。おそらく、若い自分はあまり重症化しないと聞くし、面倒だし、副反応も嫌
だからという心理があるのではないかと思います。しかし、高齢者にうつったら命に関わることが多いことも考えると、人にうつさないためという利他の精神も忘れないでもらいたいと思います。

 少し前になりますが、「地域人」という雑誌に小峰隆夫氏が一文を書いておられました。ワクチンを打つことは自分がうつらない、悪化しないだけでなく、人にうつさない、それによって社会全体の利益も図れるという意味で外部不経済の問題をはらんでいるということでした。小峰さんは私が経済企画庁出向時代に知己を得た尊敬する先輩で、立派なエコノミストですが、何もワクチンが外部経済・不経済効果を持っているということは、小峰さんに頼らなくても誰でもわかることですが、こうした時経済政策的には外部不経済を是正するため、政策発動が正当化されます。小峰さんは、ここは規制、強制などではなく「ナッジ理論」で、そっと押してやるのが良いと書いておられました。若い人々がボランティアで自分がワクチンを打つことで、高齢者の命を救おうという主張をしたり、運動をしたりしてくれることが望ましいということです。心優しい有為の若者が是非そうしてくれないかなあと思います。

 ところが世の中は、ネットなどで反ワクチン思想に凝り固まった人が、ワクチン反対と言って運動をしている状態です。そういう人々にとって意に沿う意見を述べる「識者」もいるし、ワクチンに反対の人はそういう材料を見つけるとそれ見たことかとネットでの拡散につとめますから、中々真実を見てくれません。政府やワクチンを評価している学者などは真実を隠して世の中を騙そうとしているという陰謀論が蔓延るようです。さしずめ、上記の和歌山県のデータも捏造したものだと思い込まれるのではないかと心配です。でも政府や自治体がやっていることは、捏造なんかしようものならすぐにばれます。また、捏造までして人々を騙さなければならない動機がありません。この辺の事情を丁寧に分析し、反ワクチン派の方々が依拠している論文をきちんと分析して評価しているのが、宮坂昌之大阪大学名誉教授の近著「新型コロナの不安に答える」(講談社現代新書)です。反ワクチン派の人にもちゃんと読んでほしいと思います。

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