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仁坂吉伸の思い

外交について

2012年09月17日

 私はちょっとだけ本物の外交官をやりました。わずか3年ですが、幅広く色々なことが経験でき勉強になりました。外務省本職はわずか3年ですが、その前も通産省(経済産業省)で通商交渉や産業協力など対外経済政策に頻繁に従事してきましたし、ミラノのジェトロセンターで、草の根的実践もしてきましたので、その中で得られた知見も多少はあります。

 その意味で外交を少々語ります。
第1に、外交は人情とか義理とか真心とか善意とかは、まったく通用しないということです。一般に日本人同士の関係だと、俺も少し譲るからお前もその分譲って当たり前だろうという論理が通用することが多いのですが、これは、日本を始め数少ない国とだけ通用する論理です。
 一方的に譲ったり、引いたりすると、直ちにその分相手が進んできて、次はその新しい位置からさあ交渉だとなるのです。最近の日本外交を見ていると、身内のこの関係を国際場裏にお人好しに持ちだしているような気がして仕方がありません。誠意を見せる、平和を願うなどというのも、まったく通用しません。平和を願う大会などというのも、それ自体としては素晴らしいことですが、実際に戦争の抑止になるかというとこちらだけでやっている限りはなりません。また、お願いをする、頼む、事情を分かってもらえるよう努める、泣き落とすというのも、まったく通用しません。うまくいくのは見返りを差し出した時ぐらいで、大抵の時は、相手は困っているな、それならもっとつけ込んでやろうと思われるのがオチなのです。

 第2に、取引だということです。それも今問題になっていること以外に、国と国との間であるあらゆる事が取引の材料になるということです。こっちでひどい扱いをすると、あっちでどうなるか分かりませんよというのが交渉なのです。従って、相手が当方に依存しているのはどこか、その逆はどうかを必死で探して勉強しないといけません。

 第3に、外交交渉には論拠がいるということです。国際法、歴史文書、過去の経緯、その他利用できるものはすべて利用しないといけません。

 第4に、外交交渉は、世界中の監視の下に行われていると考えるべきです。二国間では強いことを言えても、第三国から白い目で見られて国際的に孤立することをどの国でも恐れます。その際大事なことは、第三国は当該国の事情などまずは何も知らないと思った方がいいということです。だから、声を大にして、当方に有利と思ったことを、第三国に、世界中に発信しないといけません。同時に、第三国も、それぞれの利害を持っているということを忘れてはいけません。日本ともめている相手国には睨まれていて手も足も出ないとか、日本が抱えている問題と類似の問題に苦しんでいるなどという事情は、ちゃんと勉強しておかなくてはなりません。

 第5に、外交は内政の反映だということです。こんなに強く出てくるのは相手のカクカクの国内事情がしからしめるところだといった事です。米などは論理とか国際法では勝てない時は、「議会が承知しないもので、このままでは全体の貿易秩序(又は二国間全体の友好関係)が崩れてしまう」などという手を使います。日本はどうかというと、国論がすぐ割れるし、脅かすとひるむ国民ですし、それにそうだと相手国は分かっていて、タカをくくっていますから、不利になることが再々あるのです。

 第6に、その国の外交官リスクというのもあります。すなわち、個人のことなら、まあどうでもいいやと譲るかもしれない外交官も、国のことになると、訳もなく譲ると職やひょっとしたら命まで危なくなる国もあるので、見返りをとったとか、譲らないと自分の国全体が危ないとかの理由付けがないと譲れないのです。したがって、実際には、当方に無害で、相手が取ったと説明できるようなものをくれてやるということも大事なのです。

 第7に、さらに言うと、戦後日本の中に発生した、戦争贖罪感から、日本人の中に悪いのは日本という意識が強すぎるという問題があります。この意識を反映しすぎたのがこれまでの日本政府の対外政策で、外交もその傾向がまだまだ残っています。明らかに相手が悪いのに、それを世界中に論理的に発信しないという癖を我が日本外交は持っています。
 さらに言えば、「善意外交」に走りすぎるという点もそうです。今はもっと複雑ですが、90年代初め頃までの世界は明らかに東西対立が外交上の大テーマだったと私は思います。しかし、こういう点に立脚してリアリスト外交を主張する外交官は、あまり好かれず、多くの外交官は経済協力を武器に途上国に善意を振りまくことだけに専念しようとしてきたように思えます。すなわち、私が今申し上げてきたようなえげつない外交の実態から目を背け、対立やけんかは事の是非にかかわらずできるだけ避け、ひたすら大人しくしてきたのが日本外交の主流だったような気がします。通産省の経済外交(通商政策)も、経済界の全体の利益がかかっているので、どうしても譲歩に次ぐ譲歩なのですが、それでも外務省や農林水産省がやっていることから比べると、自分達がけんか集団のように見えました。

 そういう分析から、昨今の尖閣の問題を見ますと、中国は、これらを全部踏まえて、極めて論理的に行動しているのに対し、日本は、次のごとしです。

① 東京都が買うか国が買うかともめたこと・・・・・ 第5の点から問題
② 何故国が買うか 中国が騒がないような工夫をしたか・・・・・
                               第6の点から作戦失敗
③ 尖閣に領土問題はないと政府が言う点・・・・・
                              その通りだが、それなら、国民にも世界にもそれが
                              何故かを言いまくらないといけないという意味で、
                              第5、第4、第3の配慮が不足
④ デモ等をかけられたら日本をびびらせると中国が思っている点・・・・・
                              第7の日本の弱点を突かれている
⑤ 日本の中国への話しぶり・・・・・ およそ第1の点で、日本的そのもの
⑥ 米国の安全保障カードを有効に使えていない点・・・・・ 第2の点から明らか
⑦ そして、中国の暴動、外交非礼ぶりを国連や世界中に言いまくらない点・・・・・
                              第4、第3の点から拙劣    

大変残念です。

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