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仁坂吉伸の思い

友は裏切らない

2022年06月09日

 私が今までお付き合いをいただいてきた人の中には、いわゆる「大物」として世の中で尊敬されている人がいます。名を挙げるのは憚(はばか)られるので挙げませんが、そういう人に共通の生き方を挙げよと言われればそういう人は「友を裏切らない」人だと思うということです。
 人は人と何がしらの関係を持ちながら、時には協力したり、依存したりしながら生きています。そういう人間関係は、ずっと同じ関係で続くわけではなく、外的環境が変わると、密接であった利害関係がほとんど意味をなさなくなったり、以前の密接な人間関係が存在意義を持たなくなったりという場合もあります。昔同志として持ちつ持たれつという関係であった人のうち、一方がとても偉くなって、もはや相手にお世話になるようなことはなくなってしまったというようなケースもあります。このような時に人によってはドライに昔の人間関係をなくしていく人もいます。もっと極端なケースでは、昔の同志が、今は自分のこれからのためには邪魔になったので、切り捨てていく人もいます。
 しかし、私が知っている先述の「大物」の人たちは違います。本人がどんなに偉くなろうとも、昔の仲間はずっと仲間として遇し、冷たく切り離すことはないと思えます。「友は裏切らない」のです。
 おそらく、それは大変な努力を要しますし、昔の仲間の存在は今の自分にとっては、役に立つことはない以上に、客観的にはかえって邪魔になっているのではないかと思えることもあります。しかし、立派な「大物」の人はそれでも昔の仲間を大事にします。逆に言えば、こういう目先の損得にこだわらない真心が見えるからこそ、大勢の人に尊敬され、たくさんの人が慕い寄って来て、その号令に服するのではないかと思うようになりました。

 私はもとより「大物」ではありませんし、毎日の県政の仕事を必死でこなしているだけの小心翼々たる存在ですが、それでもこの「友は裏切らない」という考えは大事にしていかなければならないと考えて、これまでの人生を送ってまいりました。

 「友は裏切らない」、この言葉を私は、自分を律する規律の一つとして重視しています。友情というと、もっと積極的で、かつエモーショナルな響きがありますが、私は友情を育むという余裕がない時でも、少なくとも友を裏切ることだけはすまいと思っています。
 人間は皆自分が大事だし、それぞれ自らの実現したい理想と抱負があり、自分ならそれを担えるという自負があるのでしょうから、自らが生き残ることが大事だと考えるのも分からないわけではありません。しかし、大事なのは、自分が殉じるべき客体であり、自分以外のものだと思います。仲間として、同志として、協力者として一緒に頑張ってきた友であるべきだと思います。先述の「大物」の方々は皆そういう人生を送ってこられたのだと思います。

 少なくとも、私は「友は裏切らない」で行こうと思います。私の今を考えた時、通産省で若い時から鍛えてくれた先輩や協力して戦ってきた同僚、頑張って付いてきてくれた後輩が居ます。そういう人々に薫陶を受けたからこそ今の私の知識があり、経験があり、ノウハウがあり、すなわち今の自分があるのだと思うわけであります。また、今は知事として県庁の全職員を率いているわけですが、自分が県政でああしよう、こうしようと思っても、それが実現できるのは、歯を食いしばって付いてきてくれる職員のお陰であります。従って、局面、局面で大議論を戦わせたり、がみがみときついことを言ったとしても、最後は県政に関する限り、全ての責任は私にあると考えて責任を取らなければならない。これが友を裏切らないということだと思っています。
 職員が命令一下一生懸命働いているのに、その案件がはかばかしく行かなかった時、職員が悪いので、自分は頑張っているのだがと外に向かって言ったら、それは友を裏切ることになると思います。

 華々しく登場したある政権の花形大臣が、報道陣に向かって自らの部下の官僚の悪口を言い募り、それがマスコミの報道を通じその人の人気を高めたことがかつてありましたが、私は、それはとてもいけないことだと思います。大臣は、部下の官僚の生殺与奪の権を持っています。仕事の中味も指令できますし、面従腹背は処罰を以て正せます。すぐには首にはできませんが、人事上の処遇を以て実質的には官僚の生殺与奪を行うことができるのです。だから気に入らなければ、自分が行政の中味を変えさせればよい。そのためには、お互いが納得するまで官僚と話し合えばよいし、最後までどうしても言うことをきかない官僚は移ってもらえばよい。それをしないで官僚の悪口を言い、できないのは官僚が悪いからで、自分は「ええもん」なのだと言うことは、一番ひどい友への裏切りだと思います。

 官僚OBでも、そのタイプの人がいます。官僚を辞め、テレビなどの論客として、あるいは有力者のブレーンとして、あるいは政治家として転身した人が、もとの組織をボロクソに言い、この間まで共に苦労を分かち合ってきた同僚を前例踏襲だけの頭の固い愚かな人々で、自分達の組織のことしか考えないエゴイスト集団のように言ったり、本に書いたりするのは本当に恥ずかしいことだと思うのであります。それも、前の組織で、自分が正義のために一人立ち上がり、他の人々に弾圧されて組織と決別しなければならなかったような場合ならともかく、在職中は、時代の先取りをして構造改革の旗手として、相応のポストに就き、先頭に立って走っていた人が、辞めたとたんに、もとの同僚を口を極めて罵るがごときは、事情を知る人が見たら実にけしからんことだと映ります。世間の風に乗ろうとすると、マスコミなどを通じて、前の組織を悪し様に罵って、自らを引き立てるということがおそらく有効なのでしょう。残念なことです。

 これからも他の人はどうであっても自分は友は裏切らないという気持ちで人生を生きていきたいと思います

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