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仁坂吉伸の思い

新型コロナウイルス感染症対策(その91)-全数把握の見直しせず-

2022年08月29日

 8月24日に、政府は新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しをすることとしました。新型コロナの陽性が判明した時点で、医療機関は、すべての患者について発生届を保健所に提出することが法律で決められていますが、現在の感染状況では、この発生届が医療機関や保健所の負担になっているという意見を踏まえて、緊急避難措置として、都道府県の判断で、発生届の対象を全員でなく、高齢者や重症化リスクのある患者などに限定できるというものです。

 たしかに、発生届を書いたり、HER-SYSというシステムに入力したりするのは手間がかかるので届出の対象を限定すると、その負担は楽になりますが、逆に、別の混乱が発生し大変になることが多いと考えたため、和歌山県では今まで通りにすることに決定しました。
 その理由は次のとおりです。
 まず、お医者さんの協力についてですが、医療機関でHER-SYSに入力してくれているところがあります。発生届の対象を限定することで、入力の手間は減るかもしれません。しかし、実際に、入力することによって、保健所がきちんと感染者をケアする、つまり、どこの誰が感染していてどうしているということが分かる状態でなければ、その人が後で悪化した時に、もともと診察した医療機関へ駆け込んで来ることになると、そこでお医者さんはオタオタすることになります。その人は悪化しているので、どうやって入院させようとか、全部考えないといけない。大変な労力と責任を被ることになります。そうなると大変なので、入力する方がマシだと言うお医者さんの方が多いでしょう。

 二つ目の理由は、保健所についてのものですが、保健所も今、お医者さんが自分で入力をしてくれないところは、発生届の情報を集めて、保健所業務支援センターに委託しており、少し時間がかかりますが、そこで入力してもらっています。だから、保健所が入力事務で大変になっている訳ではありません。この高齢者は大丈夫か、入院する必要があるのか、そういう医学的なことを考えるサブスタンスの仕事をきちんとやっています。それが、入力をしないようにすれば、サドンアタックが発生する。つまり、自分たちが把握していないところで、急にコロナのものすごく重篤な病人が出たとなったら、この人をなんとか入院させないといけないと慌てることとなる。それが、保健所にとってものすごく負担となります。初めから、我々のように、苦労しながらきちんと患者の情報を把握して、どこに誰がいるから、大丈夫ですかとか、熱がものすごくあったけどちょっとは下がりましたか、というようなことをやっていたら、この人は多分、入院させなくても大丈夫というような見込みが立っていくでしょう。そういうことの見込みが全く立たない状況で、いきなり救急搬送される訳です。これは救急の逼迫という大変な事態になるので、やめてもらいたいというのが、現場及び我々の保健医療行政のヘッドクォーター、野尻技監のチームの声です。だから、真面目にきちんとやっているところからすれば、手抜き工事をすれば後でしっぺ返しを食らう、ということになるというのがあります。

 三つ目の理由は、これは必ずそうなるという訳ではないですが、今回の見直しにおいても、感染症法の2類相当に変わりはないから、お医者さんで陽性ですと言われたら、届け出はされないけれど、従来どおり、その人についてはきちんとと家にいないといけないというような柔らかい義務がかかります。その時に自分はきちんと保健所に把握されているとなると、ちゃんと義務を守らないと後で叱られるという感じになりますが、把握されていない状態であれば、症状もそんなにないし、陽性だけど今日は外出してもいいのではないかということにつながりかねません。そうなるとは断言できないけれど、なる方に一歩近づきます。だから、もしそうだったら、それは感染の拡がりを助長することになってしまいます。だから、あまりよろしくないということもあります。

 このような理由で、和歌山県は、今のところ感染者数が多く、保健医療行政はしんどいけど、全体として何とかしのいでいるので、今の制度を変えるつもりはありませんということです。

 さらに、すでに和歌山県は工夫しています。かつてのように、全員に対して、保健所の人がいちいち指令して、あなたが濃厚接触者ですとか、こちらで検査しますので来て下さいというようなことが、なかなかできなくなっているので、いろんな工夫をしています。
 一つは、お医者さんの権限で、検査をしなくてもみなし陽性として、例えば、陽性者の同居家族など濃厚接触者に相当するような人で症状がある人は、陽性と見なして隔離してしまおう、この人はみなし陽性ですと届けてしまおうというのがあります。
 二つ目は、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある人以外で陽性が判明した人は、保健所の聞き取りではなく、自らスマホを使って、自身の基本情報や毎日の健康状態を報告してもらう。このように、感染者の方に少し働いてもらって、秩序を作っていくということをやっています。
 三つ目は、医療の逼迫を軽減するために最近始めたのですが、体調がちょっとおかしいなという人がWebでセンターに連絡して、抗原検査キットなどを送ってもらい、自分で検査をしてもらう。それで陽性と出たらWebで申請して陽性登録するというようなことをやってもらっています。

 このように、命を救うという保健所の機能が大事なところはきちんとできるように、工夫してやっています。だから今、大変ではあるけど、この工夫で何とかなるのではないかというのと、仮に、手抜き工事をしたら、余計に後で大変になるということなので、政府がお勧めしてくださったけれど、それには乗りませんということです。この間、立派な業績を上げている専門家の先生が、政府の専門家と政府の「全数把握」廃止を感染症対策の常識に反するという批判をしておられましたが、少なくとも和歌山県は、こういう先生方にも批難されなくてよかったなあと思っています。県の医師会も病院協会も了解してくれています。県によっては「全数把握」をやめるという方向に舵を切った所もありますが、おそらく何らかの理由があってそちらの方がよいとそれぞれの知事が判断されたのでしょう。願わくば、「全数把握」の廃止の名のもとに、この際、報告や入力の廃止のみならず、面倒で大変な保健所の感染防止対策そのものを限定してしまおうという動機に基づくものでないことを祈ります。その頑張りがなくなれば、感染は止まらなくなり、元気な若い人々はそれでよくても、体の弱い人で命を縮める人が増えてくると思われるからです。
 報道によりますと、9月には全国一律でこうしなさいと国が決めて通知するという予定だそうです。しかし、和歌山県の状況は上記のとおりですから、今、「全数把握」で十分回っているのを、無理やりやめさせて、上記のような混乱を招かざるをえなくなるのだけはやめてもらいたいと思います。

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