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仁坂吉伸の思い

下関講和条約と中国の反日デモ

2012年10月08日

 郷土の先輩陸奥宗光の事跡の1つに日清戦争の管理があります。管理というのは変な言葉ですが、清国を手玉にとって戦争をしかけ、これに勝って、しかもいいタイミングで引いて日本の利益を図るというのがあたかも「管理」のように見えるのです。今この時代で外国とそういう気持ちで付き合うのは正しくないし、世界から批難されます。しかし、時は19世紀末、世は帝国主義時代で、ちょっと油断すると他国の植民地になってしまうという争いの中での出来事ですから、今の価値観で陸奥を見てはいけません。

 そして見事にこの管理が成功するのです。そして、下関講和条約となるのですが、清国の宰相李鴻章が下関に乗り込んで来て、伊藤博文、陸奥宗光との交渉が行われます。そのまっ最中に愚かな1人の日本人が李鴻章を襲撃し、李鴻章は負傷をしてしまいます。大騒ぎです。
 国際社会の中では、うんと小国の日本が、清国から最大限の譲歩を勝ち取るためには、他の列強に日本の立場を支持してもらわなければなりません。それも、後に三国干渉となって表面化するようなロシアなどの利害とはどうしても対立する所も出てくる中で、ちょっとした右か左かは、各国の国民や政府高官の日本への好感度も影響する所があるのです。
 それを分かっていた日本政府は、黄海海戦の伊東祐亨提督の敵将丁汝昌への紳士的な態度を、おそらく意識して欧米各国へ発信するなど、大いに気を遣っていたはずでした。ところが、この失態。和平交渉に来ていた敵国代表を傷つけるなど何という野蛮な行為でしょう。当然清国はこれを声を大にして世界中に言い立てるのです。感受性のすぐれた日本政府は直ちに手を打ちます。天皇陛下も丁重なお見舞いをされ、李鴻章はおよそ考えられる最大の優遇をされるのです。しかも、日本政府は、本来取れるはずであった賠償の一部を譲るという譲歩もして下関条約を締結しました。

 尖閣問題はもともと中国の不当要求ですから、日本政府が言っているように「日中間に領土問題はない」のですが、どうも日本政府はここで止まってしまって、「カクカクシカジカなのに、中国が1970年代になってからこんな無体なことを言ってきまして、けしからんのです」と世界中に言いまくらないのは、何たることかと私は思います。さらに、中国は、日本をびびらそうとしてデモ隊を煽って、日本大使館に非道なことをさせました。日系の企業の工場やスーパーを破壊させるに委せました。さらには、外交儀礼の象徴である大使車の国旗を陵辱するのを止めなかった上、犯人を罪に問うことなく許しました。これぞ日本にとっては絶好の機会だったのです。中国公船による領海侵犯も含めて直ちに国連安保理事会へ問題を提起し、第3国には中国とはこんなことをする国だと声を大にして言って回らせるべきなのです。あるいは、これを放置したら次はお前の国だぞと警告をすることも必要でしょう。しかし、声を上げないで、せっかくの好期を逸した日本政府に私は怒っています。

 さらに言えば、これが日本だったら、どうでしょう。日本人がこんな暴挙を外国の大使館や大使車に働いたら、我々良識ある日本人は、どんな外交上の主張があるにせよ、外交上の非礼を相手国に詫び、その結果、多分外交上の立場が弱くなっていたことでしょう。ちょうど下関条約の時のように。そういうことを考えるにつけ、日本という国がいかに立派な国かという事を誇りに思うとともに、世界にはそんな立派な国ばかりではないぞということもまた肝に銘じて、我々は賢く行動しなければなりますまい。
 そういう事を想起するきっかけとして私達和歌山県は、外務省、産経新聞社の後援を得て、明治大学と共催で陸奥宗光シンポジウムを開催します。ふるってご参加下さい。

日  時:平成24年12月1日(土)14:00~16:30
場  所:明治大学 駿河台キャンパス アカデミーコモン3階 アカデミーホール
        (住所:東京都千代田区神田駿河台1-1)
受付開始:9月5日(水)10:30から
申込先:明治大学リバティアカデミー事務局 https://academy.meiji.jp
申込方法:電話またはホームページから申し込みください(事前予約制、全席自由、先着500名)
出演者:
岡崎久彦  岡崎研究所所長、元外務省情報政策局長、元在タイ大使
北岡伸一  政策研究大学院大学教授、元日本政府国連代表部次席大使
御厨 貴  東京大学名誉教授、明治大学特別招聘教授
松平定知  京都造形芸術大学教授、元NHKアナウンサー
外務省職員
次 第:
・ 岡崎久彦氏による基調講演
・ パネルディスカッション

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