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仁坂吉伸の思い

太地の捕鯨

2011年05月30日

 NHKのドキュメンタリー番組「NHKスペシャル クジラと生きる」を見ました。立派な番組であったと思います。長い時間をかけてじっくり取材をし、太地の漁民の人々がどんなに苦労して生活を守り、また生物の命を絶つという行為に様々な葛藤を感じながら真摯に生きているかを描いてくれていました。
 
 我々人間もまた生物です。生存のためには、動植物を問わず他の生命を奪って生きています。しかし、そのあり方は地球上の様々な地域で少しずつ異なっていて、それが地域の違い、生活の違い、宗教の違い、文化の違いとなって我々地球市民の多様性を形作っているのです。人類の知恵は、この多様性を認め合うことから出発していると私は思います。民族が違う、宗教が違うからといって、他を殲滅しようとする行為、自分達だけが正しくて、自分達と違う何かを持っている人々を見下したり、排斥したり、無理矢理自分達に同化させようとする行為を我々は野蛮と呼びます。我が熊野は、古来このような野蛮とは180°違う地です。身分や貴賤、過去の所業、そして信仰心すら、我々紀州人は違いを排除することなく受け入れてきました。
 しかし、世界中には、違いを容認できない輩がいます。その人達が、鯨のような高等動物を殺すことは野蛮だと我々の地に押しかけて来て乱暴狼藉の限りを尽くしています。先に述べた論法に従えば、誰が野蛮なのでしょうか。

 確かに生物を殺すことは、皆心に痛みを感じます。しかし、鯨はだめで、牛や豚や鳥はいいのでしょうか。魚類はどうなのでしょう。乱暴者達は、鯨やイルカを殺すところをことさら映像にとって世界に残虐を訴えます。しかし、我々は牛や豚を食べているけれど、と殺場で、それらの生命を奪っているところを、隠し撮りをして世界中にばらまくような人がいたら、おかしいと思うでしょう。
 イスラム教徒は、絶対に豚を食べません。ヒンズー教徒は絶対に牛を食べません。しかし、それらの信仰を持つ、まっとうな人々は、他の宗教の人々がそうすることを無理矢理止めさせようとしたり、迫害したりはしません。
 もちろん我々は有限な地球の資源を守り、地球の環境を永久に守っていく義務があります。だから、無制限な漁獲は時として控えなければなりません。ある種の生物を絶滅に追いやるようなことをしてはなりません。鯨もそうです。しかし、わが太地の人々は、それを十分に理解し、きちんと政府、県の規制に沿った形で鯨漁を続けています。そればかりか、いつも生命を絶つことを神に許しを乞い、絶ったからには、無駄なく利用するようあらゆる部位を大事にしてきました。乱暴者達の祖先が、かつて世界中で鯨を殺しまくり、油だけ採ったら後は棄ててしまうという行為を繰り返してきたことと大違いです。それに現に鯨は増えています。鯨は大食漢ですから、増えすぎると他の魚類をうんと減少させるということも恐れるべきでしょう。

 しかし、こんなことを理解しようともせず、ちょっとためにするシーンを見せられ残虐だと言われると、それに乗ってしまう人々がなんと多いことか。自分とは違う、あるいはもっと正確に言うと自分の趣味嗜好とは違うものを許せない粗暴な人がいかに多いことか。しかも知事になってから投書などによって日本人の中にもそういう人がいかに多いかを痛感させられて、私は切歯扼腕です。

 そういう思いを持って、私は、このような攻撃から太地町の方々を守るために何ができるかと思いました。まずは、私も県の姿勢も、ぶれることなく、一貫して、太地町の鯨漁を守ることです。さらに一歩進んで、私は、このようないわれなき攻撃や投書に反論をすることにしました。県の職員から進言されたこれまでの県の対応は、そんな攻撃は黙殺してかかわりになることはやめましょうということでした。でも、それはもはや太地町で攻撃に耐えている人たちを見殺しにすることだと思いました。友は見捨てるわけにはいきません。もう黙っているわけにはいきません。
 それで一問一答式のポジションペーパーを作り、それを県のホームページに載せることにしました。そして、鯨やイルカを殺さないでと投書してくる方々には、そのホームページをまずは見てから言ってくれという返事を返すことにしました。

 テレビを見て、挑発に乗らず耐えておられる太地の方々を見て、この人々を絶対に見棄てないぞとの決意を新たにしました。我々もできることはします。どうぞ太地の方々も引き続き挑発に乗らずこれまでのように立派な生き方を続けて下さい。

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